(連載69)自分のファッションショーを紙人形にした:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2011年
2011年のファッションショーなのですが、これは、それまでで一番規模の大きいイベントとなったのでありました。
プロデューサーもついて、カメラも照明さんもはいって、その昔やってたようなアングラ感はありません。苦笑
ちなみに。
1998年 ランウェイも座席なし。ライトも一個!
それから13年後、ランウェイあり、照明あり、座席あり。
私を知らない人がこのショーに来たら、この人、いったい何者?って思うくらい立派なものになったんですよー。笑
そんなショーなのに、なんか、ランウェイの服はフツーになってしまった。。。
ここまでが前回のお話でした。
現在になって、これを自己評価してみると、これでよかったのかなあー?と、思うのですが、おめでたい私は、当時、これに気が付きませんでした。
ショーは大成功だ!!と思った。苦笑
服も普通であったゆえに、売れたし!!!
人もたくさん来てくれて、打ち上げだ〜!
終了後、楽屋にて。
シャンパンを開けてわーい。有難う!!かんぱ〜い。と。
しかし、今になって、自分をメタに見てみると、(現在2022年)なんか、、、、、わからんけど、こん時のショーは、エネルギーの使い方が、
なんか、ズレてた
ような気がする。
ファッションショーだったら、服を見せるのが一番の目的です。
だって、そのためのランウェイ・ショーなんで。
別に普通の服が悪いという意味ではありません。すでに述べましたが、コンセプトは「サイズとスケール展開」それでデザインとアートの境界線を表現した、(つもり)だから、結果として、できた服が別にふつーになっても、いいのでは?
という気もする。
しかし、振り返ってみたら、この時のショーは服自体よりも、
告知の方にかなりのエネルギーを使っちゃったんだ。
と、気がついた。
最初からお話しますと。
この前回、前々回でも申しましたが、この頃の私は、サイズやスケール感というのに、深くハマっていたので、毎日、そのことばかり考えておりました。
自分より大きいものを見たら、たとえば、電信柱とか。「あのへんから眺めたら、世界はどんな景色なんだろう?」とか、「自分がものすごく小さくなったらどうなるのかな〜?」たとえば、蟻とか。。。
不思議な国のアリスのように、どんどん体が小さくなったら、「何を感じるんだろうか?」とか、「音のボリュームスイッチのように、大きい小さいがつまみ調整できたら、おもしろいだろうな〜」などと、まるで夢見る少女(すでに自分は50代。苦笑)のように、妄想が膨らんでおりました。
そんなある日。
自分の服を着せたペーパードール=紙人形作ってみようかな〜?と、思ったのでした。
そして、ミニチュアのファッションショーっていうの、やったら面白いだろうなーって。
この瞬間に、血が昇りました。
(血圧低めなんで、丁度いいサイズ感!)
エネルギーが爆上げっ〜!
それから、毎日、このペーパードール制作活動に爆走!!
ファッションショーの前の、クッソ忙しい時に、アシスタントのもえちゃんと、紙人形制作に没頭してしまった。。。。汗
もし自分に上司がいたら、こんなことにはならなかっただろう。
「大事なショーの前に、まったく関係ない事やってんじゃねーー!」
もし、このイベントに広告代理店がついてたら、
「これ何の企画ですか? マーケットが違いますけど?」
もし、このイベントにスポンサーがいたら
「洋服が小さくてみえないです。もっとよく見えるように、できませんか」
もしここに、アートフェスの審査員がいたら
「これ、アートですかね?」
もし、これのチケットの販売会社がからんでたら、
「ジャンルどうします? 子供むけのイベントにしますか?」
しかし。
誰も、私のやる事に、なんにも言わなかった。。。。
別に人のせいにするつもりはないが。(と、言って、してる)
いつものように、爆走しすぎて、周りが見えなくなってたのかもしれませんが、こんな時に、誰か、一言、大声で何か言ってくれたら、ハッと我に帰ったでありましょう。
周りにいる誰かが。
ひとりでも。。。。
しかし。
周りはかぎりなく、ナイスであった。ただ、がんばれ〜!!っと。
プロデューサーは「やりたい事やったらいいよ!」と。
身近な友達は「相変わらず、ブッとんでんね〜」で、終わり。
アシスタントの方々は、ショーの前で、それどころじゃないし。
夫のトッシュはいつも、「君は天才だねー」だし。笑 (夫を100%信頼しているワタシは、それが本当だと信じて疑わない)
しかも!
私のこの暴走に追い風さえ吹いたのでありました。
知り合いの知り合いが、「自分の新しい会社のプロモーション用のビデオを作ろうと思うんだけど、何かアイデアがあったら、なんでもビデオにしますよ。しかも無料で!」と!!!
わぉ!
こういうのを、飛んで火にいる夏の虫? というか? 違う!!
猫に小判? じゃないなー。。。。 棚からぼたもち? 早起きは3文の得? でもないし、、、、カモがネギしょって現れた?(これは失礼でしょ?)
ぴったりの言葉が思いつかん。すみません、日本離れて、長いんでー。汗
ま、ともかくですね、
私はさっそくお答えしました!
「紙人形がファッションショーやってるビデオ作りませんか?」と。
そしたら、
素晴らしいアイデアだ!!
ベタ褒めしてくれて、ビデオに収めてくれることになったのです!!
で、何の疑問もなく、この流れにそってしまいました〜〜。
服のミニチュア、ペーパードール用に作って。こんな感じ。
実物はこちら。
フィッティング中のモデルのエンミちゃん。(フロム:フィンランド)
バッグもこんな。
一番、ちっちゃいバッグはイヤリング!!
観客も。
そして、撮影は、うちでやりました。
なんせ、小さいので、逆にライティングが、難しいみたいで、ものすごく大変でした。
しかし、さすがのプロ!!とてもいい感じにできたんですよ!
以下、当日のファッションショーと比較してお見せします。
カシミアのリブドレス
消防服リサイクルのシルバーバッグ
リボンのスケールドレス
このビデオを告知として、ネットで一ヶ月前から、少しずつ流しました。
ビデオは、さすがにプロモ用の仕上がり、素晴らしいものができたので、すごく嬉しかった!もう彼には、感謝しかなかったです。
これはこれで、大満足だったのですが、、、、、。
しかし、今になってみれば、もっと肝心な服の方にエネルギーを注ぐべきだったのでは?とも思うんです。
なぜかと言うと、
告知なので、ファッションショーが終わったら、もう誰もこれは見なくなったからです。
イベントが終わったら、この紙人形のショーも終わりました。
風船の空気が抜けてくかんじ。シュルシュル。。。。
引き続き、何か別のものに展開していければよかったけど、当時は他のことも忙しかったので、もう、それどころでは、ありませんでした。イベントが終わったら、紙人形とセットはそのまま、箱の中に投げ入れられて、家の倉庫へ。。。
そして、私自身も、このことは忘れていった。。。。。
今から思うと、ちょっと寂しい。。。。
今回はこれで終わりです。
ちょっと悲しい終わり方になっちゃいました。
ただ、、、、、ですね。
これでは、終わりません。。。。
まだ、他にもこのファッションショーは、ズレズレな事が、起きました。
(起こしたのは、自分ですけども。汗)
次回は音楽について、お話します。
L*
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