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【Vol.24】「いますぐ動け」の真意 テレビ局→大手重工メーカー、という異色のキャリアを歩むアラサーが伝えたい事

みなさんはじめまして。

今回執筆を志願させていただいたヤマウチと申します。

私は新聞記者、テレビ局員を経て、昨年から大手重工メーカー勤務という不思議なキャリアを歩んでいる30代の独身男性です。

孤独で険しく、人生の分水嶺となる「転職」。

私は転職活動中、『俺たちの転職物語』に登場する方々の記事を読み、何よりのエネルギーにして過ごし、なんとか満足のいく形で転職を終えることができました。

今回、少しでも恩返しできればと思い、筆をとらせていただいています。

●記事を書こうと思った理由

世は大転職時代。

当たり前のように誰もが転職サイトに登録し、エージェントとやり取りを重ね、職場や同窓会でも「こんな求人あってさぁ」、「こんなオファーがあってね」なんて会話を聞くことも多くなりました。

その一方、転職に興味を示す人のほとんどが実際に転職をせず、置かれた環境に文句を言ったり、不安を感じながら、仕事を続けていると感じています。

時間が限られる中、なんともったいない・・・。

今回の記事で最もお伝えしたいことは

「動かないと始まらない。動いて損はない。今すぐ動くべき」

ということです。

もし少しでも転職を検討しているのであれば、絶対にすぐにでも動くべきです。

ただ、「動く」ということが難しいことも、自分自身の経験としてよく理解しています。

私の経験を反面教師にして、皆様それぞれが心のエンジンをかけていただくきっかけになれれば幸いです。

●新卒で叶えた夢

大学は「とりあえず都会に行けて、自分が入れる範囲で偏差値が高いところ」という安直な理由で、早慶の文系に進学しました。

学生時代は、テニスサークルで遊びつつも、学生団体を設立してボランティア活動をやったり、ゼミでの研究に力を入れて論文大会にチャレンジしたりと比較的、アグレッシブな学生だったと思います。

新卒時の就職活動の軸は「個人の力で社会にインパクトを残し、多くの人をハッピーにすること」。

なんて綺麗事を掲げていましたが、いま振り返ると実際には「目立ちたい、モテたい、承認欲求を満たしたい」というまぁよくある激浅な軸だったと思います。

最終的には、某全国紙に記者として入社しました。

私はドラマや本の影響で憧れを持っていたこと、元々文章を書くことが好きだったこと、何よりも「会社の存在ではなく自分の名前や技術を前面に出して、興味関心をもとに話を聞いて、世の中に伝える」という業務におもしろみを感じて、記者になることが一つの夢でした。

1社目の新聞社では北海道や東北地方の拠点で勤務を経て、主に警察や災害に関する専門部署で仕事をしました。

その後、「映像のほうがインパクトがあり、注目度が高そう」という理由や、より待遇がいいこと、転勤がないことから、3年目のときに某地方テレビ局に転職。ディレクターをメインに、記者としても仕事をしていました。

●奮い立たされた入社式の言葉

1社目の話に戻します。

「記者たるもの一般的な幸せがある人生を歩めるとはゆめゆめ思わないこと」。

新卒で入った新聞社での入社式で、ある編集局幹部に言われた言葉です。

要するに、「一般的に入れない場所、見ることができないものを経験できる反面、一般的に得られるとされる日常の幸せを求めてはいけませんよ」という上からのメッセージでした。

「なんかかっこいいな!ドラマみたい!」と思いながら、「やってやるぞ!」と息巻いていた入社したての私。

しかし実際に働き始めると、新聞社とテレビ局での生活は、時に楽しさややりがいを感じる一方で、ほとんどの時間が地獄のように過ぎていきました…。

●「人権」のない仕事

「新聞は社会の公器」と言われています。

ニュースをご覧になって分かる通り、社会の不条理や課題を取り上げて問題提起をするのが報道機関の大きな使命であって、「公共のために存在する」という意味で「人権」についてもとても重要視しています。

一方、社内に目を向けると、マスコミはほぼ共通してどこの会社でも記者に人権はありません。

例えば、仙台支局の記者だったら基本的に週末も含めて宮城県内からは出られません。許可なく自分の管轄エリアを出れないです。

災害や事件、急な要人の来訪があれば、自分や家族の状況に関係なく現場や会社に向かう「応召義務」があります。

地震や台風で大きな被害が出れば、幼い子供がいても家族は二の次で、すぐに取材に駆けつける姿勢が求められます。

勤務表に「休み」という文字があっても、実際に丸一日休められたらラッキーです。

たとえ急な呼び出しがなくても、職場や取材先からの着信に構えることで体力や精神は削り取られ、心から休める時間はほぼないです。

善し悪しではなく、報道記者とはそういう仕事なのです。

1年目の時は長期休みはなく、週末も先輩たちのご指導で何度も当番を変わって働き詰め、あまりに自宅を不在にしているので、配達業者から「住人が死んでいる」と不審に思われて通報されたこともありました。

ハワイに家族旅行に行く予定の先輩家族が、現地の空港で呼び出しの連絡を受けてトンボ帰りしたという話も伝わり、私の在職中に会社が労基法違反容疑で書類送検されかけたことも。

報道に速報性や「伝える使命」が求められている以上「そういう仕事」と割り切ってやるしかないですが、やはりワークライフバランスだけを見ると極めて厳しい業界です。

●ストレスフルな現場

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