リファインドメント・パワー、洗練され発揮される快適な力
前回
5000mにおける努力の方向性(広い意味では中長距離にとどまらずスポーツや技芸全般)として
「リファインドメント」
と
「ラフファイト」のふたつの方向性があると記事を書きました
今回は具体的にリファインドメントの努力方法を
そして、どうやってパフォーマンスに結び付けていくのか?
対立概念であるラフファイトとの比較を時折交えて
そのあたりを解説していきます
1 リファインドメントとは?の復習
「スピード・スタミナ等を内包しつつ、力みなく快適な感覚で走り抜ける」
これを目標として
良質な方向へ洗練していきながら、再発見をしていくという努力の方向性です
繰り返しの数や、筋力発揮の強度を基準として
単に身体を鍛えるのではありません
・心のありかた
・感覚の持ち方
・気づきや予想予感を大事にする
そういった方向性のあり方を基準として大事にしつつ
鍛えるべき能力を
適切な手段を用いて鍛えていく
鍛えていく過程の
準備と回復もトレーニングの一部として考える
そのように考えています
字義的に
リファインド→洗練された
メント →行動
ここにRe findに対して私個人の解釈で
見つめなおして再発見していく
と、定義しています
2 誤解してほしくないこと
ここで誤解してほしくないことがあります
リファインドメントとは
けっして以下のようなものではありません
・楽な感じ、快適な感じを得るためにスピードやパワーを落とす事
・楽するために目標設定を下げる事
・低いレベルで楽勝すること
・低強度中心の練習をすること
・技術中心の練習をすること
・最低限の練習をすること
などです
また、たんにレクリエーション的に、
単なる快適に運動をしましょう!というものとも
少しちがいます
無理をしない事
本人のキャパシティ内で努力をすることを前提として
・記録水準をあげること
・競技者としてのレベルをあげること
これらを目的とした
れっきとした強化を目的としたあり方であることをご理解ください
3 天才の観察からの気づき
リファインドメントについては天才型選手の観察から気づいたことになります
また、私の中にも程度はともかく天才性は存在しており
世間一般的に常識といわれるラフファイト的な努力をせずとも
それなりの記録を出したことがあります
世間一般的にはよく聞く「え?なんでこんな楽に記録が出るの?」みたいな体験です
これは程度の差はあれど皆さんも経験したことがあるんじゃないかと思います
誰もがその時を再現しようとしますが、リファインドメントの考え方がないと何かの手がかりを得る事すらできないはずです
逆にラフファイト的に努力に努力を重ねて、、、それですら記録がでなかったこともあります
このふたつの差を徹底的に掘り下げて、考えて
導き出した概念がリファインドメントです
天才的な選手は”何を”絶対に死守しないといけないのか?
天才ではない選手は”何を”やって”何を”やってはいけないのか?
この答えが
やるべきはリファインドメントであり
やってはいけないのがラフファイトであると言えます
4 見つめなおすことで、洗練させていく
方向性の大きな特徴として
見つめなおすことで、洗練させていく事があります
対立概念のラフファイトでは重要視されていない事柄です
「故障覚悟で、また故障前提でもいいから
とにかくやらないと鍛えないと結果につながらない」
これがラフファイトです
さて
見つめなおすって何を??と思われるでしょう
あげていきますと
・自分自身の取り組む姿勢は健康的であるか?
・取り組みは丁寧に出来ているか?
といった大きな俯瞰(上から見る)した視点から
・自分の体調や体調の変化
・トレーニングのタイム
・異常の察知や感知
など小さな視点があります
これらの見つめなおしや観察から
どうしたら
・より良いものに
・より研ぎ澄まされたものに
・より強大な力に
・より再現性をもてるのか?
