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Queer as a Clockwork Orange

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自分のこと。今までのこと、これからのこと、日々思うこと。
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終戦記念日にもう会えないであろう友人の事を思い出した。

終戦記念日にもう会えないであろう友人の事を思い出した。

20世紀末のユーゴスラビア戦線で兵役を終えたのち、肉が食べられなくなった男性とかつて親しく話していたことがある。
魚は食べる。菜食主義者ではないのだ。
食肉にされる家畜の断末魔は彼が過去体験したであろう人間のそれと酷似しているからなのかもしれない、ということだ。

彼が戦地で人を殺したのか、それは最後まで聞けなかったけど。

平和主義者であるに違いない、だけど「祖国のために武力をもって戦う事」に肯

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smoke and cigarettes

smoke and cigarettes

いつも煙草には憧れがあった。
二十世紀後半、まだ日本人(主に男性)の多くは街中で、屋内で、煙をいつでも燻らせていたし、いちばん身近な男性である父がチェーンの付くスモーカーだったのだ。

家中ヤニ臭くなる原因である煙草を嫌うのが心情であるけれど、いつしか私は煙草を吸う自分自身の姿に憧れを抱くようになった。

父に頼まれて煙草を買いに行くのとは違う、駅前の大きなたばこ屋でジタンと言う銘の煙草を買う。青

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よくやった事の報酬は 「それをやったって事だけ」さ

よくやった事の報酬は 「それをやったって事だけ」さ

エマーソン(アメリカ合衆国の思想家、哲学者)が残した名言。

本当にいろいろな事があった1年だった。
「いろいろな事があった」と言うより自分の身に降りかかったいくつかの出来事をきっかけに「いろいろな事を考え続けた」1年だった。
大袈裟な表現ではなく、自問自答を繰り返す日々だった。
思春期でもないくせに。

膠着状態だが意識は冴えざえとしていて、しかし手足は動かせず、何も答えを見出せず。
空回りと頭

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ファッションについての一考察

ファッションについての一考察

私にとってのファッションとは
自己探求が行き着いたところで
やっと見つけた自己表現の手段であり
自己完結かつ自己満足でしかありえない、
要するにマスターベーションである。

dangerous liaison

dangerous liaison

不安定極まりない担保による安定。
奇跡的に保たれた均衡。
薄氷を踏むが如しの危機感と愉悦感。
目に見えない現実と目に見える幻想。
ありえないはずの同化を肉体的精神的に欲求し
一瞬を追いかけながら永遠を誓えど
手に入れた次の瞬間
希望は絶望に変わることすらある。
目も耳も塞がれた状態で
それでも求めるものを追い続ける。
何が正しいかは当人にしかわからず
正しいと信じたものが
本当に正しいかどうかなど

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賛成せずとも容認すれば良いのだ。

賛成せずとも容認すれば良いのだ。

私はナンが好きではない。自分からは食べない。かと言って嫌いでもない。だけど食べればおいしいとは思う。

カレーを食べていた時考えたこと。

大多数の人が刷り込まれている「カレーにはナン」って言う思い込みをなくせば、もっと自由なめくるめくカレーの世界が待ってるのに、って思うけどそれは個人の自由だから黙って私は米。
私が「ウニを食べられない」と言うと、お節介な誰かに「人生損してるよ!」って言われるのと

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理想像と虚像と妄想の三つ巴

理想像と虚像と妄想の三つ巴

人付き合いにおいて、私たちは頭の中で勝手に相手に断りもなく自分が作り上げた相手の理想像を、目の前の相手に投影しながら日々生きている。

さらにその相手と実生活において相対する時、自分の頭の中の「妄想に過ぎない」理想像を、現実に「生きている相手自身」によって打ち砕かれるという作業を日々繰り返しながら生きている。

「打ち砕かれる」とは。

相手の行動が自分の都合の良い方に傾けば、自分の中での相手の評

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人づきあいにおいての基本理念

人づきあいにおいての基本理念

出会いは偶然に見えて全て必然。
かと思えばそれは思い込みの連続。

私の人生に大したことは起こらないが
出会う人に関してのヒキが良いのは自負している。いや、単に絡む人を限定してるだけかもしれない。
そんな私には当然、友人と呼べる人がごくわずかしかいないわけだ。でも、そんな私ですら人付き合いが面倒になることもある。
もっと簡潔に生きれば良い。
気の進まない、気の合わない、好きになれないやつとなんか無

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夏だけの恋人

夏だけの恋人

夏の間だけ。

夏が始まる頃やって来て、
秋の終わりに私の前から消えるあなた。
出会ったのは10年前?もう、十分だと思う。
今、思い切らなければ、私はまた
あなたを来年の夏探してしまう。

そっけなくされても、
優しくしてもらえなくてもよかった。
この気持ちが一方通行だってことは
もうずいぶん前から気づいていた。
あなたの態度を見て見ぬふりしてきた。
この思いが報われなくても
ずっと愛せると思って

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2017年の終わりに

2017年の終わりに

我が人生最悪の年が終わったとしても、
私に夜明けが待っているはずもなく、
ただつまらない1年がまた始まるだけだ。
悲観的に考えているわけでも
絶望的に考えているわけでもなく、
平坦な道が続くだけである。
でっかい喜びがないだけだ。

人生とはそんなものなのだ。
恋は乱痴気騒ぎであり非日常。
あの2年間がお祭り騒ぎだっただけなのだ。
だけどあれがクライマックスだとしたら
なんとショボい私の人生か。

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透明な孤独

透明な孤独

群れてばかりいるやつ
自分の考えがないやつ
人ばっかり頼ってるやつ
ごますることばっかり考えてるやつ
流行りばっかり追ってるやつ

ハナクソだなと思うけど
そう言う「没個性」と言う名の「個性」
も認めなければならん。

しかし正しいとわかりきってる
自分の意見を曲げてまで
人に与することで得られる安心って
なんじゃろね。
価値があんのかね。
保身だけのために不本意な相手と
短い人生の限られた貴重な

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余白を作る作業

余白を作る作業

「嫌い」と言い切ることが「嫌い」である。
矛盾しているけれど。
「好きじゃない」「苦手」と言い換える。

同じように「とても好き」なものは
星の数ほどあるけれど
「愛している」とは言いたくない。
「愛」を口にしたその瞬間から
心の中の大切なものが
陳腐になってしまう気がするから。

「絶対はあり得ない」。
「絶対」は確かにあり得ないのだけれど、
「あり得ない」と断定するのは如何なものか。

「嫌い

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人生を棒に振った日、
或いは全ての始まり。

人生を棒に振った日、 或いは全ての始まり。

1989年2月、大学受験の日。

その日
雨が降っていたのがいけなかったのだ。
コートのポケットの中に食べかけのHERSHEY'Sのチョコレートが入っていたのがいけなかったのだ。めずらしく新聞の朝刊なんか読んだのがいけなかったのだ。
緊張すると眠れなくなるのは昔からだ。眠すぎて判断力が鈍っていたのかもしれない。
…と言うのは言い訳である。
中央線に乗って国分寺に向かわねばならない。
家の前で「がん

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