東工大学生起業家が考える_起業の全て④
はじめまして。
GoMA(ゴーマ)株式会社の平賀良と申します。
2019年の11月まで、東京工業大学の大学院で、
医療器具の一つであるカテーテルの生体適合性を向上させるため、
次世代型金属の機械的性質の研究/開発をしていました。
しかし、休学→退学をして、
GoMA株式会社(東京都港区)を現在経営しております。
2022年の11月で弊社が3期目の決算を終えたのですが、
3期目で勉強になったことや感じたことを、
「これから起業を志す方」へ向けて情報共有したいと思います。
特に、学生起業を検討している方にとって、
有意義な情報となるよう簡潔にまとめているので、
良かったら最後まで読んでいただき、
フォローしていただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
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【①数字の話】
まず、会社の業績ですが、
詳細は割愛させていただくとして、
売上が1億円を超えるくらい、
純利益がそのうち1~10%の範囲に収まるような計算で着地しました。
僕個人の感想としては、3年間会社をやってみて、
数字だけ見ると、「大失敗はしなかったけど、
大きな成功を収めたとも言えないな…」という印象です。
ただ、起業して良かった点として、
日常生活はガラリと変わりました。
例えば、家の家賃や通信費、日々の交際費(外食費用)、
タクシー等の交通費、PCや周辺機器、ソフトウェアの購入費、
本や椅子等の雑費を、「経費」として計上することができる点です。
つまり、
今までは何かものを買うときに、
自分の貯金から出す手段しかなかったのですが、
起業後は、会社が認める範囲で、
「経費」として計上できるかどうかを検討しながら、
ものを購入するという発想が加わったという点です。
ですから、
お金を使うという行為の際に、
それは会社にとって必要なものなのか?
将来利益となりうるものなのか?
という価値観を育むことができたため、
「お金の使い方」が起業前後で大きく変化したと思います。
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これは、起業して良かった点になります。
もし個人の貯金からのみ支出を考える生活をしていたら、
使うお金が投資なのか?消費なのか?浪費なのか?
の概念が理解できないまま人生を終えることになっていたと思います。
「お金と投資の話」に関しては、
以下のURLを参照いただきたいですが、
学生の頃と現在では、お金に対する考え方がまるで違うなと感じます。
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【②3期目で感じたギャップ】
次に、起業する前の3年後のイメージと、
現在の自分には大きなギャップが存在するなという印象があります。
スタートアップとして創業して、
上場を果たしている企業の成長曲線を見てみると、
短期間で大きく成長している企業が多い印象です。
それと比較すると、
3年間の数字としての「成長率」としては、
まだまだな部分が大きいし、
自分自身、極端な成長を遂げていると実感できる部分は少ないです。
他の会社のメンバーから見れば、
異なる意見が飛び交うかもしれませんが、
僕個人の意見としては、
UU数を稼ぐ自社のプロダクトを生み出せていないことが
大きな原因であると思っています。
※色々な企業の「社史」をまとめている記事があったのでご参照下さい。
起業する前の学生時代では、
自社サービスを構築して、
UU数が増えていって、
ある程度大きくなったところで、
資金調達を行って、広告や採用を強化していくイメージだったのですが、
(皆さんが思い描く、起業も上記のイメージではないでしょうか?)
どちらかというと、
安定したキャッシュ基盤と人員の育成に集中投資を行っている段階で、
自社プロダクトの構築にこぎつけていない状況です。
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という感じで、
学生時代に思っていたことと現在のギャップ、
自分のモチベーションが上がらない等、
ジェットコースターのような心理で2022年は過ごしていたのですが、
4期目のスタートになって、
ようやく"解"が見い出せた気がしています。
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【③3期目で勉強になったこと】
それは、
「長期的な視点で会社を成長させていこう!」という発想です。
短期的にではなく、
10年、20年単位で会社を成長させていこうと思った時に、
必要になってくるのは、「キャッシュ基盤」と「人員の育成」でした。
もちろん、
短期間で行える事業を作り、
M&Aを行うことも方法としてはありですが、
万全な体制のもと、
サービス構築に励みたいという想いに切り替わりました。
学生時代は、
短期集中による事業構築と売却という目標に向かい、
人生の後半は悠々自適な生活を送りたいと考えていたのですが、
起業後は、もっと大きなことに取り組みたい!
なぜなら、事業をやることはやっぱり楽しいし、
これがなくなったら、人生暇でしょうがない
と感じるようになったからです。
会社それぞれの経営方法があるので、
正解の存在しない世界ではありますが、
腰を据えて事業を行う選択肢を取る場合、
資金を調達しての一点集中は、
間違っていると判断しました。
このような考え方に至ったのも、
起業して3年間の経験からだと感じます。
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【④3期目に行っていたこと】
では、具体的に「万全の体制」、
「腰を据えて事業を行う」とは、何をしていくことなのか?
