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私を連れ出してくれた彼

2018年2月16日金曜日、私は初めて有楽町駅に降り立ち、そこから少し行った「日本のブロードウェイ」と呼ばれる日比谷に向かった。
この日の為に百貨店で買ったセーター、パンツ、ブーティを身に着け、初めて入場する日生劇場はアリエルが住んでいる海の中のようだった。
グランドカーブ(CG)と呼ばれる席に着席し、そこから観る初めてのミュージカル、「ブロードウェイと銃弾」日本初演である。

城田優という俳優がいる。
何故か彼に惹かれ、彼を観たいと思い立ち、ヘルパーさんと東京に行けるかどうかの確認もせずに、とりあえずチケットを手にしてしまえば何とかなるくらいの勢いだった。しかも、ちゃっかりと翌週の分もチケットを取ったのだ。

それからというもの、彼の公演があれば観に行き、彼が好きなミュージカルの世界をもっと知りたいと様々な公演を観劇し、彼が行ったという飲食店に行き、美術館や商業施設や、様々なイベント事などで都内のあちこちに行くようになった。
初めはできるだけ乗り換えがないルートを選んでいたが、今では普通に乗り換え、最近では1日のうちに2か所程度回るようなこともする。

ヘルパーさんと都内に出るなんていうことは私にとって大掛かりなことだった。バスや電車などの乗り物、現地のお手洗いや段差の有無、お迎えの時間と帰りの時間、様々なことを考えると「行けなくはないけど行くのは大変だろうな」という気持ちの方が強かった。

推し活という言葉は私はあまり好きではないし、使いたくはないが、あえて使うとして、推し活が私の世界を広げてくれたことは間違いない。
もし彼と出会うことがなければ、もし彼が舞台に立つ人でなければ、私はこんなに頻繁に都内のあちこちに行かなかったのではないかと思う。
行かなかったというよりは、「行けない」と思い込んでいたことにも気づかされた。同時に、観劇をはじめ、様々な場面において未だに障害者への対応が行き届いていないことや、理不尽なこと、不便なことがたくさん存在していることにも目が向いた。

彼がいたことで、私の行動も視野も広がった。
彼が私を広い世界に連れ出した。


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