田中 良樹 @マスタードノタネ

1978年生まれ、現在、特別養護老人ホームの管理者として働いています。地域の医療福祉を…

田中 良樹 @マスタードノタネ

1978年生まれ、現在、特別養護老人ホームの管理者として働いています。地域の医療福祉を繋ぐ「マスタードノタネ」を仲間達と設立。地域福祉、コミュニティデザイン、認知症ケア…日々感じるモヤモヤを発信します!

最近の記事

控えめに言って秋田は最高だった。

介護業界にイノベーションを生み出している経営者がいる。(株)あきた創生マネジメントの阿波野さんである。彼のバイタリティは何なのかを知りたくて学びたくて、そして何よりリアルで会いたくて能代市へ向かった。 今までオンラインではたくさんご一緒してきたが、「はじめまして」の言葉に不思議な感覚を覚えた。「コロナ禍のおかげで生まれたご縁だね」なんて笑いながら、郷土料理ときりたんぽ鍋を囲みながら最高の夜を過ごす。 介護業界や地域の課題から逃げずに正面から受け止めて、現状を改善しながら前

    • はじめての電子書籍 #2

      「おやすみ」から「おはよう」までを繋いだ 仕事終わりのナースコールの音は 幻聴のように いつまでも耳に残る。 心地よい音では決してないが、 新しい朝を迎えたファンファーレのようで 張り詰めた緊張が安堵に変わる。 そんな介護の世界を知ってほしい。 最初はそんな思いだったかもしれない。 だけど、思いを文字にすればするほど 幸せの意味を考えるようになった。 幸せの価値を考えるようになった。 実は福祉って幸せという意味らしい。 幸せとは星が降る夜と眩しい朝が 繰り返すようなもの

      • あなたの理想のケアとは?

        あるイベントの申し込みフォームに「あなたの理想のケアは何ですか?」という質問があった。200字以内で書くという難問だ。 私は理想のケアとは当事者が理想のケアとして答えを出すものであり、支援者視点で理想のケアを語るべきではないと捻くれた考えをしている。そうすると答えは成立しないので、この質問に関しては、あなたの理想のケア=私が受けたいケアと理解して入力することにした。 「皆さぁん。お元気ですか?」というCM 40歳以上の方なら多分ご存知のキャッチコピーだと思うが「くうねるあそ

        • 孤独は日にち薬で治すものではない

          日にち薬という言葉がある。 怪我や病気を治すために特別な治療をせずに自然の力に任せるという目的で使うことが多い。 本来は痛みや苦しみ、悲しみなどを癒す時間の経過を薬に例えたものである。 つまり、身体的な部分だけでなく、内面的な部分を癒すことが必要なのだ。それを考えずに安心させようと軽いノリで使う場面も多いが、実際は不安を煽ってしまう言葉になる可能性がある。 介護という仕事柄、生と死への向き合い方や意味を問われる(問う)事が多い。 例えば、「早く逝きたい」と言う高齢者の言葉は

        控えめに言って秋田は最高だった。

          自分を形成した音楽とアメリカンカルチャー

          母の日、少しだけ奮発した寿司を持って実家へ行く。フラワーとかスイーツとかお洒落感は全くないが、入れ違いで兄がカーネーションを持ってきたので良しとしよう。 最近、コンビニでLightningという雑誌で「THE USA」という特集を見た。学生時代にジーンズやスニーカー等のアメリカンカルチャーに憧れた日々を思い出した。ふと昔買ったファイヤーキングの「ジェダイ」というマグカップが実家にある事を思い出した。1950年代前半に作られた物である。母には言えないが、ジェダイを持

          自分を形成した音楽とアメリカンカルチャー

          にしやたキラキラ情報局

          にしやたキラキラ情報局の撮影へ向かう。 生憎の雨で撮影するには気持ちが乗らないが、情報局の仲間に会うと自然と「楽しむ」気持ちに切り替わる。 活動がスタートして半年が経過した。 今日の撮影で10作目になる。 綾部市西八田地区は6つの町を区域とする人口1500人強の小さな地区である。 移住者や宅地の造成地が増え、人口は少しずつ増加している。しかし、高齢化率の上昇や次世代リーダーの担い手等、様々な地域課題の話を聞く機会は多い。 にしやたキラキラ情報局は、当初コロナ禍の長期化に