3期目にやってきたことと、4期目から始めることを、
共有していきたいと思います。
スケールするサービスがないからと言って、
何もしない訳ではもちろんありません。
3期目に関しては、
「キャッシュ基盤の構築」と「社内エンジニアの育成」に、
リソースを投資していきました。
まず、「キャッシュ基盤の構築」に関しては、
「金のなる木になるまで、水を与え続けた」ということです。
具体的なプロダクトの説明は割愛させていただきますが、
大手企業のCRM構築という業務で、
サービスの保守/運用を行う仕事に対して、
毎月キャッシュが発生する内容です。
つまり、
サービスを提供し続ける限り、
キャッシュが生み出される仕組みを作ることに専念しました。
これのメリットとしては、
ここで生み出されたキャッシュを、
別のものに"投資"として自由に扱うことができる点です。
基本的に、
「株式は、命の次に大事なもの」という考えが自分の中にあるため、
エクイティファイナンスは慎重になります。
つまり、エクイティファイナンスを実行せずに、
資金を自分たちで自由に使うことができるのです。
また、この基盤を保有していれば、
売上や利益が計上されていくため、
デットファイナンスがスムーズになります。
ある程度の内部資金と、銀行からの融資があれば、
大体のことをR&D(研究/開発)的に始めることができるのです。
この体制を構築することに、1年間の時間をかけました。
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そして、我々は、
この資金の投資対象として「人」を選択しました。
それが、「社内エンジニアの育成」になります。
会社というのは組織であり、
この組織が強ければ、ぶっちゃけ何でもできると思っています。
ですが、この組織を構築するのが、
一番大変なことだと起業して気づきました…
なぜなら、
「人」は流動性の高い資源であり、
それぞれの生活や性格がありますから、
同じ目標やVisionに向かって進んでいくためには、
かなりの労力を要するのです。
逆に、全員が一体化できれば、
組織はそれだけ強い力を発揮できるとも言えますが。
※ホモサピエンスが成功できた理由は、組織を形成することができたから。
ですので、
自分たちのチームに合うような人間を数カ月かけて探し、
更に数カ月かけて、お試しを行い、
徐々に一緒に仕事をしていくという方法を取りました。
そして、
少数精鋭の開発チームが形成され、
関係性も良好で、コミュニケーションエラーの発生しづらい、
非常に強いチームを構築しつつあります。
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「人への投資」といっても、
社内エンジニアでなければいけない理由が存在します。
これは、
今後の市場トレンドから考察しなければいけない内容ですが、
自社開発ができなければ、
一企業として残れない時代が到来すると感じているからです。
もちろん、現状、潤沢な資金を保有する企業は別ですが、
ソフトウェアが当たり前の時代において、
外注や業務委託でシステムを運用する中小企業では、
今後大きく成長することが困難でしょう。
理由は明確で、
開発スピードの遅さと、
要件定義ができないためです。
ここからは、
少しソフトウェア開発の話になりますが、
外注では開発スピードも遅く、
単価も高いため、自社サービスを作るどころではありません。
また、
システム開発を外部に委託している大体の企業は、
上流工程と呼ばれる要件定義が社内でできない場合が多く、
その場合、望んだシステムを手に入れることが難しいです。
もちろん、
それを否定している訳ではありませんが、
10年、20年単位での、長期的な視座で会社を成長させることを、
目標に置くのであれば、
開発も運用も、引いてはサーバーさえも、
全て自社で完結するチームが必要不可欠でした。
そのため、
社内のエンジニアでかつ、
同じ目標、Visionに共感するチームの構築にかなりの時間をかけました。
逆にチームが完成すれば、
自社サービスであろうと、
別のキャッシュ基盤となる受託開発であろうと、
要件定義等のコンサルティング業務であろうと、
全てこなすことが可能です。
これを手に入れることができれば、
後の経営を円滑に進めることができ、
スケールする事業への挑戦を、
安定的に行うことができるのです。
(サッカーでいう後半戦が有利な状態です。)
そのようなことに、3期目の時間を使いました。
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【⑤4期目の目標】
弊社では、新規事業やサービスを始める際に、
ルールが存在します。
おおまかに、
趣味レベルや、やってみたい!という要望から、
とにかく否定はなしで、
まずは小さくR&D的に始めて、
兆しが見えてきたら予算やスケジュールを組んで、
徐々に力を入れていくというものです。
4期目以降に関しては、
このR&D部分を積極的に社内で行い、
いくつか事業を立ち上げてみたいと思っています。
ただし、
我々は単なる開発会社で終わる気は毛頭ないので、
ソフトウェア企業が依頼したいソフトウェア会社、
エンジニアに尊敬されるエンジニア集団、
のポジションを目指しています。
具体的に、
エンジニアや開発会社が愛用するようなサービスや、
ライブラリー、フレームワーク(かなりムズイけど)、
SDK等を提供できるような、
テックリードカンパニーになりたいと思っています。
開発サイドの人間に愛されるサービスというのは、
後のtoB、toCを想定したエンドユーザーに対しての
影響力も強大になります。
(現在でいうGoogleやStripeがその事例と思います。)
ですから、
このような理念、目標に共感できる事業/サービス構築に、
これからの時間を使っていきたいと考えています。
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【⑥起業は人生を設計することと=】
起業には様々な方法があり、
そのどれもが失敗であり、成功であると思っています。
「まずはチャレンジする」ということは、
全ての絶対条件ですが、考えを突き詰めていくと、
人生をどのように生きたいのか?に依存する話と思います。
「起業=人生設計」と言っても、過言ではなく、
人生の最期に病院のベットで、誰になんと声を掛けられて死にたいのか?
