きたさととよひさ

おっさんです 完全な作りものではなく盛っていますが基本体験です。短編私小説的なもの、随…

きたさととよひさ

おっさんです 完全な作りものではなく盛っていますが基本体験です。短編私小説的なもの、随想随筆的なもののどちらかです。つぶやき、ぼやき風かもですが、ノンジャンルで書いていきます。共感してもらえたら嬉しいです。末長くよろしくお願いします。

マガジン

  • なんだかね ときどき小説 そして随想

    昭和にこだわり、自身の体験をベースにした私小説以外にもエッセイや物語を書いて行きます 昭和という時代背景と共に読んで頂けたら嬉しいです 時折当時流行った楽曲のリンクを入れています。少しマニアックな洋楽が中心ですがよろしければお読みになるときのBGMとしてお楽しみくださいませ。・マガジン画像https://www.hokkaidoisan.org/asahikawa_asahibashi.html

最近の記事

六本木WAVE 昭和バブル期⑲

■ 猫を預かった話 ことが終わり弛緩した時間の中で ※ 体調不良と新たな職場でのインターフェイスに時間がかかっていたこともありまして 更新が適いませんでした お許しください またちょこちょこ書き始めます 🙇 そのあとのことは朧気にしか記憶していない… 少しの間気を失っていた というより 脳みそがマヒしていた 思考が止まっていた 我に返ると レイは身支度を整えていつものバージニアスリムを吸っていた こちらの様子を気遣ってか心配そうに視線を向けながら尋ねて来た

    • 六本木WAVE 昭和バブル期⑱

      猫を預かった話 羞恥と快楽のあとの恐怖…  レイにアイマスクを付けられ、視界を失っている私には 聴覚と嗅覚、触覚のみで 彼女の一連の行動を受け止める結果となった 「無様だねぇ…」 「はい…」情けなく答える私 「よがっているのかい?」 「いえ・・あ はい」恐怖からしどろもどろになっている私 「そうかい それじゃあそろそろご褒美を上げよう…」  「これが欲しいんだね!」 レイが体の位置を移していきなり私に覆いかぶさってきたようだ 顔の辺りに彼女の体臭が感じられた  と

      • 六本木WAVE 昭和バブル期⑰

        猫を預かった話  震え続ける身体 黒いエナメルスーツは典型的なボンデージスーツであり、レイの均整の取れた身体を見事なまでに包み込んでいた しかもオープンバストになっていて 形の良いバストは重力に反してむき出しのまま起立していた そして、いつの間にか先ほどのいたずらで使った備品の透明マスクではない、正真正銘のハーフフェイス型ベネチアンマスク やはり色は黒の彫金を施したものをつけていた そして手には皮の鞭  (えっ! フロントでは借りていないからそれって自前!? マ

        • 六本木WAVE 昭和バブル期⑯

          猫を預かった話  異次元の展開  大きな波の過ぎ去った余韻にしばらくの間  二人はシャワールームの中で濡れたまま抱き合っていた 心臓の鼓動が勢いよく鼓膜にも響くように かつてないような興奮の余韻が覚めないままに…横たわっていた 私は少ししてからシャワールームを出てバスタオルを腰に巻いてベッドに横たわった レイはシャワールームで 赤いキャミソールを脱いで全裸になりシャワーを浴びながら丁寧に身体を洗っていた (喉が渇いた) 冷蔵庫の冷たいビールを出してグラスに注ぎ一気

        六本木WAVE 昭和バブル期⑲

        マガジン

        • なんだかね ときどき小説 そして随想
          8本

        記事

          六本木WAVE 昭和バブル期⑮

          猫を預かった話  恐怖と快楽と… その顔は…生体反応の無い造形物…彫刻…??? (なんなんだ!) 恐怖で慄く私  脳内のシナプスが一瞬繋がらない そんな感覚の一種の不快な時間差 見ているものと、それを認識することに微妙なずれが生じていたのか レイの着けていたものが  マスク(面)と認識できるまでタイムラグがあった  その曖昧さが恐怖となって思わず声を漏らした私 どちらかというと「あわわゎゎ」に近い音 あとで動画再生ができたなら  そんな自分を見てきっと笑うと思うがこの

