見出し画像

【ピコピコ音楽レビュー その3】 Portishead - Third (2008)

こんにちは、ゴーヤです。

始まりましたピコピコ音楽レビュー。
将来的にピコピコ音楽(テクノ、エレクトロ)を鳴らしたい大学生が、ピコピコ音楽を中心に自由にレビューしていく記事となっております。

今回はPortishead!!!
あのRadiohead の偉大なる3rd ALBUM 、「OK Computer」に影響を与えたことで知られる偉大なるTrip Hop 全盛期のアーティスト!
1st、そして2nd は鑑賞済みだったため今回は割愛させてもらいました。
前2作がとにかくかっこいいんですよ!皆さん是非聞いてください!
色々と書いている通り、大のRadiohead ファンなのでそのうち彼らのことも取り上げたいですね。

くう~アー写かっけええ


Portishead - Third (2008)


今回何故彼らを取り上げたかといいますと、この曲が理由です。

これヤバいんですよ。本当にびっくりした。
最近の曲で一番びっくりした曲です遅ればせながら。
それこそRadiohead がアコースティックカバーを出してた曲だったので前から知ってはいましたが、これは圧倒的に原曲が名曲過ぎる。

今回はこの曲の感想も交えながらレビューしていきます。
レッツピコピコ!!


曲別レビュー

①Silence

アフロビート、、、!?(あんまわかってない)
確実に今までとは違う。
Track的なまとまった曲構成や、妖艶な雰囲気はそのままですが、
2nd期のようなザラザラした音質は鳴りを潜めクリアーな印象に。

こんなにもギターが前面に出るとは。
ちょっとRadioheadの変化に通づるところがありますね。
しかも曲が段々盛り上がっていく構成もトムヨークっぽい。
なんか互いに影響与え合ってる感じがいいですよね。

トムヨークってやっぱイケメンじゃね、、、?

②Hunter

めっっっっっちゃ深いところで鳴ってる、地鳴りのようなバスドラ?が聞けます。
ギターがもう歪み過ぎててなんじゃこりゃあ!
Mix が面白すぎますね。

ひとつひとつの音が聞こえやすくなったので、生音を聞いているような陶酔感があります。
今まで機械音楽で完全にこっちの世界とは切り離されていたPortishead が、なんというか生音になって近づいてきたような感じ。
鮮明に見える。演奏する手だったり足だったり。
でもまだ不思議な部分、ミステリアスな部分は残ってて、そこがすごくドキドキするんですよね。もう恋の文面じゃんこれ。

③Nylon Smile

フォーキーな民族っぽい音と、ピコピコ音が混ざる。
しかしこの不穏さよ。これがPortisheadよ。

フォーキーとはいってもなんともドラムのMix がもうほんとに絶妙で、すっごい淡々としてるんですよね。冷たいんだかあったかいんだかわからない、でも姿は見える、そんな怖さがあります。
そんな中でもアコギの哀愁が凄まじいですから、つい拍手したくなる。
ていうかなんか三味線みたいな音ですね。四谷怪談みたいです。

④The Rip

これ!キタコレ!これヤバイ!!!
始まりはまるでThe Velvet Underground の「Femme Fatale」です!
この圧倒的地下感!陰キャには居心地がよすぎる!

そして途中の展開Radiohead すぎるでしょ!
でもこのつかみどころ無さはトムヨーク真似できませんよ~。
この冷たいシンセの響きに、Femme Fataleといわんばかりの謎の妖艶な声。
ミステリアスすぎる!ミニマルすぎる!リズムで遊んだりとかもない!
いやあこれは最も美しくて怖い曲に入るなあ…!

⑤Plastic

プラスチックペットボトルを真っ二つにして、その断面で手を切っちゃったみたいな曲。すいません意味わかんないですね。
そういった痛々しさを感じる曲なのです。
録音を再編集して不自然なドラムの音にしてるのがなんとも気持ちが悪いですね。

このファンファン回転してるような音はなんだ…?
ノイズとかシンセとかがここにきてめっちゃ暴れ始めました。
こっちは気持ちがよいです。

⑥We Carry On

これ一番好きかもな、、、。かっこよすぎる。
盛り上がりがすごいです。ロボットの空虚なパレードのよう。
こういうリズムパターンに挑戦するの意外だ…!
もはやヒップホップの面影はもうない。
ドラムとボーカルの反響音凄い。
機械音と生音が織りなす陶酔感が気持ちよすぎる。

