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「ヒトはなぜ描くのか」グラグリッド×Goodpatch Anywhere合同勉強会メモ

のぞき見企画!グラグリッド×Goodpatch Anywhere合同勉強会にZoomで本日参加したので、noteにメモをまとめてみました。勉強会のテーマは「ヒトはなぜ描くのか?」です。


1. グラグリッドさんのお話

競走型サービスデザインファームである株式会社グラグリッドさんでは、描きながら考えるツール「えがっきー」を始めとしたビジュアルシンキングの取り組みを数多くされています。

以下は、三澤直加(グラグリッド代表/ビジョンデザイナー)さんのお話の個人メモです。

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本能の解放による新たな文化の誕生

新宿区落合第六小学校「みらい科」での授業にて、つい正解を求めがちな小学生たちに向けて描いて考えることを伝えるために体育館に模造紙を広げて描く授業を実施したそうです。(ちゃっかり私もパートナーとしてこの日授業運営をお手伝いしたりしてます)

そこで見たこともない「新しい星」を描いてもらい、そこに「隕石が降ってきた!」という問いかけに対してそれぞれが描く星に対して新たな文化が誕生しました。隕石の危険を知らせるために星に言語が生まれたりコミュニティーが生まれたり、隕石は実は良い隕石で救世主がそこから現れるなど、捉え方もそれぞれだったそうです。授業内容について詳しくは以下の記事でグラグリッドさんが記録されてます。

絵でスケッチすることにより変わる、アイデア創出

ある企業でのよくあるポストイットでのアイデア出しのときに絵でスケッチして伝え合ったら出てくるアイデアに変化があったそうです。プロダクト自体のアイデア、体験のアイデア、長期的体験のアイデアなどそれぞれ描くものを変えるだけで、見方が変わって新たな考えが浮かびやすくなるよう。アプリ開発などサービスのことを考える時にも行いますが、手描きスケッチにすることで新たな創造性が加わりそうです。

描くことは「思考と創造の呼吸法」

グラグリッドさんでは以下の記事のような役割を描く「チームメタファグラム」などを通して新たな発見もしたそう。

描くことは表現ではなく「思考と創造の呼吸法」であると説いていたことが印象的でした。描くと言うとついその成果物自体に目が行きがちですが(逆に言えば、それほどに良くも悪くもグラフィックという概念の力は強い)、描くことの行為そのものの価値に注目すると新しい発見が見えてくるのでは、と思いました。

三澤さんが執筆中のビジュアルシンキングの本も出版されるのが楽しみです。(来年の1月くらいには出版されるそうです

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2. Goodpatch Anywhereさんのお話

流れるようにグラグリッド三澤さんからGoodpatch Anywhere大橋 正司さんに話し手がバトンタッチされました。

デザイン界隈でグッドパッチさんは有名ですが(上場おめでとうございます🎉!)、Goodpatch Anywhereさんは案件相談からプロジェクト完了まです全てオンラインでやってしまう最強集団さんです。

描く行為そのものの価値とは

文章、特に長文だと論理構造がしっかりしていてロジックが成り立っているように見えて一見正しいことを言っているように見えます。が、文章の情報を描く=抽出することによって正しい状況を捉え直すことができるそうです。

他にも、擬似的な触覚刺激による触覚プライミング効果と言って直前の感覚刺激(触覚など)がその直後の判断や印象にバイアスをかけることもあるというお話も面白かったです。どんな紙にどんな画材で描くのかでも影響があるそうです。これで上手く操作できたら最適な材質やデジタル媒体を選べたりするようになるのかもしれません。

また、「身体性と創造性」(論文見つかったらリンク貼ります)と言って、腕の曲げ伸ばしが創造的解決に影響を与えることもわかってきたそうです。

クエバ・デ・ラス・マノスや、ラスコー洞窟の壁画を通し、絵とは描くとは何?というお話も面白かったです。人間は絵を見てない部分を補おうとし、チンパンジーは輪郭をなぞるという差異があるそうです。見立てて補う能力こそが「創造力」であり、人と人が組み合わさって共創していくのは人間ならではの行為と聞いて人でよかったな、と謎に思いました。

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ラスコーの洞窟壁画関連で、どうして描くのか?と言った心理を考えるのにニコラス・ハンフリーの著書「喪失と獲得」が以前読んで面白かったので載せてみます。(元値2500円くらいだったのにAmazonだと何故かお値段高くなってしまってますが…)

イマジナリーフレンド

グラグリッドさんの社内メンバーはよくやってるそうですが、頭の中のイマジナリーフレンドを持って描くのが面白そうです。何かを考える時や描く時に自分ではない切り離された別の人の視点(社会構成主義)を持って描くことにより新たな発見や発想に繋がるそうです。私もグラレコ描く時とかサービス開発中にストーリー描く時によくやっていますが、実は悩み事ある時にもおすすめです。頭の中で延々とモヤモヤするよりかこのイマジナリーフレンドを呼び出して描くと視点変えて現実を見るだけでなく単純に出来事が漫画のように見えて面白くなってきます。

オンラインでどう描くのか

世界的状況の変化でオンラインの場が主流になってきている今ワークショップなどもオンラインが増えてきています。その時どう描くのが良いか?という質問に対して、情報の抽象度を上げることを三澤さんがおすすめされてました。「状態を色に例えると?」など描くこと、身体性を思い出すための工夫が必要になってきそうです。

絵はその場に応じた記号を捉える

上手に絵が描けないという視聴者さん達からの声にはまず描いてみることを進めつつ、あまりリアルな情報として描かない方が良い時や逆に描いた方が良い時などいかにその場で求められる記号を感じ取れるかが「場に応じた記号」を捉えるのが重要だと回答されてました。

ここからは感想です。

誰の立場でどの角度から何を描く?

絵だけに注目してしまいがちですが、絵は痕跡でしかなく描くことそのものの意味は描かれるその場で生まれるのだ。と、今回の勉強会のお話を聞いて感じました。

以前「メタ視点のグラレコ」の切り口で記事を書いたことがあるのですが、誰の立場でどの角度から何を描くのか?といった行為そのものがどう場に価値を届けられるかが重要な気がしています。

私は、なんでも図とか絵にして説明して「わかりやすい!」と人から反応されると逆に不安になることがあります。基本的に図解とか絵は情報が抽出されて情報量自体は落ちるので、逆にわかりにくくなってることも往々にしてあるからです。データや事実があるならその正確性を大事にした方が良いと思います。(もちろん網羅した全体を知るべきか、概念だけ知るべきかとか状況によりますが)

描いた成果物に価値があるのではなく、描く行為自体に価値があるのでは?と考え描くことがほとんどです。
創造性を主旨にした時は、描く行為つまり「ヒトの身体を通る」ことにより、文字で削ぎ落とされる何か大切なものや新しい考えを出すときに必要な要素がそこに含まれるのではないかと考えます。

常に話すより先にペンが走ってるというお仲間はたくさん出会ってきましたが、なぜ描くのか?はヒトの数だけ答えがあるのかもしれないなと思いました。こんな風にあれこれ考えられたので今夜の勉強会はとても楽しいお時間でした。

株式会社グラグリッドさん、Goodpatch Anywhereさん、勉強会をのぞき見させていただきありがとうございました。

noteを読んでくださった方、最後まで読んでいただきありがとうございました🙏

https://twitter.com/wanami3103

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