          六本木WAVE 昭和バブル期⑮

          六本木WAVE 昭和バブル期⑭

          猫を預かった話 恐怖との戦い 部屋に入ってからしばらくは2人ともソファに座ったまま 寡黙になっていた 緊張と言うには当たらないが むしろ興奮と疲労の入り混じった複雑な感覚で 思考停止になっている状態 であった 先に口を開いたのはレイであった 「喉が渇いたわ 何か飲まない?」 「うん・・・」 私は答えながら、冷蔵庫の中に2本あった ミネラルウォーターの1本をレイに手渡した 「ありがとう」 レイは一気に飲み干していた お互い水分補給で少し落ち着いた (さてこの

          六本木WAVE 昭和バブル期⑭

          六本木WAVE 昭和バブル期⑬

          猫を預かった話  アルファイン 公園の手前でタクシーを降り レイはどんどん歩いていく ヒールの音が夜道にコツコツと異様に響く 辺りは住宅街 昼間から人通りのあまりない場所 東麻布 私はレイに遅れないようにオロオロ ソワソワとついていく (おそらくそんな感じ) そのホテルは中世ヨーロッパの城…というより 城主が幽閉されていた城塞というイメージであった 窓の鉄格子が圧倒的な迫力を醸し出している その名は アルファイン 老舗の知る人ぞ知るSMホテル 未だ夏には早い時期

          六本木WAVE 昭和バブル期⑬

          六本木WAVE 昭和バブル期⑫

          猫を預かった話 change the air 彼女もどことなく意味ありげな表情で一点を見つめていた… 長めのカウンターの目線くらいの高さに、右から左へ赤いレーザー光線が走っている なんとも近未来的な不思議な眺めである 闇の空間に長い赤い線が一本描かれている じっと見ていると一瞬トランス感覚に襲われる 奥でゆらゆら揺れて踊る人影がなんだか近く成ったり遠くなったりしていた たくさんの笑い声やささやき声が共鳴していて そして廻廊のような薄闇の中に紫煙と様々な香水の匂いが立

          六本木WAVE 昭和バブル期⑫

          六本木WAVE 昭和バブル期⑪

          l 猫を預かった話 赤いレーザー光線 「レイ…?」 そうだったんだ。 これまで私は彼女の源氏名である「キャンディ」しか知らなかったことに自分でも驚いた。 「本名聞いてなかったな…そりゃそうだ 自分とは客と‥‥という関係なのだから…」 そして彼女の表の顔は 割と売れているファッション・モデルであった この店の誰もが彼女を雑誌のモデルという職種の女性として認識していた 結局私は彼女に対して心の熱をある範囲で維持はしていたが、その温度変化に対して相当に鈍感に放ってお

          六本木WAVE 昭和バブル期⑪

          六本木WAVE 昭和バブル期⑩

          l 猫を預かった話 328  六本木交差点から目的の店までは歩いてもそれほど遠くはなかった ただ雨がぱらついてきたので我々は店の前からすぐにタクシーに乗りその店を目指した。 その店は霞町の交差点の角にあり、西麻布のど真ん中にあった。 世の中がクラブ全盛になるのはこの頃からさらに5年ほど先なのだが、その先駆けともいうべきお店が西麻布近くにはいくつかあった。 RED SHOES、TOOL'S BARそして「328(さんにっぱー)」  https://www.youtub

