器用に生きられない人は不器用なままレベルアップすればいい。
器用に生きられない人は不器用なままレベルアップすればいい。
大人になれ、常識だろ、空気を読め。僕はこの言葉たちが大嫌いだ。いや、正確には「周りと同じになれ」という意味合いで使われるときに拒否反応が出る。
いっそブルボンのお菓子工場で同じ材料、分量で、型枠で製造されるビスケットにでも生まれればよかったのに。
そんな彼らでさえたまに不良品が見つかる。
みんなと同じに生まれてきたらこんな気持ちにならずにすむのに。大嫌いな言葉で締め付けられた夜はよくそんな風に落ち込む。
だけど仕方ない。僕はこの身体で生まれて、母子家庭の一人っ子として兵庫県姫路市の後藤家で育ち、平成も終わりかけの今日、こんな気持ちを持って過ごしている。それは変えられない。
よく不器用だと言われた。納得いかないことがあっても飲み込んで合わせられる人を僕も器用だと思っていた。
でもそうじゃなかったとしたら?
不器用を「かたさ」で、器用を「やわらかさ」だとするなら、他人や空気に自分をはめ込んでしまうのもまた「かたさ」ではないだろうか。
「やわらかさ」はどんなものもスポンジのように吸収したり、アメーバのようにいかなる障害でも形を変化させてするっとすり抜けてしまうもの。
だとしたら余計なことは絶対言わないあいつも、誰から見てもいい子だったあの子も強引にはめ込んだテトリスみたいにギチギチで、本当は器用なんかじゃなかったのかなと思う。
合わせられなくて疲れる。合わせなきゃいけなくて疲れる。だったら不器用なままレベルアップしてしまえばいい。
人に合わせるのではなくてちゃんとその人を好きになる。
なれなければ自分から離れる。
何を言われても動じない知識やスキルを身につける。
自分が役に立てる場所を探していく。
どうしてこうだったのか考える。
それをやっていくうちに「かたさ」は変化していくと思う。
頑固というかたさは外壁は丈夫なのに柱がヘナヘナだ。それにくらべて芯を持つことは大黒柱が頑丈だということ。強い柱さえあればそれ以外はやわらかくてよくなる。
頑固さは芯を持っていることでもある。そもそも柱なんてなくて、どこでも楽しくやれる人というのも存在するのだろうけど、多分僕らはアメーバにはなれない。
だったらでっかい柱をドーンと建てて、好きな人と過ごしていけるようになればいい。
器用になる必要なんかない。
不器用を力にしてしまえば。
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頑固を捨てて、芯をえらぶ勇気を。
強がれ、弱虫。
後藤大
シンガーソングライター/作曲家/文章書き
自分をみとめてあげられる瞬間が好き。
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