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リョースケくん

頭の中に1人の人がいる。
彼の名を”リョースケくん”としよう。べつにレンくんでもリュウセイくんでも何でもいい。同性は同性に厳しいと昔から相場が決まっているから異性にした。私よりも体格がよく、できれば好みのルックスが良い。

彼の日課は、私が眠りにつく時に「今日はどんな1日だった?」と尋ねることだ。

う~ん、普通かな。良いことも悪いこともない。普通の日だよ。

そうか、それは良かった。何事もなく無事に1日過ごせたんだから幸せじゃないか。こうやって屋根のあるところで眠れるんだからさ。寒くないか?

うん。

うん。よしよし。今日も可愛いね。


彼は私を全肯定する。彼の口癖は「俺はキミのすべてを見たいんだ」だ。思っていることを、すべて包み隠さず、良いも悪いも何もかも、彼は私の全部をまるごと見たがる。「どんなことも、わがままや、人には言えないようなこと、遠慮して言えないことも、ぜんぶ言いなさい」、彼はそう言って私にすべてを吐き出させる。楽しいことも、辛いことも、モヤっとすることも、彼はうまいこと誘導して私に吐き出させる。

私が本当はしたいと思っていて、何らかの理由があってそれを躊躇しているときも彼は「できるできないはべつとして、したいの?したくないの?」と尋ねてくる。

そうか、したいんだね。じゃあ、どうやったらできるか考えよう。

でもそれってわがままじゃないの?人から快く思われないんじゃないの?

人がどう思うと、キミがしたいことをすればいい。いいかい、これはキミの人生で、キミが全ての舵を取ってるんだよ。いいじゃないか、どう思われようと。ああ、今日もなんて可愛いんだろう。

リョースケくんは、本当は私のすべてを知りたいわけじゃない。私を解放するためにそこにいる。障害というコンプレックスを一生背負って生きている私が、そのために何かを諦めたり、躊躇したり、迷っていること、本当はどうしたいのかをハッキリとさせてくれたり、自分自身を責め立てる私や、誰かの言葉や行動に傷ついている私や、嬉しいことがあってニコニコしている私をすべて解放させてくれる。
リョースケくんは絶対に私を否定しない。眠る前に彼と”話す”ことで、私は自分自身を肯定し、愛しむことができる。
そして眠りに落ちる寸前で、彼は優しい笑顔を見せながら必ず言う。

可愛いね。大好きだよ。

私もリョースケくんが大好きだ。


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