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ゼロから始めるコーポレート機能構築 -ツール導入編-

こんにちは、最近は5歳の娘とオトナプリキュアを一緒に見ることが楽しみとなっているAsobicaのすとうです。娘とは一緒にプリキュアになろうねと約束しました、プリキュアもDiversityが進んでいますし、ミドルエイジの男性プリキュアがいたっていいですよね、ニーズがあるか知らんけど。

さて、前回の記事をリリースしてから、広報チームより「いいぞ、スキをもっと集めなさい」とリクエストされたので、今回は、私がAsobicaにジョインしてからコーポレート機能を構築するにあたって、導入していった主なSaaSツールをフェーズ毎につらつら書いていきたいと思います。

前回の記事はこちら↓


  1. ゼロから始めるコーポレート機能構築 -組織図編- ←リリース済

  2. ゼロから始めるコーポレート機能構築 -ツール導入編- ←いまここ

  3. ゼロから始めるコーポレート機能構築 -入社と共に振り返る実践編-

  4. 番外編 コーポレート部の目標の作り方

ジョインした時の現状把握

まず私がジョインしたときの主なツールの現状は以下の状況でした。
①会計ツール=freee会計
②業務ツール=Google Workspace
③コミュニケーションツール=slack
④勤怠・労務管理ツール=freee人事労務

うん、やっぱりシンプル。
シリーズAくらいまでは、結構上記の組み合わせでやり繰りしているスタートアップは多いのではないでしょうか。
ここでの特徴は会計ツールがfreee会計だったことです。私はここで、freee会計を体制構築の中心とピン留めし、freee会計と相性がよいツールを導入していく意思決定をしました。

とはいえ、将来の事業の成長性、拡張性、事業の会計処理との相性を踏まえて、それなりに工数はかかりますが、場合によってはこのタイミングで会計システムのリプレイスを検討してもよいかと思います。
私の場合は、このタイミングではリプレイスの工数をかけるよりもfreee会計を継続利用する方向で進めることにしました。
それでは、以下、「このツール、このタイミングで、この目的で導入して、使用感はこんな感じだったよ、このあたりよかったよ」みたいなことを記載できればと思います。独断と偏見で記載し、PR記事ではないので、その点ご了承ください。
あと導入したツールのロゴ使っていいかわからなかったので、図ではなく、文字でカバーしています。文量多めでごめんなさい。
できるだけフラットな気持ちで、なんならかなり厳しめな辛口評価で、導入していったツールの詳細や感想を記載していきたいと思います。

最初に導入したツール_バクラクシリーズ

超おススメ、導入してよかったツール第1位、すっごい役立ってる、マジ感謝。
支払請求書管理システム、ワークフローシステム、経費申請システムのいずれも導入していなかったら、バクラクシリーズを導入して、全部まとめておけば大丈夫です。
バクラクシリーズとfreeeの相性がよいので、基幹ツールとして効率的な業務フロー構築、ゼロイチのコーポレート機能構築に圧倒的に役立ってくれています。
「こんなこといいな」、「できたらいいな」という新機能や新プロダクトを絶妙なタイミングでリリースしてくれる印象があります。

支払請求書のフローの簡素化が導入の入り口

導入の背景は、Asobicaの支払請求書管理業務がスプシのマニュアル対応だったので、その点を改善したいと思ったことがキッカケでした。
このタイミングではLayerX社のバクラク請求書か、Sansan社のBill Oneの2択で検討するつもりでした。しかし、たしかその当時のBill Oneはfreeeと連携していなかったと記憶しており、結局バクラク一択だね、ということでバクラクを導入することにしました。
当時、月次で処理する請求書は30枚未満だったので、月額利用料も一番ミニマムの金額で、コストも低く抑えて導入できることも決め手でした。

導入に際しては、支払請求書をできるだけ自動でバクラクに取り込むことができる業務フローを設計し、圧倒的な業務効率化と正確性の向上を実現することができました。
ざっくり以下のイメージです。

  1. バクラクで請求書取り込み(バクラク請求書取り込み用のメールアドレスを発行できる機能がある。取引先にはそちらにメールを送ってもらうイメージ。)

  2. 精度の高いOCRで仕訳データ生成

  3. ついでに出金データも生成

  4. 仕訳データは証憑付きでfreeeに連携、出金データはネットバンキングに読み込ませてミスなく仕訳記帳と出金処理を実現

バクラクワークフローも導入

また、LayerXさんと最初に商談したときに、「実はワークフローのプロダクトもあるんですよねー」と提案をいただきました。いやぁ、うまいですね。
たしかに、そのときのAsobicaは以下の課題を抱えていました。