ギター入るのがすごくいいですね。
ロック好きの仕業としか思えないのですが。
ノイズギターでかき消されていく機械パレードという展開、マジでセンスの塊だあ。
ちな6分超え。ちょい長。

⑦Deep Water

弾き語りがきました…!まじか…!
この流れで聞くと安心するような逆に不安になるような(笑)
凄いな。ここまでチャレンジするとは。
これまたMix が絶妙。
謎は深まるばかり。

⑧Machine Gun

ドラムがめちゃめちゃに暴れる曲。
タイトル通りまるで銃声のようなビートが続きます。
一つのリズムパターンを色んな音色で聞かせてくれる感じです。
ドラム歪みまくりやな。これ、ライブだったらマッチョしかできません。
最後のシンセによる曲展開も怖いくらい暴力的で魅力的。

そしてボーカルがとてつもなく神秘的。もうこれは女神の視点です。

⑨Small

Small とか言ってるけどアルバムで一番長い全然Large な曲。
弾き語りで始まったかと思ったら、ゴリゴリのTrip Hop が始まり(始まり方がまさにRadiohead 「Exit Music」)、さらにDoors 的なキーボード主体の即興(っぽいもの)が始まったではありませんか!

なんだよこれ…!こんなプログレみたいなこともやっちまうのかよPortishead…!!
想像以上に遊びまくりですね。
これは10年越しのファンは大喜びですよ。

⑩Magic Doors

ピー音で始まる10曲目。このアルバム後半ヤバイな。
アルバム内で唯一メロディが立ってる、歌として聞きやすめな曲
Portisheadの曲としては異常ですが、とても聞きやすいです…!(安堵)

シンプルにかっこいいですね。ちゃんとTrip Hop してるし。
途中のピアノの展開も王道で聞きやすい。
そしてシンセが神社の音みたいなんだよなあ。
神社でよく聞く音です。
この日本のオカルトな雰囲気なんなんだろう。でもすごくPortisheadっぽい。

⑪Threads

おおーこれぞPortisheadみたいなサウンドですね。
幽霊でも出てきそうな映画的緊張感のあるシンセの音(かなり「Glory Box」に似てる)に、怪しい呪術的なドラムさばき。
1stの音作りはスパイ映画やら何やらを参考にしているみたいな話でしたが、まさにそのような音作り。

しかし展開を見てみるとどうでしょう。
プログレが始まった…。(困惑)
ついにまさにPortisheadなサウンド「Glory Box」でさえも、生音にして、肉体的にして、暴れさせてしまった…!
極めつけに、ラストの展開で、今まで鳴っていたTrack はすべて闇に消えていき、歪みギターのみを聞かせるという突き抜けっぷり。
これはヘビーすぎる…!ロックすぎる…!メタルすぎる…!
もうTrip Hop とは言ってられないかもしれない。

そんなこと言ったら殺されるかもしれない…。


全体レビュー

アルバム前半はTrack 的な考え方をまだ踏まえつつ、音色や楽器などが今までのPortisheadとは離れたものを使っていました。
アルバム後半はTrack 的な考え方から完全に離れ、即興のプログレ的展開を取り入れたり、従来の自分たちの作風を見つめなおしているような雰囲気を感じ取れました。

こうして見えてきたのは、Portisheadが段々と自由になっていく過程です。

Trip Hop という狭いTrack 的考えの音楽からの脱出、そしてアコースティックナンバーやプログレなどの多ジャンルへの挑戦。
このようなアーティストの独自性に迫っていく作風は、まさにオルタナティブロック的姿勢といえます。
そしてその代表格、Radioheadとの深い共通性を感じさせます。

オルタナといえばこいつらだ!

この二アーティストの関係性はなんつーか熱いものがあるんですよえー。
同じ時代に違った場所で、でも影響を濃く与え合いながらやっていってる感じがね。(※筆者の妄想もあります)

まあなんにせよ、すごかったなこのアルバム…!
全体的にMix が面白い。生音にした分ミステリアスさが減っちゃうと思うんだけど、それをヘンテコなMix でそのままにしている。
あの無機質で冷たくてちょっと怖いPortisheadはそのままに、うまく音楽の新しい未来を提示した。
Portishead でしか描けない何かをまた更新できてしまうという凄さよ。
ヘビーで暴力的なPortisheadなんてお前ら、ぶっ飛んじゃうだろ!?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?