眩しくて、ただ羨ましくて
私には、この春大学生になる二つ下の妹がいる。
4月に入学式を控えた妹は、今日スーツを買いに行った。帰ってくると着替えてその姿を見せてくれた。
それはもう、眩しかった。着慣れていないのと、私が見慣れていないのとで、初々しかった。
ああ、妹には入学式があるのか。いいな、私も入学式に行きたかったな。緊張しながらキャンパスに向かって、正門で記念写真をとったり、思い切って周りの子に話しかけてみたり…そんな青春、したかったな。
心が苦しくなった。2年前に大学生になった私は、入学式というものを体験していない。一応スーツは持っているけれど、それは去年バイトで必要だったからであって、入学式のために買ったものではなかった。
似合ってるねと口にはしたものの、内心は妹が羨ましくて羨ましくて、嫉妬してしまった。自分が味わえなかった青春を妹はこれから楽しむのだと思うと、悲しくて、切なくて、涙が出そうになった。
だから、入学式がなかった私の分まで楽しんできてねなんて、嫌味なことを言ってしまった。妹はあきらかに反応に困っていた。我ながらめんどくさい姉だと思った。
大好きな妹が大人になった姿を素直に喜べなかった自分が嫌になった。
でも、いくら羨んでもその青春が帰ってくるわけではないのだから、とりあえず忘れる努力をしようと思う。
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