  • 成長フェーズに入っており、情報のやり取りが結構多くなってきていた。一方で、業務依頼のやり取りはslack上で行われている。

  • slack自体は即時のコミュニケーションツールとしては有用であるが、業務依頼のステータス管理、責任ある人がレビューしたかをストックで確認することには不向き。

ワークフローシステムを入れていない会社が導入を検討する、あるあるのペインだと思います。
正直、まだslackで粘ろうと思えば粘れたのですが、自分の上場準備のアドバイザリー経験上、ワークフロー制度の導入は早ければ早い方がよいので、このタイミングで導入に踏み切りました。
ワークフロー制度を組織に浸透させ、しっかり運用に乗せることは、実は結構な時間を要します。これはワークフロー制度の導入は、全部署に対して追加の業務フローが発生し、全社的な影響が大きいからと考えられます。それゆえ、組織が大きくなればなるほど、導入のハードルもあがり、運用に乗せるリードタイムがかかります。
ワークフロー制度の導入を遅らせてしまったが故に、上場に向けた体制整備を進めようとした際、大きな手戻りが発生するケースも結構な頻度でみてきたので、その手戻りリスクを回避したかった点も大きいです。
(上場準備手戻り論点の上位5つに入るイメージ。)
そのため、比較的初期のフェーズであっても、早めに導入して日常業務の一環に溶け込ませるためにも、このタイミングで導入することにしました。

結論として、このタイミングでワークフローシステムをいれたことはよかったです。以下の効果が得られました。

  • ワークフローでバクラク申請をしようという文化がしっかり浸透し、新しく入ってくるメンバーも違和感なく利用してもらっている。

  • 業務の依頼や申請のステータスがストック情報として管理できる。

  • 一番大きい点として、職務権限規程と紐付けた承認フローとすることで、権限と責任が明確化されたうえでコミュニケーションをとることができるようになった。

あれよあれよとバクラクの沼へ-脅威のアップセルに溺れる-

そんなこんなで、バクラク支払請求書とバクラクワークフローをミニマムで導入しました。コスト感はかなりミニマムでしたし、うまくハマらなければいったん解約すればよいかと軽く考えていました、おそらくこの時点でLayerXさんの販売戦略にどっぷりハマっていたと思います。
実際に利用してみると、わかりやすいUIUXで、業務フローも劇的に改善。あれよあれよとAsobicaバックオフィスの中核ツールとなりました。コーポレート機能の業務効率化に加えて、全社的な申請機能の浸透というガバナンスの守りの部分を、ものすごい安定感でしっかりと構築してくれました。
この安定感は昔でいえばレアルマドリード時代のマケレレ、チェルシー時代のカンテ、今でいえばアーセナルのライスです。

Asobicaが事業・組織・人員も拡大したことも相まって、バクラクシリーズの利用にはそれなりのアップセルが入りましたが、見合った価値は十分に発揮してもらっています。
今後の個人的な希望を好き勝手にあげるとすれば、申請上の差し戻した後のコミュニケーションをslack上で同期して、slack上でやり取りできるようにしてもらえると嬉しいなと感じています。

契約の業務フロー整備しようず_LegalForce

続きまして、革新的な契約書AIレビューが特徴のLegalOn Technologies社のLegalForce。結論として、法務機能、規程整備の立ち上げにかなり役立ちしました。
ちなみにリーガル・ハイというドラマおもしろかったですよね、ガッキーがとても可愛かった記憶があります、はい。
LegalForceは上述のとおり、契約書のAIレビューが最大の特徴だと思いますが、Asobicaの場合、以下の機能が役立ちました。

  • 各種規程や契約書雛型が入手可能

    • ⇒実はLegalForce内で、各種規程や契約書の雛型を自由にダウンロードすることができます。当時、規程の整備も必要だったAsobicaにおいては、雛型を自由に入手できる点はとてもとても役立ちました。法令改正にあわせて随時更新してくれる点もGood。

  • 新旧対照表のチェック機能

    • AIレビュー機能を利用して、レビューした契約書の変更点を自動で洗い出し、新旧対照表としてエクセルにまとめてくれる機能は今でも役立っています。契約書のバージョンレビューはもちろん、社内で規程変更をする場合の新旧チェック、上申用の資料を即座に生成してくれるので非常に助かっています。

勤怠管理の業務フロー整備しようず_ジョブカン

続きまして、一時期タクシー広告をジャックした印象があるジョブカン。東野圭吾原作のドラマに出演すると、高確率で放火する犯人役を任される小日向文世さんがCM出演していたジョブカン。その中でもジョブカン勤怠を導入することにしました。
勤怠管理ツールを導入する際、外せない要件としたのは、「打刻情報がslack連携して、社内メンバーに勤務開始と退勤の時間を周知すること」です。

詳細は割愛しますが、リモートワークを導入する企業では、社内メンバーの勤怠状況(いつ勤務開始したか、いつ退勤したか等)を上長や他のメンバーが把握できる体制を構築することが必須と認識しています。
(自己申告の打刻だけでは不十分という認識。)
なので、打刻情報がslack連携する点は必須という要件のもと、その要件を満たし、コスト感と見合ったジョブカン勤怠を導入することにしました。

株主総会対応、これなきゃしんでたと思う_smartround

続きまして、株主総会の事務手続きを解決してくれたsmartround。
上場企業の方は馴染みがないと思いますが、資金調達時等における株主総会の事務手続きに溺れていた私を救ってくれた命の恩人です。