というストーリーから逆算した、現状の生き方なのです。
それが、
数多くの命を救った医者なのか?
ノーベル賞を受賞した研究者なのか?
または、タワーマンションに住んで高級外車に乗っていたXさんなのか?
iPhoneという商品を世に残したスティーブジョブスなのか?
だと思います。
ストーリーの最期をどのように飾りたいのか?
という物語を自分で決定できるのが、
人生の面白いところであり、
それを考える一つのきっかけとして、
起業という手段は非常に効果的です。
これから起業を検討される方は、
この部分から考えてみると、
どのようなことに挑戦していきたいか?の
ヒントを得られるかもしれません。
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【⑦全体を通じて共有できること】
起業していく上で、
僕個人の意見としては、
少額でいいので投資できる資金を有していることと、
開発が行えるチームを保有していることは、
この上なく強力な武器になると感じています。
なぜなら、
R&Dに少ないリスクで、挑戦し続ける環境を入手できるためです。
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また、
3期目から試していた社内コミュニケーションの方法ですが、
Discordは非常にオススメでした。
弊社はオンラインで作業することが多いのですが、
「ちょっと話したいときに、気軽に呼びつけられる点」が評判で、
課金なしでも十分利用できます。
企業がどれくらい導入しているかは不明ですが、
この感じだと今後、toBの導入実績も増えていくのではないか?
と予想しています。
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次に、
毎週土曜日の勉強会やフィールドワークは、
自分自身のスキルをアップさせてくれたなと感じています。
会社をやっていると、
どうしても、個人としてのスキルをアップさせることに、
時間を使いたくないというか、
使う気持ちが薄れるというか、
とにかく会社のことを考えてしまいます。
ですが、
自分自身のスキルを上げることによって、知見が広がり、
それが長期的には会社の利益になることは間違いないです。
具体的に実施した内容としては、
勉強会に関してはコードレビューや、
他社サービスの発表会(FigmaやShopify等)を行いました。
または、フィールドワーク
(コワーキングスペースやプログラミングスクールの見学)や、
オンラインゲーム(Fortniteや第五人格)を社内メンバーで行い、
新しい視座の発見を行ったりしました。
もちろん、
社内メンバー同士のコミュニケーションの側面もありますが、
色々なサービスやアプリに触れる機会を絶やさないことは、
R&Dを加速させる上で重要です。
「新しいことを常に思いつく人の特徴は何?」と、
もし誰かに質問される機会があれば、
それは、一日のGoogleの検索履歴の行数が50行以上で、
保持しているスマートフォンに入っているアプリのダウンロード数が
100個を超えている人と答えるかもしれません。
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学校のカリキュラムや受験が「勉強であり」、
遊びや趣味は「勉強ではない」という教育を受けて育つと、
起業に"遊びの要素"を盛り込むことが、
難しい人格になってしまうかもしれません。
ですが、起業には様々な方法があり、
正解はありません。
オンラインゲームをすることが、
次のキャッシュポイントに繋がるかもしれませんし、
フィールドワークで刺激を受けることで発想が飛躍していきます。
重要なことは、「知らないことを学ぶ」、
「今の事業にどう活かすのか?」という視点で常に見ることで、
生きること全てが事業に紐づくのです。
勉強会を通じて、
自身のスキルアップへの貢献と、
学ぶ意識を持つことができたので、
ぜひ、勉強会やフィールドワークを導入すべきと思います。
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3期目までの会社経営を通じて、
共有できそうなことは以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
他にも日々思いついたら、
noteの記事にしていく予定ですので、
フォローしていただけると嬉しいです。
良かったらこちらの記事も参考にしてみて下さい。
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【会社概要】
会社名:GoMA株式会社
称号:東京工業大学発ベンチャー(授与番号110号)
設立日:2019/12/9
代表取締役:平賀良
所在地:東京工業大学田町キャンパス
東京都港区芝浦3-3-6 CIC5階
資本金:300万円
事業内容:
■LINEを使ったWebアプリケーションの開発/運用
■SES事業
■東工大起業塾「Go startup」の運営業務
https://go-ma.co.jp/
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