【読書】今村夏子著『とんこつQ&A』
あらすじ
感想(ネタバレ有)
「とんこつQ&A」
一言で表すなら、「ゆるこわ」。
すごく簡単な言葉で描かれていて、実際ひらがなが多いように感じた。その分、終盤の怖さが際立った。
正直、結末は「どういうこと?笑」という奇妙さもあるのだが、その理解できなさそのものが怖い。
「嘘の道」
「消えていなくなる」。伏線の回収が一番綺麗だったように思う。
「良夫婦」
読みながら、勝手にもっと怖い展開を覚悟していた。
もちろん夫婦どちらの行動に対しても、「おいおい、それは…」と突っ込みたくなる。ただ、緊急事態となった時に「なんとかする」という言い方をする場面はよくあるので、日常の延長にあると言えなくはない。
そのことが怖かった。
「冷たい大根の煮物」
4作の中で唯一、怖くなかった。笑
芝山さんのことをどう捉えるかは、人によって違うかもしれない。
金額が10万円とか100万円なら悪者に映るだろうが、1万円だったら自分なら笑い話にできるレベル。
芝山さんの、料理を作ることに徹しているドライさが良い。居なくなるまで愛想良く振舞われていたら、裏切られた感は強かったかもしれない。
また、噂を鵜呑みにせず、自分で接して人を見極める「わたし」のスタンスに好感を持った。
芝山さんとのことをきっかけに、「わたし」が料理を楽しめるようになったのも、本著の締めとしては前向きで良かった。