五島【本屋の元店長】

台湾の日本書専門店で店長をしています。 海外生活でのトピックや、仕事上の事、雑記など書…

五島【本屋の元店長】

台湾の日本書専門店で店長をしています。 海外生活でのトピックや、仕事上の事、雑記など書き溜めていきます。 facebook : gotou.takayuki.bpfp twitter : @gototakayukitw

マガジン

  • ただのオタクのリーマンが台湾で日本書専門店の店長をやった結果

    2012年から台湾で日本書専門店の店長をやってみて気が付いた 台湾の事、 お店の運営の事、 日本企業の事、 外国語、母国語の事など、 エピソードに抜粋して直に体験した目線で紹介していきます。

最近の記事

毎日が日曜日のように暮らしたい

禮拜天BOOKSのSNSアカウントを2/1からスタートさせました。 禮拜天BOOKSでは、日本ではあまり目にする機会の少ない台湾の雑誌や書籍を中国語が分からない人でもカジュアルに手に取っていただきたく、単純に雰囲気で楽しんでもらえれば良いなという気持ちで、私の独断と偏見で選書した本を紹介、(ゆくゆくは)販売していこうと考えています。 「禮拜天」とは日曜日の意味で、中国語圏には「禮拜」と「星期」という二通の曜日表現があり、禮拜は台湾で主流な曜日表現なので、台湾という単語を使わ

    • ただオタクでリーマンが台湾で日本書専門店の店長をやった結果   その3

      「日本のコンテンツは思ったほど流行っていない?」 日本のアニメやマンガ、ゲームといったポップカルチャーは、ご存じの通り世界中でキラーコンテンツとなっている。 実際に台湾でも日本発のコンテンツは人気だというのは、日本書だけを売る書店が、いまだに営業を続けていられるのは、その人気の裏付けだという実感がある。 では、果たして日本で流行っているコンテンツが、等しく台湾でも流行るのかというと、そういう訳でもないというのは、売上を見ながら感じたところでもある。 例えば、「ドラえもん

      • ただオタクでリーマンが台湾で日本書専門店の店長をやった結果   その2

        「 中国語が話せるようになった!」 近頃のタピオカブームやLCCのお陰で、かなり親しみやすい国になった台湾。 しかしながら、日本人にとっての台湾は、まだまだ知られていない国なのだと思う。特に台湾で話されている言語は中国語(北京語)だというのは、あまり知られていないのではないだろうか。 ちなみに台湾語というのは、書き言葉がない言語で現在では使える人も少ない消えつつある言語と言われている。 台湾語については、私は使えないのですが、かなり興味深い言語でもあるので、機会があれば取

        • ただのオタクでリーマンが台湾で日本書専門店の店長をやった結果   その1

          「台湾人と結婚した!」 2012年10月から2019年8月までの台湾生活の中で、最大最驚のイベントと言って間違いないでしょう。 私の奥さんはアーティストで絵を描いているんですが、彼女との出会いから結婚までのエピソードは何度も飲みの席で「話して」とせがまれたので、やはり稀有な経験なんだと思います。 ちなみに奥さんのHPを紹介しておきますので、気になる方は見に行ってみてください。いずれ別の機会に彼女の作品についても触れたいと思います。 poppy purrs factor

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        • ただのオタクのリーマンが台湾で日本書専門店の店長をやった結果
          3本

        記事

          感想「共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る」

          ゆうこす さんの 共感SNS を読みました。 SNSを使ってセルフブランディングを考えている人には基本的な内容でありながら、語り口調で書かれているので難しさはなく、チャレンジしてみたいと思わせるような書き方に、しっかり読者を意識されているなと感じました。 この本の中でも「共感」や「熱狂」といったキーワードが見て取れて、SNSが影響力の強いマスに近いメディアになりつつある事がよく分かる。 しかし、かつての主流メディアのテレビ、新聞、雑誌と違い、現在のメディアは相互交流が可能か

          感想「共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る」

          【五島崇行とは誰か?】6

          前回は古巣である書店に戻ってくるまで、今回は初めて働く事になった大型書店でのお話しをしていこうと思います。 1000坪越える売り場でワンフロアというのは、当時でも多くはなかったんではないかと記憶してます。 また新規オープンという事もあり、開店準備からしていかなければいけない状況でしたが、それだけの巨大店舗の開店の経験を持った社員も少なく現場は、あまり統制が取れてなかったというのが最初の印象でした。 配属されてすぐに、「常備スリップ付いてるやつは棚に入れない方が良いんじゃないで

          【五島崇行とは誰か?】6

          書店員でも稼げる仕組みを作るには?

          スタンダードブックストアの中川さんが、幻冬舎編集者の箕輪厚介さんが発行する書店員向けのメルマガの中で、 「誤解されるかもしれないけど、儲かることをしたいですね。儲かって、会社、スタッフ、お客様に還元したい」 と話していて、この意見には全くの同意で、 「書店員楽しいけど、給料安いよね」と半ば諦めるのではなく、 「今は安いかもしんないけど、これだったら給料上がるかもしれない」 と常々考えながら、そういう書店を目指したいという欲はある。 もちろん億万長者を目指すなんて大きな事ではな

          書店員でも稼げる仕組みを作るには?

