マガジンのカバー画像

バルアトルケものがたりⅣ

20
バルアトルケものがたりは読み聞かせられるように、と思って書いています
運営しているクリエイター

2018年7月の記事一覧

10*バーベキュウのあと

10*バーベキュウのあと

バルアトルケものがたりⅣ*10

バーベキュウには新しい友達、ルミナ島から来たドラゴン、スカイとルシス、森の奥の奥のりんご(ルプア)の木を護っているアースも来て、みんなで楽しい夜をすごしました。

エルダーワインを飲んでいる、男たちセオナルドのおとうさん、アリィのおとうさんのカイト、ピリルのお父さんユニコーン、アースはそれぞれ自分たちの得意なこと、家を建てることや、治すこと、りんごの世話のことなど

もっとみる
9*ほのお

9*ほのお

バルアトルケものがたりⅣ*9

燃えろ 燃えろ 空高く

その熱はすべてを清める 

形あるものは灰になり 大地へと戻る

炎の熱はおのれのちからをよび覚まし さきへと歩くちからとなる

火のように燃えるその星は夜空にきらめき

地のほのおとともに踊りをおどる

燃えろ 燃えろ 空高く

天と地のちからが結ばれ ひとつになる

そのために

*エルフィの言い伝えより「ほのお」

8*バーベキュウ

8*バーベキュウ

バルアトルケものがたりⅣ*8

セオナルドのおとうさんと、カイトが庭で火を起こしている間、おかあさんは大忙しです。

バーベキュウ用にたくさんの野菜を切り、チーズをスライスしました。食料庫に保管してあった、ドライトマトを水でもどします。おかあさんが煮て、保管してあった、瓶詰のひよこ豆の水煮も鍋に入れてあたためています。ひまわりの種も水でもどします。

そのあと、どんぐりの粉を練っています。どんぐり

もっとみる
7*おかえりなさい

7*おかえりなさい

バルアトルケものがたりⅣ*7

「ただいま~~~!あ~~疲れた~~」

ドアを開ける音と、大きな声がほぼ同時に聞こえました。

「おとうさんだ!」

アリィは椅子からとびあがり、ドアのところまで走って行き、

汚れた靴を脱ごうと腰をかがめていたカイトに飛びつきました。

「うわ~~!なんだあ?アリィ!!!おかえり!」

カイトのおおきな声にルシスは目を丸くし、その様子を見てセオナルドとおかあさんは

もっとみる
6*帰宅

6*帰宅

バルアトルケものがたりⅣ*6

「待って~~~。わたしも一緒に行く~~。」

3人が歩きはじめると、ルシスがとんできました。

「じゃあ、明日ね。」

茂みの前でピリルと別れ、セオナルドとアリィは歩き出しました。ルシスは二人の周りを飛んだり、ときどきアリィの肩にとまったりしています。セオナルドの家が見えてきました。おかあさんが庭にいるのが見えたので、セオナルドは思わず走り出しました。アリィも走りだ

もっとみる
5*弟子入り

5*弟子入り

バルアトルケものがたりⅣ*4

「ぜひ教えてください!わたしたちのルプアが元気がないのです。なんとかしないといけないのです。」

スカイの言葉にノームは腕組みをしながら言いました。

「いいけど、特別なことはしていないぞ。ちょっとの間ここにいて様子を見てみればいいんじゃないか?」

「わかりました。そうすることにします。わたしはスカイ。この子はルシスです。よろしくお願いします。」

「ルシスです。

もっとみる
4*ノーム

4*ノーム

バルアトルケものがたりⅣ*4

セオナルドとアリィは声の主のほうへ向かおうとしました。セオナルドの胸のあたりまでの草が二人の行く手を邪魔しています。

二人は、木の周り1メートルほどのところについた踏み跡をたどり、声のする方へと行きました。

りんごの木の根元には、セオナルドの膝くらいまでの背丈の小さなノームがたっていました。

ノームはひげも生やしておらず、とても若く見えます。緑色のベストに白い

もっとみる
3*森の奥のルプアの木

3*森の奥のルプアの木

バルアトルケものがたりⅣ*3

「すごい!この木はルプアです!」

その木をひとめみてスカイは感動の声をあげました。さっそくぐるっとまわってみています。ルプアの木の周りには背の高い草がうっそうと生えていて、スカイが踏み込むにつれ音を立てています。すでに木の枝には若い実が実り始めています。まだ緑色をしていますが、つやつやと光っていて、元気そうです。

「このりんごはとても美味しいんだよ。はやく赤くな

もっとみる
2*森の奥のルプアの木

2*森の奥のルプアの木

バルアトルケものがたりⅣ*2

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・がふるいりんごの木だよ」

う~~~ん なんだろう?うるさいなぁ・・・・・

ずいぶんと長く眠っていたような気がして目が覚めました。なんだか自分の体が自分のものでないような気がして、手のひらを動かしたり、指をにぎってみたりしました。大丈夫、なんともありません。

いま、いつなんだ

もっとみる
1*ひととび

1*ひととび

バルアトルケものがたりⅣ*1

アリィの家で地図を見て場所を確認し、仕度を終えて5人は海岸へ行きました。海岸に着くとスカイはまた大きく息を吸い込み、すこしずつ吐いていきます。今度はだんだん体が大きくなっていきます。元の大きさにもどったスカイは体を横たえました。

「さあ、私の背中に乗ってください。」

スカイにうながされて、3人は背中にのりました。アリィが一番前、その後ろにセオナルド、ピリルの順番

もっとみる