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カサンドラになったらQOLが上がった話

「カサンドラになったらQOL(Quality of Life=人生の質)が上がった」と言ったら「は?」と思われるかもしれません。

が、私はそのケースです。

もちろんカサンドラの症状は苦しいですし、ならずに済むならそれに越したことはありません。しかし「カサンドラになったからできた決断」もあります。それは大きく「(発達との)離別、退職、引っ越し」の三つです。

今回は、カサンドラになってなぜQOLが上がったのか、その理由やプロセスと結果、方法などについてお話しします。

カサンドラ当時の暮らし

カサンドラ初期、私には比較的高い収入がありました。ビジネスに精力的で家庭も大切にし、たまには幼い息子を職場に遊びに連れていくいいパパです。一方で経営ストレスやプレッシャーなどもあり、何よりも発達弟の問題は苦悩の種でした。

当時の暮らしに満足していたのか?と問われると、私はしていなかったと思います。とくに仕事面で背負わなければならないものが多いし、発達弟が問題となってからいっそう安らぎがなかったから。

カサンドラになると状況は悪化し、この時期は妻との関係もぎこちなくなりました。息子と存分に遊んでやる気力もない。発達弟は容赦なく内部から事業を破壊してくる。経営状態も芳しくない。もっともストレスフルな時期でした。

確かに収入は人並み以上にありました。しかし幸せじゃない。はたからは順風満帆に見えたかもしれません。でも実態はカサンドラなのです。

QOLが上がった今の暮らし

今は当時よりも収入がガクンと落ちました。何とか生活できる程度には稼いでいますが、額にして1/5ほどの収入になったと思います。つまり貧乏になった。でもQOLは上がりました。

なぜか?

その理由は「(発達弟との)離別、退職、引っ越し」の三本柱にあります。

①離別

発達との離別は、仕事において「内部から破壊される事業を都度補修し、その作業にだけ追われる非建設的な重労働」から解放されるということでもあります。わかりやすく言い換えると発達のストレスからの解放です。

夫婦間にたとえるなら「家庭内のすべての尻ぬぐいを当たり前のようにさせられ育児も丸投げされ感謝の気持ちもなく、あまつさえ自分を棚に上げた小言でストレスを与えてくる発達夫への非建設的な重労働」から解放されるといった具合でしょうか。発達との離別が自分の心や暮らしにどういう影響を与えるのか、想像は難しくないと思います。

カサンドラを克服するには発達との離別が前提と私は考えています。ストレスの元凶から離れるのは当然のこと。

色々な事情があるにせよ、心が壊れてしまっては元も子もありません。まずは自分を守るのが最優先です。

②退職

語呂がいいので退職と書きましたが、厳密には事業の撤退です。無職になるわけですからまぁ退職みたいなものだと思ってください。

これにはさまざまな理由があります。発達弟に与えられた事業ダメージの回復が困難だったのと、弟を支援するリソースを確保する必要があったこと、私の精神状態が限界を超えていたことなどです。最終的にリフォームよりも解体の方がコスパがいいと判断し、思い切って退職しました。それは仕事のストレスからの解放を意味します。

今、私はマイペースに自宅で仕事をしながら生活に必要なお金を稼いでいます。カサンドラ期間はこうして過ごしていました。最近ようやく気力が復活してきたので、また事業をやろうと準備を始めています。

経済的自立性を養うのは、カサ克服に効果的でしょう。経済的自立性の大切さについては後述します。

③引っ越し

最後の三本柱「引っ越し」です。

当時は東京に住んでいましたが、今は自然豊かな田舎に住んでいます。自然に囲まれながら、時にはアウトドアやハイキングを楽しんだり、ゆったりマイペースに家族との時間を過ごしたいと思いました。それが病んだ心を癒すのにもっとも効果的だと考えたのです。とてもいいリフレッシュになりました。

病んだ中での引っ越し作業は確かに大変です。ですが一ヶ月だけ頑張って準備すれば、あとはスローライフが待っている──。そう思って自分に鞭を打ちました。妻も協力してくれました。

今は以前よりも家賃がずっと安いオンボロ家に住んでいます。以前の「部屋が余っていたきれいな家」より、DIYで少しずつ好みの内装に仕上げていく今のオンボロ家の方が好きです。

また確かに収入は落ちましたが、生活コストそのものが東京で暮らしていたときよりも抑えられるので、生活の質そのものが落ちたとは思いません。むしろこの通りQOLは向上しています。家族で穏やかに過ごす時間が圧倒的に増えたし、自然と触れ合う機会も増えました。気が向いたら海水浴や釣り、BBQなどに出かけ、家族で買い物や観光を楽しんだりゲームを楽しんだり。

この穏やかで幸せな暮らしは、カサンドラを機に人生を大胆に断捨離しなければ手に入らなかったでしょう。

発達に学ぶ、本当に幸せな社会とは

ぐっばいカサンドラ本編でも言及していますが、私は「発達に住みよい社会は、定型にも住みよい社会」と考えています。過度な社会的責任が、発達や定型の心を蝕む根本たる原因だからです。

カサンドラになり私が実行したのは、まさにこの「社会的責任からの自己解放」でした。仕事をやめてフリーになり、田舎でマイペースにゆったり暮らす。確かに将来などを思えば経済的な不安があります。ですが私には過去にいくつものビジネスで成果をあげてきた実績があります。ですからいつでもビジネスを開始できるという自信がありますし、その実績があったからこそ妻もこの大胆な改革を受け入れてくれたのだと思います。

今は責任の少ない環境で生きています。それはとても心地よく快適です。そしておそらくこの環境は、発達にとっても住みよく心地よいものなのではないかと思います。

このスローライフな人生のフォーマットを、いつか発達当事者だけでなく定型の人々にも広く採用してもらいたい──と思うのです。

さいごに~経済的自立性について~

私のように幸運なケースはレアだと感じる人がいるかもしれません。多くの人は事業経験があるわけではありませんし、発達と離婚するにしても多くのカサンドラ女性は経済的な不安が大きいはずだからです。

私の場合「たまたま稼ぎ方を知っていた」というだけの話で、経験がなく稼ぎ方を知らない人でも、実際に挑戦すれば意外と簡単に収入源を確保できます。まして今は働き方が多様化していますし、商売のコツさえわきまえておけばネットだけで生活費を稼ぐこともこの通り十分に可能です。

私はネットビジネスの勧誘などに好感を持っていません。しかしインターネットがビジネスに有用なのは明らかです。現に私は以前、ネットだけで(しかもお金をかけずに)マーケティングとプロモーションを行い、やがては自社商品を海外諸国に輸出するにまで成長させた実績があります。

経済的自立性を求める方には、ぜひ先入観や固定観念を持たずあらゆる可能性に目を向けていただきたい。現代のビジネスは、慣習や既成概念にとらわれる必要がないのですから。

※私はビジネスの勧誘などを行っていません。ビジネスパートナーなどは募っておりませんことお留め置きください。

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