          愛と呪い 1

          ふみふみこさんの半自伝的マンガ。 著者ご自身の体験談を元に、主人公・山田愛子が成長する過程を描く物語ですが、ふみふみこさんのふわっとした絵柄とは裏腹に、内容は多聞にセンセーショナルです。 実父による性的虐待、新興宗教に入信している家庭環境、通う学校もその宗教が母体であり、愛子はそんな世界を壊してもらいたいと願っています。 また実際に起きた事件ともリンクしており、オウム真理教による無差別テロ事件、阪神淡路大震災、酒鬼薔薇と名乗る少年の神戸市児童連続殺傷事件などをリアルタイムで

          【書評】クロコダイル路地(講談社文庫)

          幻想文学といえば本著者の名を挙げる人も多いと思う皆川博子の大長編物語。 物語はフランス革命下の貿易都市ナントから舞台を産業革命期のロンドンへ移し大きく二部構成で進められる。 およそ1000ページの大長編だが読み進めにくいという印象はなく、およそ時間軸に沿って展開していき、場面転換のタイミングで大きく登場人物の名前も挿入されるので、読みながら物語の筋や「これ誰だっけ?」を見落とすというような事もない。 またナント編とロンドン編では物語の雰囲気も大きく異なる為、2冊を立て続けに読

          【書評】クロコダイル路地(講談社文庫)

          【五島崇行とは誰か?】5

          私が川崎店に赴任して前任者がほぼほぼ放棄していた仕事を確実にこなし「買取の川崎」という名前は数値と共に確実なものとなっていった。 現に買取額に関しては秋葉原のメインとなる店舗と同等か、日によってはそれ以上だったが、私自身は川崎はまだまだ伸びるという自信があった。 本社的にも、その流れは感じ取っていたので、早々に間借りしている店舗ではなく、移転すべきというつもりで動いていたと思う。 移転先はすぐに見つかった。今の店舗から徒歩3分。 1階が店舗で2階が倉庫兼事務所という場所に、

          【五島崇行とは誰か?】5

          【五島崇行とは誰か?】4

          書店でのアルバイトをはじめてから、大学中心の生活からバイト中心へシフトしていくのはさほど掛からなかったように記憶している。 はじめての接客。 はじめての発注、品出し、返品。 書店業務の全てが新鮮で楽しかった。 当時はPOSシステムが本格的には導入されておらず、売上の際にお客さんから回収するスリップで何がどれだけ売れたかを管理していた。 数値うんぬんよりも、スリップ現物の厚みが感覚的に売れている本として、体で記憶され、追加数量や新刊の指定数量などは担当スタッフの職人のような第六

          【五島崇行とは誰か?】4

          【五島崇行とは誰か?】3

          私の人生の中で、最大の汚点が大学進学ではないかと思う。 当時は高校を卒業したら大学に行く事が自然の流れで、何としてでも大学には入らなくてはいけないという思考停止した観念のもと、将来の夢も希望もなく受験勉強を続け、センター試験を受け、 そして、センター試験に失敗してしまうのである。  その際の心境は覚えていないが、一応国立大学あるいは有名私学を目指していたので、「こんなはずでは・・・」と思ったに違いない。 とりあえず大学ならどこでも良いんだろと1月末から出願可能な大学を適当に見

          【五島崇行とは誰か?】3

          【五島崇行とは誰か?】2

          前回、誕生から幼少期までをお話ししたので、今回は小中高校時代までの事をお話ししていこうと思います。 この時代は私がオタクの道を進む上で充分な養分を与えてくれる事になりました。 むしろ、そっち方面の記憶しかないです。 ガンプラ ゾイド アマダのブロマイド カードダス SDガンダム キン消し コスモスの謎自販機 各種テレビゲーム SNKの小型アーケード筐体 などなど、列挙していくだけでもワクワクするものばかりです。 各項目について、解説していくと膨大な量になりかねないので割愛し

          【五島崇行とは誰か?】2

          【五島崇行とは誰か?】

          セルフブランディング、パーソナルブランディング、言い方は色々あるけれど、とにかく私のやっている仕事や、価値観や考え方を広く知ってもらいたい、ゆくゆくは一緒に仕事して楽しくなるような繋がりも広げていきたいと思ってます。 本当はもっと早くに気が付いてやるべきだったんだけど、その重要性に気が付くのに43歳の今時分まで掛かってしまったんだから仕方がない。今からやる。 私の顔なじみの人も、そうでない人も、まずは自己紹介からお聞きください。 1975年11月21日生まれ 本籍地は茨城

          【五島崇行とは誰か?】

          東洋経済ONLINEの「日本の書店がどんどん潰れていく本当の理由」を読んで思う所を書きました

          余計な解説を省いた利益算出は一般の人にも分かりやすく、書店業界の現状が理解しやすいと思う。 しかしこの手の記事で書店組織の構造自体に問題を提起するものは、ほとんど見ない気がする。 確かに取次配本制度が利益を上げにくくしているのは記事の通りだし、改善策は必要だ。 じゃあ売る側に問題がないかというと、いやいや問題だらけだろというのが私の意見。 特に大手流通書店はトラディショナルなトップダウン企業だ。 なので、店舗が多ければ多いほど、従業員が多ければ多いほど、指示や報告の伝達に相

          東洋経済ONLINEの「日本の書店がどんどん潰れていく本当の理由」を読んで思う所を書きました