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そして続く

知人と会い、安堵して帰宅した夜、『キンキーブーツ』再演のキャスト発表があった。主演俳優をなくした作品は、その友により繋がれ、そして今回、予想を超える大きなキャスト変更で更にその先へ続いていく。

昨日、都内は予定外に大雨で、車椅子での移動(銀座は地下道が発達していて歩ける人なら濡れずに移動できるが、ある施設は未だエレベーターがなく、歩行困難な人は外を通らなければならない)は若干大変だったが、地元に戻り最寄りの駅を出ると幸い雨は止んでいた。その代わりに風が思いの外冷たかった。
バスに乗り込むとクーラーがかなり効いており、ストールをかけていても寒く、もう限界というところで最寄りのバス停に到着した。
またそこから5分程徒歩で自宅に戻る。その間、ずっと冷たい風が吹いており、私の脚、特に膝から下は棺桶の中の人くらいに冷えきってしまった。

普段なら脚が冷たくても寝る少し前からポカポカしてくるが、昨日は寝るまでの間もずっと冷たいまま、疲れて眠いはずなのにしばらく眠れなくなってしまった。

人はそれでも眠るのだ。1日あったことを思い出したり、今日のネタを考えたり、次に何を食べ何を買おうか考えている間に、脚は冷たいままでもちゃんと朝まで眠れる。
そして朝起きてみれば脚は温まっていた。

生きているんだ私、と思った。
生きていて良かったという思うことは度々あっても、生命そのものを実感することは今この瞬間もしてはいない。生きていることは当たり前すぎて、日常に埋もれている。
しかし、あんなに冷たい脚にもちゃんと血が巡り、体温が維持されている。生きているからこそのことだ。


昨日の入れ替わりに明るい日差しが窓から差し込んでいた。
良い朝だなと思った。
舞台が続いていくように、私の命は今日も続いていた。


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