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バルアトルケものがたりⅣ

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バルアトルケものがたりは読み聞かせられるように、と思って書いています
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19*夢?現実?

19*夢?現実?

バルアトルケものがたりⅣ*19

ぃぃやだー!!

セオナルドは自分の声におどろいて目が覚めました。心臓がどきどきし、全身に汗をかいています。からだは緊張していて、なんだか自分のものではないような気がします。

ふうーっと大きく息をはきました。横になったまま、手のひらをてんじょうにかざします。部屋は真っ暗ではなくうっすらと光が入ってきていて、淡い光の中でセオナルドの手は、いつもより色白に見えますが

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16*おんがく

16*おんがく

バルアトルケものがたりⅣ*16

セオナルドたちが村のお祭りで聴いていた音は、細い笛や、木で作った木琴、太鼓、まわりの石をたたいたり、といった身近なもので作る音でした。それらの音も大好きでしたが、アースの友達が練習している楽器は見るからにちがっていました。袋のようなものから笛が何本も出ていて、わきに挟んでいます。アースの友達は頬をおおきくふくらませて音を出しています。

その音は張りがあり、ぴんと

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13*ルシス

13*ルシス

バルアトルケものがたりⅣ*13

スカイは帰らないといけないことになったのですが、ルシスは帰りたくありませんでした。セオナルドやアリィ、ピリルと一緒に遊ぶのはとても楽しいのです。

ルミナ島のドラゴンは普段は、個々離れて暮らしています。スカイはルプアの世話があり、ルプアはルミナ島でも一番奥深いところにあるために仲間と会う機会は年に数えるほどです。

ルシスは友達がいなかったのです。

はじめてでき

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12*変わった出来事

12*変わった出来事

バルアトルケものがたりⅣ*12

アースの問いかけに、スカイは考えています。

変わったこと。。。

変わったこと。。。

あることにおもいあたり、はっと顔をあげました。

「そういえば、数か月前小さな地震がありました。そのあとほんの数時間でしたがルミナ島の山奥にある泉の湧水が止まったのです。すぐに水が湧いてきたので、泉が枯れたわけではないのです。皆は知りません。水を護っているドラゴンがこっそりと

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11*ルプア(りんご)

11*ルプア(りんご)

バルアトルケものがたりⅣ*11

スカイはアースが仕事をするときには、必ずそばにいき、その様子を見ていました。

アースはルプアの木の根元にある古いウサギの穴を改築して住んでいます。毎朝起きると、まず外へ行き、ルプアの木のまわりをぐるっとまわりながら枝ぶり、風で折れてしまった枝などがないか、など様子をチェックするぐらい。ルプアの木の根元数十センチは歩けるように草が刈ってありますが、刈ってある部分も

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10*バーベキュウのあと

10*バーベキュウのあと

バルアトルケものがたりⅣ*10

バーベキュウには新しい友達、ルミナ島から来たドラゴン、スカイとルシス、森の奥の奥のりんご(ルプア)の木を護っているアースも来て、みんなで楽しい夜をすごしました。

エルダーワインを飲んでいる、男たちセオナルドのおとうさん、アリィのおとうさんのカイト、ピリルのお父さんユニコーン、アースはそれぞれ自分たちの得意なこと、家を建てることや、治すこと、りんごの世話のことなど

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9*ほのお

9*ほのお

バルアトルケものがたりⅣ*9

燃えろ 燃えろ 空高く

その熱はすべてを清める 

形あるものは灰になり 大地へと戻る

炎の熱はおのれのちからをよび覚まし さきへと歩くちからとなる

火のように燃えるその星は夜空にきらめき

地のほのおとともに踊りをおどる

燃えろ 燃えろ 空高く

天と地のちからが結ばれ ひとつになる

そのために

*エルフィの言い伝えより「ほのお」

8*バーベキュウ

8*バーベキュウ

バルアトルケものがたりⅣ*8

セオナルドのおとうさんと、カイトが庭で火を起こしている間、おかあさんは大忙しです。

バーベキュウ用にたくさんの野菜を切り、チーズをスライスしました。食料庫に保管してあった、ドライトマトを水でもどします。おかあさんが煮て、保管してあった、瓶詰のひよこ豆の水煮も鍋に入れてあたためています。ひまわりの種も水でもどします。

そのあと、どんぐりの粉を練っています。どんぐり

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7*おかえりなさい

7*おかえりなさい

バルアトルケものがたりⅣ*7

「ただいま~~~!あ~~疲れた~~」

ドアを開ける音と、大きな声がほぼ同時に聞こえました。

「おとうさんだ!」

アリィは椅子からとびあがり、ドアのところまで走って行き、

汚れた靴を脱ごうと腰をかがめていたカイトに飛びつきました。

「うわ~~!なんだあ?アリィ!!!おかえり!」

カイトのおおきな声にルシスは目を丸くし、その様子を見てセオナルドとおかあさんは

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6*帰宅

6*帰宅

バルアトルケものがたりⅣ*6

「待って~~~。わたしも一緒に行く~~。」

3人が歩きはじめると、ルシスがとんできました。

「じゃあ、明日ね。」

茂みの前でピリルと別れ、セオナルドとアリィは歩き出しました。ルシスは二人の周りを飛んだり、ときどきアリィの肩にとまったりしています。セオナルドの家が見えてきました。おかあさんが庭にいるのが見えたので、セオナルドは思わず走り出しました。アリィも走りだ

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5*弟子入り

5*弟子入り

バルアトルケものがたりⅣ*4

「ぜひ教えてください!わたしたちのルプアが元気がないのです。なんとかしないといけないのです。」

スカイの言葉にノームは腕組みをしながら言いました。

「いいけど、特別なことはしていないぞ。ちょっとの間ここにいて様子を見てみればいいんじゃないか?」

「わかりました。そうすることにします。わたしはスカイ。この子はルシスです。よろしくお願いします。」

「ルシスです。

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4*ノーム

4*ノーム

バルアトルケものがたりⅣ*4

セオナルドとアリィは声の主のほうへ向かおうとしました。セオナルドの胸のあたりまでの草が二人の行く手を邪魔しています。

二人は、木の周り1メートルほどのところについた踏み跡をたどり、声のする方へと行きました。

りんごの木の根元には、セオナルドの膝くらいまでの背丈の小さなノームがたっていました。

ノームはひげも生やしておらず、とても若く見えます。緑色のベストに白い

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3*森の奥のルプアの木

3*森の奥のルプアの木

バルアトルケものがたりⅣ*3

「すごい!この木はルプアです!」

その木をひとめみてスカイは感動の声をあげました。さっそくぐるっとまわってみています。ルプアの木の周りには背の高い草がうっそうと生えていて、スカイが踏み込むにつれ音を立てています。すでに木の枝には若い実が実り始めています。まだ緑色をしていますが、つやつやと光っていて、元気そうです。

「このりんごはとても美味しいんだよ。はやく赤くな

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2*森の奥のルプアの木

2*森の奥のルプアの木

バルアトルケものがたりⅣ*2

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・がふるいりんごの木だよ」

う~~~ん なんだろう?うるさいなぁ・・・・・

ずいぶんと長く眠っていたような気がして目が覚めました。なんだか自分の体が自分のものでないような気がして、手のひらを動かしたり、指をにぎってみたりしました。大丈夫、なんともありません。

いま、いつなんだ

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