という指針となる方向へ行動していくわけです
5 リファインドメントに重要な項目
ではリファインドメントで重要な要素
重視しないといけない要素
努力の際に必要な要素をあげますと
天才型選手であるならば
1才能・2身体的素質・3感覚(センス)
になります
これを発揮するために掛け算として「4よい環境」があると考えてください
この1~4を天才型は死守する必要があります
1~4に従って正しい知識の元で練習していれば大丈夫です
すこし簡単に1~3の解説をつけますと
・少ない学習量(練習量)でより大きいパフォーマンスを発揮できるのが才能
・生まれつき持っている体格や内臓や血液の強さ、など身体的なもので明らかに一般人より秀でているものを身体的素質
・目標達成のために、一般人より効率的に行えるものを感覚(センス)
例 勝つセンス、体使いのセンス、正しい知的判断をくだすセンス
みたいなものになります
4のよい環境は読んで字のごとくで
練習場所や時間が確保できるとか、周囲の精神的・物資的な支援が得られる
などがそれにあたります
自分は天才ではないと考えている一般的な選手ですと
・才能に変わるのが→ ものごとの準備と回復(とそれを支える知識)、おもに練習に対する身体の準備と回復
・身体的素質に変わるのが→ 良い身体の使い方の学習
・感覚(センス)→ 自分にとって何が良くて何が悪いのか?の知識
・良い環境も天才型選手と同じく必要なのですが、これはなかなか手に入りにくい側面があります
手に入りにくいのですが、本当に記録水準や競技力をあげたいならば本気で良い環境をとるための行動をとってください
今以上の環境改善がむずかしいなら、考え方の工夫などで
いまの環境を最大限に生かせる方法をさぐってみましょう
私は練習での努力よりも、まずは「努力できる環境」を選び取るのが先であり大事と考えています
6 リファインドメント・パワーを高めていく
4で上げました項目を大切に練習にとりくむことで
よりリファインドメント・パワーが大きく育ってきます
当然ですが
ゆっくりペースで気分よくジョグをしているだけでは
リファインドメント性は育つかもしれませんが
リファインドメント・パワー(の基礎)は育まれません
ラフファイトに練習する選手を凌駕するリファインドメント・パワーを高めるには、
レースで真に使えるリファインドメント・パワーを高めるには
天才型なら
・才能・身体的素質・感覚 ×環境
一般的な選手なら
・(練習に対する)準備と回復
・良い身体の使い方の学習
・目標達成の為に自分にとって何が良くて何が悪いのか?の知識
×
環境
このようなものを大事に
見つめなおし、天才型なら消さないようにし
それらをさらに洗練していく行動(練習)・学習が大切になってきます
これがリファインドメント・パワーをレースで発揮するための方法であり
努力というのです
加えて説明しますと
さらに、おおもとになる姿勢(立ち方)や
健康性といった半ば哲学的な面がありますがここでは割愛させていただきます
ツイッターでもチラホラ語っている面もあり
ひとつの形として発信する機会があるとおもいます
7 ラフファイトの努力
一応、リファインドメント・パワーの対立概念でもあります
ラフファイト・パワーの要点をまとめますと
・気迫(あふれる感情)・忍耐・疑わない ×行動量
みたいなものではないかなと思います
ひとつのドラマのもとにみんなで、もしくは一人で熱量をあげて
目標達成の為に何かを犠牲にしまくり
ひとつの信念を強固にいだき
あとはひたすらに努力、努力、努力、努力、
叩け!叩け!叩け!
ハイリスク・ハイリターンで
才能ガチャ、親や指導者の環境ガチャ
ギアに投資すれば記録は伸びるよ課金ゲーム
これで結果がともなえば
ブラボー!感動します、涙がとまりません
マスコミもフォロワーさんも注目します
しかし、栄光を手にするのは頂点のほんの一握り
ラフファイトの世界では結果がすべての
一番以外は敗者らしい、、、、
ちょっと悪く言ってすみません
8 まとめます、ラフファイトとの兼ね合いについて
上記6章ではリファインドメントとの対比を明らかにするため
かなり過激にラフファイトの良くない面を書かせていただきました
もちろん、適度な範囲内でのラフファイトであるなれば
大きく力を求めること、競争する事、勝つために金銭を投資することは
悪い事ではないと書き足しておきます
皆が皆、大きな納得や意味をもとめて走っているわけではないでしょう
勝つことに対して過程や方向性はどうでもいいから全力を尽くす
これを完全に悪い事とは言い切れません
また、すでに強豪チームに所属していて
「そんな繊細に丁寧にとか見直すとか、言ってたら勝てないよ!」という方もいるでしょう
そのような方でも、自分やチームを大切にしつつ
先にあげましたように
・(練習に対する)準備と回復
・良い身体の使い方の学習
・目標達成の為に自分にとって何が良くて何が悪いのか?の知識
などに
少しでも時間と労力を用いて取り組むことは意味があるのではないでしょうか?
現役を引退したら、少しお休みして
リファインドメントな走りに取り組んでほしいなとおもいます
走りはあなたにとって
きっと深く豊かで楽しいものとして手の内に戻ってくると思います
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