          にしやたキラキラ情報局

          コロナ禍から生まれる地域コミュニティのカタチ

          コロナ禍において高齢者の社会的孤立が増加しているという記事を見た時は「そうだよなぁ…難しい問題だなぁ」と人ごとのように思った記憶がある。 この状況が2か月、3か月、半年と続き、永遠に続くんじゃないかと不安を感じながら毎日を過ごす中で変わった事は、オンラインの普及とオフラインの制限という新しいライフスタイルの受容であった。 しかし、受容はできても共感できない暮らしがあり、高齢者に限らず多世代に渡り社会的孤立は増長されている感覚がある。 そんな思いを持っていたのは僕だけではなか

          コロナ禍から生まれる地域コミュニティのカタチ

          無感情から誰かの光になる

          生きることは誰かの光になる事。自分自身の命をすり減らす事で誰かの光になる。そうやってお互いに照らし合っている。 最近読んだ小説の一文である。シンプルに僕もそうありたいと漠然と思った。 介護の世界で仕事をしていると、そう感じる場面がすごく多く、長く仕事を続けている理由ともいえる。 だけど、命をすり減らす事で怒ったり、泣いたり、不安になったり、笑ったり…自分の感情と上手く向き合うために色んな悩みやプレッシャーを抱えている人も多い…僕もそうだ。 自分で決めた道だからやるしかない

          無感情から誰かの光になる

          御朱印というデザインを紐解く

          西国三十三所をご存知だろうか。 近畿と岐阜県に点在する33か所の観音信仰の霊場である。これらの巡礼は日本で最も歴史があり、草創1300年になるそうだ。 僕は数年前から西国三十三所の巡礼を始めた。 巡礼はスピリチュアリティが目的というよりも、 御朱印ブームに乗っかったという安易な目的だ。 何かバチが当たりそうだが、 子どもの頃に夢中になった「キン消し」や「ビックリマンシール」集めの感覚に似ているのだ。 僕なりの御朱印の楽しみ方がある。 御朱印は巡礼の思い出を振り返るためとい

          御朱印というデザインを紐解く

          力を抜いて可塑性を持つのか、 力を抜かず弾性を持つのか、 フレキシブルに生きることの意味が変わるだろう

          NEWS or YouTube? 最近、僕の周りではニュースを見なくなったという人が多い。 実は僕もその一人だ。 コロナ禍における暮らしの価値が大きく変わる今、 先の見えない不安や不満といった感情に新しい情報が加わることによって、 日々変わる新しい価値に順応できない自分がいる。 つまり、新しい情報は大きなストレスになっているのだ。 ニュースを見なくなった代わりに YouTubeで旅のチャンネルをよく見ている。 国内外問わず飛行機の旅、豪華客船の旅、夜行列車の旅など… 旅に出か

          力を抜いて可塑性を持つのか、 力を抜かず弾性を持つのか、 フレキシブルに生きることの意味が変わるだろう

          高齢者が若者を「ケア」する仕組み

          伝統と身土不二 最近、知り合いのお母さんに手料理をごちそうになった。 茄子の煮浸し、切り干し大根、胡瓜の浅漬けなど自家菜園で採れた野菜をふんだんに使った贅沢なメニューであった。 長年、調理の仕事をしていた方で上品かつ素材を活かした味つけは最高に美味かった。 身土不二という仏教用語がある。 人の体と暮らす環境は一体で切り離せない関係という意味である。 特に食に関してよく使われ、自分が暮らす土地でその季節に収穫したものを食べる事が健康に良いという考えである。 地域には習慣や風

          高齢者が若者を「ケア」する仕組み

          地域のルーツから人間性を辿る

          あなたは住んでいる地域の歴史やルーツをどれくらい知ってますか? 最近、町の魅力を探る取材に同行した。 その中で、まちづくりを活動的にしている年配の方から町の歴史についてお話を伺った。 戦国時代は有力な殿様が統治していた地域ではなく小さな豪族が点々と存在していたこと。 明治・大正時代は農業と蚕業で生業をしている人が多く、養蚕農家が共存を図るために村民等が出資して製糸会社が誕生したことや暮らしと信仰の関係性など…とにかく地域の歴史背景は貧しかったそうだ。 人間性は継承される

          地域のルーツから人間性を辿る