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青春デンデケデケデケ

夏になれば思い出す。
高1の夏。僕の机の上には夏休みの宿題と一冊の本があった。

いかがお過ごしでしょうか。ぐっでぃテレビのモーリーです。
みなさん『青春デンデケデケデケ』ってご存知ですか。
若い方は全く何のことが分からない方もいるかもしれません。

『青春デンデケデケデケ』とは芦原すなおさんが書いた青春小説で直木賞も受賞した作品です。

なぜ私が夏になればこの『青春デンデケデケデケ』を思い出すのかというと、非読書家青年である私がその夏、背伸びして初めて自分の意志で小説を手にしたからです。

非読書家青年が一冊の本と出会う

私は読書が好きなほうではなく、活字ばかりの小説なんてかったるい。物語なら映画やドラマで見るほうがすんなり頭に入っていい。なんて思う方でした。

今思うと無意識に本は  ”情報を得るためだけのもの”  といったジャンルに勝手に分類していたように思います。絵や写真の補足に文字があるのもしか、熱中して読めない、少なくとも中学生まではそんな感じでした。

そんな非読書家青年が高1の夏に出会った本が『青春デンデケデケデケ』でした。

高1の夏!ちょっと背伸びする僕!!

時は高1の夏。
中学生時代とは違い行動範囲が広くなった私は、少し背伸びして夏休み本気で読書を一度してみようと思い立ち、自転車に乗って本屋さんに出かけます。(高校に進学し自転車通学となり、自由に校区外へ行けるようになった。今考えるとかわいいですね。)

というのも私には小中同じ学校に通う仲のいい友達がいて、彼は無類の読書家で、遊びに彼の家に行くと「暇つぶしに本を読んでいた」という名言を吐くくらい軽いノリで、しかも短時間で字ばかりの小説をシャンシャン読んでいました。普段は私と一緒に野球をしたり、海に言ったり、冗談いったりしているのに、家に帰るとサクッと小説を読んでいる。凄いなぁ~大人やなぁ~なんかカッコいいなぁ~なんて心の奥で思ったりしていました。

「今年の夏は高校に進学したことだし、私も彼のようにサラッと読書してみるぞ~!(夏休みの宿題に読書感想文もあるし・・・)なんてったって小説を片手にもつ高校生なんてカッコいいし・・・」と意気込んで本屋さんに行ったのは良かったのですが、文庫本コーナーに入るや否や、読みたいと思える本が全くありません。

どの本を手にとっても字ばかりで下手すりゃストーリーのテイストすらわかりません。そりゃそうですよね。これまで学校の教科書か雑誌、変化球の投げ方みたいな教則本か洋楽名盤100選みたいは本しか持ってないんですもんね。

手あたり次第、本の表紙、タイトル、あとがきなど読みながら自分に合うテイストの小説を探します。そして一冊の本と出会います。

『青春デンデケデケデケ』

【ちょっと一息】
高1の夏私が手にした本の表紙と同じものがアマゾンで売ってる!感激!

本の表紙を見た瞬間!これなら読める!!
表紙はアビーロードのパロディだし!きっと音楽ネタ満載に違いない!内容も明るそう!しかも青春って書いてあるし、題材は僕と同じ高校生活!!これしかないっ!

読書は主人公目線になれる

家に帰って、早速買った『青春デンデケデケデケ』のページを開いてみます。うぉぉ~読んでも読んでも字しかない!!(当たり前ですが・・・)

最初はそう思ったのですがここは頑張らねばっ!と思い読み進めていくと、意外とスラスラ読めるじゃないですか。しかも何となく頭で情景を想像しながら読んでいる自分に気づきます。

【ちょこっと簡単に『青春デンデケデケデケ』のあらすじを紹介】
物語のスタートは1965年春の観音寺。高校入学を控える主人公”ちっくん”がラジオから流れてきたベンチャーズの『パイプライン』を耳にしたことからロックに憧れ、高校生活を音楽に捧げるといった青春小説。香川県観音寺市を舞台に田舎の青年たちが音楽・恋愛・受験など様々なことに悩みながらも真っすぐに毎日を過ごした高校3年間が描かれています。

なるほど~読書ってこういうところが面白いんだ~。
文字を読んで、それを頭の中で自分なりに映像化する。さらに映画やドラマのように主人公を俳優が具体的に演じていないので、主人公目線でストーリーに入り込めるんだ。

これが読書の醍醐味だったのか!!

ちなみに『青春デンデケデケデケ』は 大林宣彦監督にて映画化もされており、自分が小説を読んで頭の中で想像し変換した 『青春デンデケデケデケ』の絵と、大林宣彦監督によって映画化された『青春デンデケデケデケ』の微妙なタッチの違いなどを楽しんだのも、今の映像を作るといった仕事の礎となっている気がします。

結果論ではありますが、この本との出会いで、活字を頭の中で映像に変換する面白さを知り、今の仕事にへ導いてくれたのかもしれませんね。

本当に出会いって不思議だ~。

いいなぁ~!!僕もこんな高校生活がしたい!!

『青春デンデケデケデケ』を読み終えて高1にして3年間の高校生活を疑似体験した私は、主人公の”ちっくん”のように音楽・恋愛・勉強・そして友との友情に力いっぱいまっすぐにぶち当たろう!!と心に決めます。

今大人になって、高校生活を振り返るとそれなりにまっすぐと青春の日々を過ごせたと思いますが、『青春デンデケデケデケ』の”ちっくん”のように高校時代はバンドで舞台に立つことは出来ませんでした。(大学に入ってから憧れの舞台に立つことができました。あの時嬉しかったなぁ~!)音楽・恋愛・勉強・・・どれをとっても平凡で殻を破ることができなかったんです。

けれどもこれが実は青春なんじゃないかなぁ!っておじさんになって思えます。

100%満足いくような行動が出来たら青春じゃない!!何となく殻が破れないから青春なんじゃないかなぁ。

そしておじさんになった今も100%満足いくような行動なんてできていません(笑)殻を破るようなこともできていないし、めっちゃ普通の平凡なおじさん。なのでまだ私は青春真っただ中なんです!!

『青春デンデケデケデケ』の舞台が香川県観音寺市で、私は兵庫県明石市。
共に瀬戸内のうみの街で私と同じ高校生。感情移入しやすいシチュエーションだったからか、今考えるととってもいいタイミングで、いい作品と出会えたと思います。

どんな出会いも大切に!!出会いから刺激を受け、影響され、自分が形成されオリジナリティが生まれる!!
結果はどうであれ一生懸命もがいたことに意味がある!!
焦ることはない!!いくつになっても一生懸命青春しましょう!!

読んで頂きありがとうございます。 『映像制作をもっと身近に、もっと気軽に』という思いでnoteを始めました。 noteでは映像制作に関するtipsや話題をはじめ、ぐっでぃテレビの中の人たちによる他愛のないお話まで幅広く綴っていきたいと思います。