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六本木WAVE 昭和バブル期⑤

l  猫を預かった話 つながった❓
 
「実はこのお店は初めて、というか今日だけの約束で友達のピンチヒッターなの。本当はこういう形でお客様と逢うことはないのよ」「へー そうなんだ」私は阿呆みたいに単純に反応したことを少し後悔した。(なにがそうなんだ だよ!と 心の中で自分にツッコミを入れた) 

 彼女は続けて「ねえ コールガールって知ってる?」一瞬その言葉に違和感を感じた。「うん 聞いたことはあるよ 高級な…お金持ちや有名人のお相手をする…」当たり障りのない答えに「そう 高級な娼婦のことよ」躊躇なく彼女は「娼婦」と言った。しかし高級な という形容詞がつく。

 そうこうしているうちに時間が気になりだして、お相手をしていただくべくお誘い申し出た。「あの…焦るわけではないんだけど…」その言葉にすぐにピンと来たのか彼女は「アッ ごめんなさい(笑)」と悪戯っぽい目をこちらに向けた。

 時間にして70分 2万円コースであった。ことをいたす前にお支払いをしようとお金を入れた白封筒を差し出すと一瞬「あらっ」と言いながら「ありがとうございます(笑) 今日はピンチヒッターだけど これ貰いますね」と素直に受け取った。本来なら桁の違う金額が彼女の相場だろうから、何というか得をしたような、かと言って2万円でも捻出に苦慮する自分にとっては少し分不相応な みじめさというか複雑な心境になった。

 その後 彼女の眼が急に艶っぽくうるんできて こちらに向き直って…
 
(合体💛 詳細はご想像にお任せします イメージ♪ はBlondie のX Offender)
 https://www.youtube.com/watch?v=DrpDA7_XEJU

 ことが終わり、少しするとイエ電にお店から電話が入った (当時は携帯が無い時代 ポケベルも少しあと つまり個人情報駄々洩れの時代)「迎えの車が来てるけど少しくらいなら待たせても大丈夫なのよ」と言いながらさっきの話の続きを始めた。六本木や麻布のこじゃれたお店のこと 普段はのんびり生きていること お金には困っていないこと 等々

 彼女は出ていく前に「もう行かなくちゃ…ねえ また会いたい?」「それはそうだけどお店は今日だけなんでしょ?」「そうなの。だから…うちの電話番号教えておく」「いいの?」「いいよ いまは一人暮らしだから」「(でもなんで?気に入られたのかな?)」と半信半疑思ったけどそれも仕事と言えばそうだし…と黙っていたら、机の上においてあったPEANUTS(チャーリーブラウンとスヌーピー)のメモ用紙にバッグから銀の細めのパーカーボールペンを出してささっと書いた。

 「はい これね もしよかったら名刺くれない?」「あっ いいよ」そう言って名刺入れから会社の名刺一枚と自宅の番号も告げて渡すと「はい 確かに頂戴いたしました!」とふざけた調子で言って笑った。笑うと少しだけ見える八重歯がとても魅力的だった。(つづく)


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