ブルーブラック
PRATINUM preppy0.3の万年筆をたまに使う。
大好きだ。決して紛い物ではない、お手頃ながらも、中学生の時から使っているとちゃんと本物の私の万年筆になる。
さて、その万年筆にブルーブラックのインクを詰めて、文字を書いたときの話だ。
私は、インクが紙に乗った瞬間のあの鮮やかな、すかんと青い空のような色が好きだ。
しかしこの色、書いた時には色が鮮やかで好きなんだけれど、あとから見ると瑞々しさみたいなものが全部なくなって、「あれ?」と思う。その瑞々しさ、インクのつやつやした視覚的な感触が紙に吸い込まれて、すんっとすまして、ただの濃淡になってしまう。
人の記憶の錯覚みたいなものなのかもしれない。
どちらにせよ好きではある。
あのときはあんなに青くて綺麗だったのに、今となってはこんなにつまらない、灰色じみた青になってしまっている、という点において、何か、感じるものがある。
私はまだ、その何かを味見する気にはならないから、そう感じたことだけ書き残しておく。
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