リファインドメントとラフファイト
とりあえず公開します、いまから校正や書き直し・書き足しをします
1能力発揮・努力の方向性
2023年1月1日、快適なジョグこそ5000mの練習のなかで
一番大事な練習であると記事をひとつ投稿しました
私が思っていたより沢山の評価を得て、正直おどろいています
以下その記事からの引用になるのですが、
能力発揮についてふたつの方向性をあげています
(以下引用)
5000mのレースを走る際、どのように能力を発揮するか?について選手は以下ふたつの方向性のうち必ずどちらかをメインの方向性として選ぶことになります
ひとつは
「苦しみに耐えつつ、スピード・スタミナ等の鍛えた能力を限界まで絞り出す」方向性
ふたつめは
「スピード・スタミナ等を内包しつつ、力みなく快適な感覚で走り抜ける」方向性
このどちらかです
(引用ここまで)
私自身、以前は前者である ひとつめの方向性にどっぷりつかり
その方向性での自分自身の努力を重ね、強豪校勤務時には選手にも指導を重ねてきました
この方向性の理論も自分でいうのもなんですが、そこそこに習熟しております
徹底的に苦しみに向き合い自分に打ち克っていく努力をしたい選手には
命と引き換えの努力をする方法論を教えることもできます
(その方の人生の責任まではとれませんので、縁のある選手に限りますが)
で、もう一度前出の記事から文章を引用します
(以下引用)
このふたつはアナログ的なもので、必ずどちらかの100%に偏るということはありません
ひとつめ80%+ふたつめ20%みたいに割合の問題になってきます
A ひとつめ95%+ふたつめ5%の走り
いわゆる「めっちゃ頑張って力を振り絞り、我慢我慢の根性レース」
これですと相当にきつい走りになります
B ひとつめ25%+ふたつめ75%の走り
これなら、かなり良い感触のレースになると思います
対してきつさも努力感もないのにスイスイと体が進む感じ
思うように身体が動いてくれる感じでしょう
おそらく長年競技に取り組み走っていらっしゃる方でしたら
程度の差はあれAとBのどちらの方向性も経験したことがあるのではないでしょうか?
そしてBの走りを再現したい!あの走りをもう一度味わいたい!
そう願っているはずです
(引用ここまで)
いかがでしょうか?
そして、このふたつの能力発揮の方向性の違いは
当然ながら努力の方向性の違いでもあるわけです
2リファインドメントとラフファイト
私は、このふたつの方向性の違いを明確なものにしたいと考えています
そして、いまだ未解明なぶぶんが多い後者ふたつめの方向性の究明をすすめるためにも
この能力発揮の方向性・努力の方向性に名称を付けることにしました
「苦しみに耐えつつ、スピード・スタミナ等の鍛えた能力を限界まで絞り出す」方向性、これをラフファイトと名付けました
日本語で説明するなれば「粗い力強さ」みたいなものと捉えてください
そして
「スピード・スタミナ等を内包しつつ、力みなく快適な感覚で走り抜ける」方向性、これをリファインドメント(もしくはリファインド)と名付けました
リファインドとは洗練、メントがつくと動作や行動を意味します
また私個人の考えで「見つめなおしていく、再発見をする」というふくみをもたせています
良質な方向へ洗練していきながら、再発見をしていくという方向性
単に身体を鍛えるのではなく
心のありかたや、感覚の持ち方、気づきや予想予感を大事にする
そういった方向性のありかたです
3ふたつの存在のあり方
このふたつは前述の記事でも書きましたように
どちらかが完全に100%を占めて選手を支配することはありません
どちらかがメインとなり全体的な方向性を決定づけます
現在の日本の強豪高校、大学では
ラフファイト85~90:リファインド15~10
くらいの比率であると予想されます
(強豪女子高校に至ってはラフ95:リフ5くらいの比率です)
ただし、そのチームの中でも個人個人で差があり天才肌な選手は
ラフ70:リフ30くらいの比率で努力をしているように見受けます
ここ数年で何人かいます
(それが誰かはお答えしかねますが)
高岡寿成選手、2度の日本記録樹立について
高岡寿成選手という何世代か前に5000mで日本記録を大学在学中に更新した選手がいます
この方の大学時代の練習メニューやランニングフォームや表情をみる限り
日本記録更新前は
ラフ30:リファインド70くらいの感覚で練習されていたのではないか?と推測しています
