コロナウイルス連作短編その203「玉出紫朗は山崎一子という少女が好きだった」
であるからしてあるときに、廊下ですれちがった男子生徒たちが「4組の長髪デブス、キモいよな」と言ったのを聞いて、瞬間湯沸し器のように機械的かつ猛烈なかたちで、彼らにブチギれることになった。
「お前らさ、影でデブスだなんだグチグチ言ってて、男として恥ずかしくねえのかよ、なあ?」
わざとマスクをずらしたうえで彼らに睨みを効かせてみせる。生徒たちは、足の裏に錆びた釘でも突き刺さったかのような、あわれもあわれな表情をあらわにし、そして早歩きで逃げさった。
よりいっそうムカついたん