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条件法ってなんだよ

語学が嫌いになる理由のひとつに、難解な文法用語があると思う。
英語における第一の山は

have + 過去分詞 = 現在完了

だろう。
まず、過去”分詞”とは何ぞや、となる。
ごく一般的な学校がどうであるかは知らないが、私が通った養護学校では分詞の説明はなされなかった。
"現在完了"にしたって、何だかピンとこない用語だ。

英語の現在完了と似たような文型はスペイン語にもフランス語にもある。
スペイン語の場合は haber(の人称活用) + 過去分詞 をpretérito perfecto(現在完了)と言い、フランス語の場合は êtreもしくはavoir(の人称活用) + 過去分詞 でpassé composé(複合過去)と言う。

ただし、英語とは少し使い方が違う。英語の現在完了は過去の継続・経験・完了を表すのに対し、スペイン語とフランス語の場合は、単純に過去を表す時にも使う。例えば「昨日、図書館に行きました」や「昨夜ケーキを食べました」という時にも、英語で言う過去形にあたる文型ではなく過去完了もしくは複合過去を用いる。

さて本題。
英語に「条件法」というものがある。
If I were a bird, I would fly to you. もし私が鳥ならば、あなたのところへ飛んでいけるのに
の I would fly to you. の部分を言う。
これを「条件法」と呼ぶのは理解ができる。
納得いかないのは
I would like to buy a book. 本を1冊買いたいのですが。
も条件法のひとつの使い方だ。
条件ではないのに「条件法」と呼んでいる。

もう少し説明したい。
フランス語で条件法は英語のように助動詞を使わず、動詞を活用する。
その用法は3つである。
・丁寧な依頼
・欲求を丁寧に表す
・アドバイスをする
つまり語気を和らげるという性質を持っている。
Je voudrais acheter un livre. 本を1冊買いたいのですが。
もちろん英語のように「もしも~だったら、~なのになぁ」という使い方もする。
Si j'avais une fortune à dépenser, je voyagerais autour du monde. もし私が大金を持っていたら、世界中を旅行するのになぁ。

多分皆さんはこの時点で何を言っているか混乱していると思われる。
そういう私も混乱したのだ。
それはひとえに「条件法」という文法用語のせいではないかと思っている。
条件法には「もしも~だったら、~なのになぁ」という使い方も確かにあるにはあるが、そうでない時にも「条件法を使います」と言われてもピンとこないのだ。

条件法のことを英語では Conditional mood という。
フランス語では Conditionnel だ。
確かに「条件付きの」という意味なので、これを「条件法」と訳したことは紛れもなく正解なのだが、条件法が必ずしも条件付きの文章だけに用いているわけではないというところに学習者はちょっとしたモヤモヤを感じている。

もしも文法用語がもっとわかりやすかったらなぁ。

と思う今日この頃だ。

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