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三十一文字 足りるものかよ この想い 言い足りないのは 君だけじゃない

いっとき短歌にはまっていたことがある。
もともと言葉遊びとか、同音異義語によるダブルミーニングとか(例に漏れず西尾維新とか)が好きであったので、三十一文字に全てを込めるべく削って削って研ぎ澄ました音の何と美しいことかとすっかり魅了された。

で、せっかくなので「うたよみん」と「ちどり短歌会」にてぽつぽつと詠んでは投げ詠んでは投げしていた。
その中で、「うたよみん」についてはnoteのようにタグ付けができる。
これを活かさない手はあるまいと、勝手に「海辺の研究所シリーズ」と決めて詠んでいた一連の短歌がある。

恐らくもう、ありふれているのであろうが、短歌創作ともいうのだろうか。
小説でも絵でも漫画でもなく、短歌で一次創作をやる。
設定も登場人物の外見も世界観もあらかじめ決めておいて、淡々と三十一文字を綴る。

創作のスタイルとして面白いなあ、と思い続けてやっていたのを先日ふと思い出して、ついでに「灯台短歌シリーズ」も続けたかったのを思い出した。
この「思い出す」というのは、文字通りすっかり忘れていたがあくまで堆積されたのを掘り当てた、という状態です。詳細は熱の冷めたうんぬんに関してのnoteをご覧ください。

​「うたよみん」を見返してみたら投稿が154件。
書き下ろしも含めた「海辺の研究所シリーズ」、研究所だけに発掘しました。どうぞご覧あれ。
というのが今日の結論です。

流れ着く 砂の粒から 紐解いて 今日も砂岩は 天の川かな
君にすら 言わずにいたのに ついここで こぼしてしまう 波打際です
五十音 すべてを含み ひた跳ねる 波間の兎 ありとあらゆる
卵白の 中で育み 血液の 中で芽生える 免疫の恋
打ち寄せて 溜まりゆくもの 弧を描き 孤独の孤の字を 弧と書き損じ
撮りきりの フィルムカメラの ネジを巻く わかりやすい名だ 写るんですと
ペトリ皿 シャーレどちらか 悩みつつ どちらも同じ 平皿と知る
君のいる 箱庭として ふさわしい 透明度かな プレパラートよ
医者の名を 冠し気ままに 角質を たらふく喰らえ 水槽の君
字が似てる だけであなたを 思い出す これを恋だと呼びたくはない

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