          六本木WAVE 昭和バブル期⑩

          六本木WAVE 昭和バブル期⑨

          l 猫を預かった話 ジェラシー 「ここは初めて?」 「うん」 「十番に住んでいるから知っているかなと思ったけど良かった!」 「なんだか豪華な感じだね」 店内の華やかな客層(業界っぽい?)に気圧されていた自分はそう思っていた。そんな自分の落ち着かなさに気が付いたのか 「そうでもないよ 結構カジュアルなイタリアンのお店。食べたいものがあればどんどん選んで! でもおすすめはあるから先に頼んじゃうね!」 そう悪戯っぽい顔で言うとすぐに先ほどのボーイを呼んで慣れた調子で注文を

          六本木WAVE 昭和バブル期⑨

          六本木WAVE 昭和バブル期⑧

          l 猫を預かった話 六本木デート  その日は早めに仕事を切り上げ四ツ谷駅前の公衆電話からキャンディに電話した。すぐに出た。 「さっきはごめんね 仕事場で悪いなと思ったんだけどね… ほんとごめんね」 「いや 大丈夫(-_-;) どこに行けばよいかな?」 少し早口になりながら周囲の雑踏をなんとなく気にしつつ電話していた。「夕食は未だでしょ?よかったらご馳走するわ 六本木まで来られる?」「うん 帰り道だから問題ない じゃあ7:30くらいでも良いかな」 「うん アマンドの前は混む

          六本木WAVE 昭和バブル期⑧

          六本木WAVE 昭和バブル期⑦

          l 猫を預かった話 悲惨  受話器の向こうから 「きたのさん 私 キャンディ!この前はありがとう! 電話来なかったからかけちゃった! 今日ね、いつもの〇〇さん(上顧客の芸能人)がリハ長くなるからってキャンセルになったのね それで今夜 急にお茶挽いちゃったの・・ね 会えない?」 「はい わかりました ではあらためてこちらからご連絡いたします!」  今更手遅れなのはわかっていたが、一応誤魔化しセールストークを使いすぐに切った。何もなかったかのように、机の原稿に赤を入れな

          六本木WAVE 昭和バブル期⑦

          六本木WAVE 昭和バブル期⑥

          l 猫を預かった話 キャンディちゃんから電話  私の仕事場は四ツ谷駅のほど近くでバスターミナルから雙葉学園に向かう道を右に曲がったそこにあった。住所で言うと六番町である。そこの古いテナントビルは本社の持ち物でその一階を支社としていた。 広いスペースの半分を別の部署がシェアし、残りの半分が私の部署であった。所長が1名、営業部員がバイトも入れると4名、私は制作チーフで部下の女性が二人いた。一人は同い年の女子大卒、一人はパートで経験者だが10歳年上のいわゆるお局様であった。私

          六本木WAVE 昭和バブル期⑥

          六本木WAVE 昭和バブル期⑤

          l 猫を預かった話 つながった❓ 「実はこのお店は初めて、というか今日だけの約束で友達のピンチヒッターなの。本当はこういう形でお客様と逢うことはないのよ」「へー そうなんだ」私は阿呆みたいに単純に反応したことを少し後悔した。(なにがそうなんだ だよ!と 心の中で自分にツッコミを入れた)   彼女は続けて「ねえ コールガールって知ってる?」一瞬その言葉に違和感を感じた。「うん 聞いたことはあるよ 高級な…お金持ちや有名人のお相手をする…」当たり障りのない答えに「そう 高

          六本木WAVE 昭和バブル期⑤

          六本木WAVE 昭和バブル期④

          l 猫を預かった話 謎の人  インターホン越しに「こんにちは」という控え目な声が聞こえた。オートロックを解除してから私の部屋に着くまでのわずかな時間にあれこれ想像した。すぐに玄関のベルが鳴った。そこに現れた彼女は、先ほどと同じようにもう一度「こんにちは」と言った。そして大きめの濃いサングラスを外した。その小さな顔は日本人離れしていてとてもエキゾチックに見えた。  年齢は20歳前後であったろうか。ショートボブ、身長は自分と同じか少し高めで見た目は雑誌のモデルと言ってもお

          六本木WAVE 昭和バブル期④