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地域のルーツから人間性を辿る

あなたは住んでいる地域の歴史やルーツをどれくらい知ってますか?

最近、町の魅力を探る取材に同行した。
その中で、まちづくりを活動的にしている年配の方から町の歴史についてお話を伺った。

戦国時代は有力な殿様が統治していた地域ではなく小さな豪族が点々と存在していたこと。
明治・大正時代は農業と蚕業で生業をしている人が多く、養蚕農家が共存を図るために村民等が出資して製糸会社が誕生したことや暮らしと信仰の関係性など…とにかく地域の歴史背景は貧しかったそうだ。

人間性は継承されるのか…

地域の歴史は貧しさとの因果関係で生まれてきた経緯がある。それは住民の人間性にも反映されている。貧しさの中で助け合いの精神が築かれたり、我田引水の考えを良しとしたり、その人間性は昔のことではなく、豊かな今の時代にも継承されているという。

物の価値やライフスタイルが大きく変わった「現代」からすると信じがたい話かもしれない。
しかし、長年この地域に住んでいる僕にとって、人間性の継承について納得できる事も多くある。
特に高齢者施設で働いている中で、自覚はしていないが感覚的に人間性を捉えていた節がある。
「ここから有名人が生まれないのは我を出さない地域だから」という高齢者の言葉をふと思い出した。
これも地域の人間性を表している言葉かもしれない。

医療福祉の専門職として、どれくらい地域の人間性を理解しているだろうか。
もちろん理解しなくても仕事はできる。
もちろん一人ひとり性格や価値観は違う。
しかし、地域の歴史やルーツを知れば、コミュニケーションや支援のあり方は変わるはずだ。
地域医療やケアの観点に関わらず医療福祉の専門職は、これから地域の歴史やルーツから地域性を学ぶ事が重要になると考えている。

地域創生やまちづくりはずっと昔から行っていた

全国的に地域創生やまちづくりの取り組みがされているが、実は地域では昔から当たり前にされてきた事であり、決して特別な事ではないと取材の担当者が話されていた。
僕が住む地域には貧しさという逆境から生まれた歴史があり、そこには住民達の人間性から生まれたコミュニティがある。それはいわば地域創生やまちづくりだったとも言える。
自分達が住む地域の問題を自分事として捉えてきたからこそ生まれた歴史なのだ。

これから先、どんな時代になっても、どんな苦境な状況になっても、地域には変えるべきものと変えざるべきものがある。
全国ではコロナ禍の状況で発症者が村八分になっている地域もあると聞く。
今こそ、地域の歴史やルーツに立ち返ると解決のヒントが隠されているかもしれない。

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