恥ずかしいことを書く
送ってもらった具体的なエピソードからあなただけの曲をつくります。という企画を8月からはじめるにあたって、参考になるものがないとむずかしそうだなあと思った。
すでにいくつか送ってもらっている中で「具体的」というのが思ったよりも伝わっていなくてこれじゃ曲が作れないなあという問題が浮上したのだ。
そこでまず僕自身が最初の参加者として1曲目をつくることにした。
小学2年生の時に近所のローソンで万引きをした。
「Mr.マリックの超魔術」という本を見つけて
子ども心に超能力が使いたくなったのだと思う。
無理やりズボンの中に突っ込んで
店を出たところで店長のおばちゃんに捕まった。
けっこう大きな本だったからバレバレだったのだろう。
「家の電話番号を教えて」と言われたけれど
おかんに怒られるのが嫌で「分からない」と答えた。
結局おばちゃんが一緒に家に来ることになり、
意味のない嘘は憂鬱を引き延ばすだけになった。
おかんがおばちゃんにひとしきり謝り終わった後、
僕はバシバシに叩かれ泣いた。おかんも泣いていた。
「あんたなんかうちの子じゃない!出て行け!」
ただただ悲しかったからこその言葉だと今では分かるけれど、
子どもの僕にその言葉は抜けないトゲのように深く突き刺さった。
僕は人に見捨てられることが怖くなった。
ひとりぼっちになるのが嫌で人の目を気にして生きるようになった。
できることよりも、できないことを埋めないと嫌われると思うようになった。
その日、完璧主義の僕が生まれた。
これは今から作ろうとしている曲のエピソードの一部だ。何回かに分けてツイッターで公開していこうと思う。
普段ここまで言語化してからは作らないので自分でやってみても新鮮だった。
例えば「小学2年生で万引きをした」だとか「あんたなんかうちの子じゃない」だとかそういう踏み込んだところがないといい歌詞は書けない。
そのまま使う場合もあれば、違う表現で書くこともあるけれど「あの言葉」と書かれたものが自分にとってリアルであることが大事なのだ。
自分の嫌なところや、ちょっと言いにくいこと、それを書いてしまうからこそ人は感動できる。
だから「実際に言われたこと」や「その時見たものの色や」「商品名」「匂い」そういうものをできるだけ「具体的」に散りばめてほしいと思っている。
恥ずかしいだろう。みっともないだろう。でもだからこそ作る意味がある。だからこそ出来上がった時の感動は思った以上のものになるはずだ。
言えないことだから言ってしまいたいのだ。僕はそれを聞きたい。
ぜひとも参加してもらいたい。
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