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最後の手紙。

私には弱点がありまして。。
それは”青春もの”…!

青春ものの小説や漫画にはめっぽう弱い。
涙腺がどうしても緩むんです。

なんでだろう?と考えると、やっぱりあの頃にはもう二度と戻れないからでしょうね。
あの小さなコミュニティの中でいろんな経験をして、悩んで苦しんで、家族よりも長く一緒にいた仲間のことも忘れがたい。

私は中学・高校時代、吹奏楽に明け暮れていました。
高校を選んだのも吹奏楽部が強いから。(その地域では割と有名だった)
休みはほとんどなく、朝練して授業受けて、日が落ちるまでまた練習して、家には寝に帰っているようなものでした。

私が生きてきた中で、一番何かに打ち込めた時間だったかも。笑

最近はstay homeにより、YouTubeを見て過ごすことが多くなりました。
昨日、たまたま吹奏楽のある曲に辿り着き、物思いにふけっておりました。

私が大好きだった曲です。

マードックからの最後の手紙/樽屋雅徳 作曲

ああ、この曲懐かしい。。大好きだったなあ。。と思いながら、マードックの物語を思い出していました。

この曲は吹奏楽曲の中でもとても人気の高い曲です。
吹奏楽部だった人はかなりの確率で耳にしているでしょう。

『マードック』というのは実在する人物です。
当時、世界最大の豪華客船として有名だった、あのタイタニック号に乗船していました。 

1912年4月、ニューヨークへ出航したタイタニック号は、海難事故に見舞われ、海へと沈んでしまいます。
マードックは一等航海士として乗船しており、船が沈む最後の瞬間まで勇敢に乗客たちの救助にあたったそうです。
結局彼もこの事故で命を落としてしまいます。

マードックは家族に手紙を書くことを日課にしており、自分の近況や家族を気遣う思いが毎回綴られていたとのこと。

作曲した樽屋氏はこう綴っています。

マードックからの「最後の手紙」には、乗客たちで賑わう船上の様子や、大西洋からの美しい眺め、そして事故を予感させるアクシデントについて語られていたかもしれません。
曲はその手紙に綴られていたであろう風景や彼の思いをアイリッシュ調のメロディーで描いていきます。
マードックからの最後の手紙を「読む」ように聴いていただければと思います。(樽屋雅徳)

この曲を聞くと、マードックが船上でどんな風景を見ていたのかが目に浮かぶようで、とても好きなんです。

豊かな低音のメロディーからはじまり、華やかな金管楽器の音色が加わる。
大海原へ向けてゆっくりと船が進み、期待と興奮が膨らむ序章。

人々の希望を乗せた航海の始まり。そして乗客たちが優雅にそのひとときを楽しむ様子。

中盤その雰囲気は一変し、一刻を争う懸命な救助活動を物語る激しい曲調。

そして静けさの後、また緩やかな海へと還っていく。。

全国の何千、何万という中高生たちが、このマードックに想いを馳せたに違いない…(と勝手に思っている)
私もそのひとりです。

気がかりなことがひとつ。
今年の吹奏楽コンクールがどうなるのかということ。
先日、インターハイの中止が決定しましたね。
高校球児たちも同じく、悔し涙を流していました。
しょうがないこととはいえ、やりきれない。。

『最後の手紙』として、ステージで想いをぶつけたい3年生がほとんどでしょう。
そんな子たちのことを考えずにはいられません。
たった12分の演奏に、どれだけの時間を費やしてきたか。

成績がどうであれ、その舞台に立つということに一生モノの価値があるというのに。

見えない敵に、涙をのんだ彼らのことを忘れてはいけませんね。

一刻も早い収束を。。
人生の先を行く私たちが、彼らの船出を邪魔しないように。。

と強く思うのです。

ここまで読んでいただいたこと、とても嬉しく思います。