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目玉焼きには塩、いつかは来る死を思いながら

昼、簡単な食事を取ろうと思う時、目玉焼きを作ることがある。

以前はしょうゆをかけていたが、最近はもっぱら塩をかける。
加齢とともに、胃の調子が変化したことが原因かしら、と思う。

今年、私は30歳になる。
同居中の同い年の彼氏は30歳になり、20代が終わることを恐れている。
そんな彼は、今胃もたれに苦しんでいる。

思えば、傷の治りも遅くなったし、肌も乾燥しがちになった。
髪質も心なしか硬くなった気がする。

20代、私は自分の精神疾患を自覚した。
精神科に初めて行った。
処方される薬の効果と副作用に一喜一憂しながら、いくつもの薬を試した。

自分の病が一生治らないことも、処方が落ち着いて、やっと体調が安定したけど、それがかつての私よりずっと低空飛行なことも、身体が思い通りにならない日があることも知った。

知らないうちに胃にポリープができた。
いつからか胃痛を感じなくなった。
同じ病に悩む弟は、暑さや寒さをほとんど感じないという。

加齢による、身体の変化は、私にとっては些細なことだ。
自分の生を感じる、愛おしいものでもある。
しかし、どこかでそれを嘲笑うような自分もいる。

目玉焼きに塩をかける。
あと何回これを繰り返すのかは、分からない。

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