高岡選手ご本人が「なぜ、このようなすごい記録が出たのかわからない」と
話していていました
それもそのはずで
ラフファイトとリファインドメントの考え方がない限り、なぜ記録がでたのか?はわからないだろうなと私は考えています
高岡選手が取り組んでいた練習は
練習内容こそ控えめの一般的な練習メニューですが
高岡選手は無意識的に当時の日本人トップ選手の誰よりもリファインドメントにメニューをこなしていたのです
その後カネボウに就職した高岡選手は2回目の日本記録を更新します
2回目の記録は「狙って出した、出さないといけないものとして出した」ということで、より自身の天才性(リファインド)ではなく練習(ラフファイト)に頼ったものとして出しています
そのことから2回目の日本記録はよりラフファイト寄りの努力であったことが推測されます
このようにラフ/リファインド概念の自覚がないと選手は、練習環境や指導者に大きく方向性を左右されるのがわかると思います
そして大きく時代そのものにも、、、
4 ラフファイトの説明
ラフファイトは現在の陸上界
陸上界といわず全てのスポーツ界
それをとりまくスポーツブランドのあり方
そしてマスメディアの報道のあり方
(例・駅伝のTV中継でアナウンサーがどのような言葉を選ぶか?
ネットニュースの見出しにどのような言葉がえらばれるか?)
このような部分を大きく支配しています
そのため、このラフファイトに対して疑問をもつ機会がないことには
「スポーツとはこういうもの」
「練習とはラフファイトである」といった考えに縛られてしまう方が非常に多いのです
(私もバリバリにそうでした)
ラフファイトの特徴として
・とにかく勝てばよい
・苦しいものを頑張るのが価値
・能力は とにかく大きくしておくのが良い
・鍛えた能力を意思、意志の力で限界まで発揮する
まだいくつかありますが
これらラフファイトの特徴も
ある程度の範囲内ならば、人生のなかで意味のあるものを生み出すと思います
不要で完全な悪とは言いません
しかし、問題としてこのラフファイトは追求すればするほど
健康を害する危険性が増します
真面目に真剣に真摯に、この方向性で努力を続ければ
心も、体も大きな故障を負う危険性が非常に高いのです
そして、困ったことに、その危険性を成長のために必要な事とまで考えてしまうのです
5 リファインドメントの説明
この方向性は、主に天才的な選手がとる方向性であると言えます
「力みなく快適な感覚」を勝負に必須必要なものとして本能的・無自覚的・無意識的に強烈に求めるのが天才型選手の特徴です
(ここを無意識的に求める能力がない天才は指導者やつまらない情報に潰されます)
その時代の世界チャンピオンになる選手や、身体的素質がそこまでないが素晴らしい成績を残す選手は間違いなくこのリファインドメントであると考えられます
ラフファイトの方向性で世界チャンピオンになった人物がいるとしたら、その人物は「世界一の苦痛に耐え忍んだ選手」ということになります
よくよく考えてみてください
そこら辺の町を走っているオジサンですら必死にゼーゼー走っています
まさにラフファイトそのもの!
では、その何十倍いや何万倍も苦しい思いや必死な思いを
世界チャンピオンを味わっているのでしょうか?
そんなはずはありません
世界チャンピオンは世界一苦しいはずの行為(レースを一番速く走る行為)を、世界一快適に走るための努力を積んだから
世界一のチャンピオンになれたのです
リファインドメントの特徴として
いくつかあげておきますと
・競技にマイナスとなるストレスを嫌う、またストレスに弱い
・身体の表面はリラックスしている(見た感じは楽にみえる)
・かたよった力の出し方を嫌う
・発見学習能力に優れている、気づく力がある
・変化をこのむ
まだまだ沢山あるのですが
まさに天才型選手の特徴そのものです
ただ、天才型選手の特徴であっても真似することが可能であり
知識として知ることが可能であり
行動指針として身に着けることも可能なことが多いものです
興味のある方はぜひ私とともに追求してほしいと願うしだいです
*一応念のためですが
この考えは完全に私のオリジナルなものではありません
大雑把な原型として1980年代後半に高岡英夫さんという方が著書のなかで「レフパワー・ラフパワー」という概念を発表されており
そこに私の考えや他の理論や思想を盛り込んでおります
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