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#004 突然に下半身不随宣告された息子。すところどっこい疾風記〜息子とともに駆け抜けた23年間の記憶〜
追憶
2021年1月
新大阪の駅の改札内にあるお弁当屋さんで目当てのものを見つけた。
「神戸牛ロースステーキ弁当」だ!
そして食後のデザートとしてスタバのキャラメルフラペチーノ。
時刻は朝の6時30分。
これから二人は特急サンダーバードで福井駅に向かうのだ。
列車内で食べる朝食としてはかなりボリューミーだ。しかしシンは旅行中の食事にはかなりこだわっている。前日からネット検索し、吟味していたメニ
#003 突然に下半身不随宣告された息子。すところどっこい疾風記〜息子とともに駆け抜けた23年間の記憶〜
二人とも誰もいないだだっ広い芝生を前に意気消沈だ。
バーベキューで賑わうキャンプ場をイメージしてきたのだろうが
今日は平日です。
そんなことがあろうものか!
追憶
2021年4月
今日は待ちに待った納車日だ。
実は1ヶ月前にそれまで乗っていた中古車が寿命を迎え、急遽ディーラーで新車購入を決断!といっても初の軽自動車。積載量やトルク特性こそ前のクルマには劣るけれども、何より新車だ。それも最上級の
#002 突然に下半身不随宣告された息子。すところどっこい疾風記〜息子とともに駆け抜けた23年間の記憶〜
2021年6月。
突然下半身が動かなくなる。
シンが脊髄にある腫瘍が悪性化し、急速に大きくなり
手術での摘出が困難となった。
この間。わずか1ヶ月。
「悪性末梢神経鞘種」との診断だった。
元々数ヶ月に一度、MRIで進行の経過をモニタしていた。
2年ほど前、シン共々お世話になった小学校時代の校長先生と教頭先生の
ご尽力により、専門医が在職する大学病院へ通院することができた。
身体の数十カ所にでき
#001 突然に下半身不随宣告された息子。すところどっこい疾風記〜息子とともに駆け抜けた23年間の記憶〜
序章2024年4月
暗闇の中…。
小さな椅子に腰掛け、足を組み、背中を少し丸めて、前屈みのまま、
一心不乱に爪をかじる…。
いつものシンの仕草だ。
声をかけようとするが声が出ない。
シンに向かって大きく手を振っていると、こちらの気配にやっと気づく。
ハッと顔を上げ、無表情だった顔が急に崩れ、こちらに走り出す。
ボクの目の前に着くなりきつく抱きつき、大きな声を上げて泣き出した。
「ゴメンな。