スタートアップ企業に入り、自分で総会対応の実務をまわす際、最初に感動したツールです。
未上場企業において、株主総会対応をマニュアルで行っている企業はすぐにいれるべきだと思います。

最初の段階で株主情報をすべて登録する必要がありますが、そこを乗り越えれば「これぞSaaSによる業務課題のペイン解消や!」という世界が広がっています。

smartroundの株主総会開催の業務フローは以下のイメージです。

  1. 招集通知の自動作成(自社で作成したものを読み込ませることも可能)

  2. それを元に、決議事項をポチポチ設定
    └この際、普通決議か特別決議かも選べる。

  3. 各株主に招集通知をsmartroundから発送。
    └登録した株主のメールアドレスに招集通知が届く。

  4. スタートアップはだいたい委任状対応だと思いますが、メールを受け取った株主は、メールに添付されたリンクから賛成、否決とかをワンクリックで選んで送付。

  5. smartround上で、各株主の回収状況と議決権の賛成状況、決議が成立したかどうかを一目で把握。⇦ここ重要。マニュアルだとスプシで回収状況管理して、数式組んで、決議成立したかどうかをウォッチするイメージですが、その手間が一切不要に!

  6. 決議が成立したら、議事録作成して、smartround上に貼付して、一括管理。

詳細は割愛しますが、細かい運用も対応可能と思われます。(委任状が紙面でくる場合でも対応可能。)
スタートアップだと、臨時株主総会が結構頻繁に開催されると思います。会社法に定められた慎重な対応が要求されるところですが、手続きを誤るリスクを低減し、圧倒的な業務効率化が図れるので、一度試してみる価値はあります。
会社法の法定対応事項について、ミスが許されないプレッシャーに耐えつつ、情報の機密性の高さからメンバーに知られることなく、孤独に粛々対応している人も少なくないと思います。そんなキングダムの間者である姚賈ヨウカのような動きをしている人達を、少しでも支えてくれるツールです。
(私のヒューマンエラーにより決議事項の設定をミスって、決議取り直したことがある点はここで懺悔しておきます。)

改めてまとめ-ツール導入の際に意識したこと-

諸々記載しましたが、改めて振り返ってみると、以下の観点を考慮した感じです。

  • 主要ツールを定めて、そのツールと相性がよいツールを選ぶ。(Asobicaの場合はfreee会計をピン留め。)

  • 組織や事業の制度設計との相性を考慮に入れる

    • 例えば、ワークフローを入れるといっても、誰が、どの項目を承認するのかを定義しておかないと、運用が曖昧になる。組織図を見直し、職務権限規程を制定して、これらの平仄をあわせてワークフローを導入することが重要。

  • 事業フェーズに見合った然るべきタイミングで、投資対効果を踏まえて導入すること

    • ツールの利用料は月額利用料になる=固定費となるので、一回導入すると基本はずっと使う前提で投資対効果を検討することは必須。そもそも今必要だっけ?、投資対効果ちゃんと見合うっけ?という観点は、全メンバーが意識を持って投資意思決定することがとてもとても重要。(当たり前っちゃ当たり前だけど。)

    • ただ、一方で、投資対効果が見合うのであれば、金額がそれなりの単価であっても導入する大胆な意思決定も必要。極端にいうと、2人月分の工数削減等ができるのであれば、月額50万円でも払っても十分にペイするじゃん、というイメージ。

  • 会社のビジネスモデルに見合った業務効率化、事業成長に貢献する最適な組み合わせになりうるか

    • 今日では、SaaSの発展に伴い、様々なツールが割と簡単に導入できます。会社の業務効率や事業成長に貢献する最適な組み合わせを企画し、ときにリプレイスし、運用まで落とし込むのがコーポレート立ち上げ担当者の腕の見せ所。(それがコーポレート立ち上げの醍醐味。)
      今回はあまり言及していないですが、上流のMAツールやSFAツール等、コーポレート以外が利用しているツールとの相性も考慮事項にいれるべきだと思います。

ということで、今回は以上となります。長文にお付き合いいただきありがとうございました。
なんか全然辛口じゃなかった気がするけど、記載したとおりの価値発揮してくれたんですよね、ツンデレ発揮したわけじゃないです、はい。(ツンデレという言葉は若手メンバーに通用しませんでした。)

次回は、「ゼロから始めるコーポレート機能構築 -入社と共に振り返る実践編-」ということで、Asobicaにジョインしてから、ざっくりどんな出来事を乗り越えてきたのか、半分くらいドキュメンタリーな感じでつらつら書いていければと思います。

仲間を募集しています

そんな事業も組織も急成長のAsobicaですが、一緒に船をつくっていけるメンバーを募集しています。

特にインサイドセールス、フィールドセールスメンバーを熱く募集しています。(たぶんこの記事をメインで読んでくれる層じゃないと思うけど。)
まずはカジュアルにお話しできればと思いますので、お気軽にお声がけください。

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