ぽん

田舎と都会の境目に住んでいます。 心の余裕があれば、大体のことは好きです。 心の余裕が…

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田舎と都会の境目に住んでいます。 心の余裕があれば、大体のことは好きです。 心の余裕がなければ、大体のことは嫌いです。

最近の記事

多様性

「多様性!なんて便利な言葉!」 これはうちの母の口癖である。 うちの母は悪い人ではない。ただ、自分の育ってきた環境に忠実な人だ。 「私の時代はおわりました」とも、母は言う。 その本質は教育にあるらしい。私の頃の学校と、おまえの学校は、違うから、と。 確かに、今の学校では多様性が重視される。いつだか卒業した私の母校たちも、今では女子のズボン着用が認められている。母の頃は、そんな思考すら誰も持ち合わせていなかっただろう。 みんなを認めましょう。みんな違ってみんないい。と。 認め

    • 生活は大事

      きょう、全国ではJアラートの一斉テストがあった。私はそんなことともつゆ知らず、呑気に飯を食って学業に励んでいたわけで、つまるところ地域放送から「Jアラート」の単語が聞こえて若干慌てた。 いやはや、普段の生活が失われるかもしれないと言う恐怖はこんなに大きかっただろうか。 数年前の、それなりの希死念慮と最悪の自己肯定感を持ち合わせていた頃の私はそうでもなかっただろう。むしろ普段の生活が壊れるのを喜んだはずだ。生活が壊れるとは、全てがゼロに戻ること。みんなが私と同じゼロまで落ちて

      • 2024/05/2

        さっきから、なんだか腕やら足やらが痛い。 皮膚が痛いというよりは、骨と筋肉の間が痛んでいるような、じわじわきて「いててて」となるタイプの痛み。 左腕前腕の、肘の関節にごく近いところ、それから左足の脹脛の上の方。 どこかが微妙に痛むたび、「あれ、こんなに嫌な感じだったっけか」と思う。 それに、こんな時に限って頭が痒かったり腹が痛かったりする。余計なオプションが付いてくる。いらない。 先ほど、教壇に立っている先生が、「みなさんには共通した点があるんですね。それは体のつくりです」

        • ずぼら

          究極のずぼらあるあるとして、利き手を動かすのが億劫で反対で鉛筆を持って書いてみたりします。当然かけません。最初から利き手でやれよと思います。

          ちょっと好きだったお姉さんについて

          知り合いに、日本とドイツのハーフのお姉さんがいる。人間としてとても素敵な人で、たとえば私の誕生日に「また一年よく頑張ったね」と言ってくれるような人だ。 小学校の頃にいた、他とはちょっと違う特別な女の子の、将来をみているようである。 生き物が好きで、飄々としていて、優しくて、あまり見目に気を使わないくせに、ボディラインは細くしなやかで何をどうしても美しい。ドイツの人の凛々しい顔立ちが、日本人の丸い顔立ちとうまいこと混ざって、あの独特の美しさがあるのだと思う。 お姉さん個人の

          ちょっと好きだったお姉さんについて

          短編 暇乞い

          「でも、そんなのって、無いわ」 唇を振るわせて彼女が言った。仕方ないことなんだ、と言った僕への返答だった。 僕が高校を卒業した春の日、彼女に別れを告げた。彼女は新二年生だった。僕らが通っていた高校では、一年に一回クラス替えが行われる。高校生になったばかりの彼女に出会って、惹かれあって、噂が流れて、大波乱の一年だったが、この春の桜の雨に全て流されて、彼女は新しい生活を始めることができるだろう。 そう思ってのことだった。 彼女に別れを告げたはいいが、その言葉はどこか言い訳じみてい

          短編 暇乞い

          ことばがなくなる

          どことは言わないが、西の方に住んでいる。 そしていま、東の方に向かって新幹線に乗っている。 西というのは大阪のもう少し向こうの話だと思ってもらっていい。 言葉がなくなる、と最近よく聞く。新幹線に乗っているとそれがよくわかる。どんどん景色が過ぎていって、あっとういうまに京都に着いて、生活圏が違う人たちが新幹線に乗りこんで来る。そして、降りていく人もいる。 そりゃ、もう、言葉が混じって同じになるのは時間の問題だろう。 方言は好きなので、悲しさもある。日本語という、おそらく壊れ

          ことばがなくなる

          美容院と母方の血

          髪を切りに行った。先週の水曜日のこと。 最近は忙しいので、ようやっと取れた予約なのだけれど、その日にちょうど風邪を引いてしまった。 あなたの風邪はどこから?私は喉から。 まず朝起きて声が出なくなる。音を出すことが大好きで、喋りにしろ音楽にしろ、空気を振動させることが生業と言ってもいいくらいな私は、そうなってしまったことにしょぼしょぼする。 その日はさっさと耳鼻科に行ったのだが、お昼の時点で、16時から美容院の予定が入っていることに気づいていた。さてどうしようか。もうこれを逃す

          美容院と母方の血

          適当な暮らし方

          できるだけ適当に生きていく。 今日だけのルールを決めて生きていく。 毎日、丁寧な暮らしはしなくていいと思った。というか、出来ないだろうし。 自分のなかのブームが続くまでで良い。 自分の雑さ、人間としての嫌なところを許容できる心の余裕を確保できる心の余裕さえあればいい。 ところで、爪を切りたい。 こういう気分屋な自分を許容できる心の余裕を確保できる心の余裕を、今、私は持っている。 逆に言ってしまえば、今の私には、何かを問題視するような気力が、無い。

          適当な暮らし方

          ブルーブラック

          PRATINUM preppy0.3の万年筆をたまに使う。 大好きだ。決して紛い物ではない、お手頃ながらも、中学生の時から使っているとちゃんと本物の私の万年筆になる。 さて、その万年筆にブルーブラックのインクを詰めて、文字を書いたときの話だ。 私は、インクが紙に乗った瞬間のあの鮮やかな、すかんと青い空のような色が好きだ。 しかしこの色、書いた時には色が鮮やかで好きなんだけれど、あとから見ると瑞々しさみたいなものが全部なくなって、「あれ?」と思う。その瑞々しさ、インクのつやつ

          ブルーブラック

          今日印象に残ったこと 2023/10/24

          女の子が一人、「あたし誓いのキスっておでこにしてるところしか無いわ」と言い出したこと。そちらを振り向きそうになったし、すんでのところで正気に戻ったが、今、印象に残って書いてしまっている。 ベランダでよく知らない虫がひっくりかえってわしゃわしゃ足を動かしていた。虫は受けつけないから助けてやれなかったけれども、必死で足掻いていたその虫が、起き上がることが出来て、生きていけるといいなと思った。でも、願わくば私の方に来ないことを願って。 良い点数のことを温かい点数、と言っていた男

          今日印象に残ったこと 2023/10/24

          図書室

          秋になったから、中学生の時に何度も繰り返し読んでいた、児童文学の解説書を思い出して、書店でそれを見つけて買うという妄想をした。 でも、それには、学校の図書館の本の全部に貼られていたブックコートフィルム が貼っていなかったものだから、妄想の中で買うのをやめた。 それを買っていたとしても、それは、私がかつて読んだ本ではなかっただろうと思った。