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Goalsが食品産業の課題解決にチャレンジしている理由

佐崎 / Goals CEO

はじめまして、株式会社Goals代表取締役の佐崎です。食品産業全体の生産性を向上させることを目標に、現在外食産業に特化した業務改善クラウドシステム「HANZO」を開発しています。

外食・食品産業は皆様にとって馴染み深い業界だと思いますが、Goalsが提供しているサービス領域はサプライチェーンマネジメントに関わるもので、おそらくピンとこない方が多いのではないかと感じています。

昨今、Vertical SaaS(バーティカルサース)※を提供する素晴らしいスタートアップが日本を含めた世界中で数多く出てきていますが、Goalsがなぜ食品産業をターゲットにしているのか、併せて食品産業にチャレンジすることを決めたプロセスなども説明させていただければと思います。

今回は、以前掲載した創業ストーリーよりも創業経緯の詳細にフォーカスして説明させていただきます。

創業ストーリーvol.1,2はこちら↓

※Vertical SaaS(バーティカルサース)とは、業界・業種に特化したSaaSのこと

そもそもサプライチェーンって何?

ざっくり言うと、最終商品が消費者に届くまでの仕入、製造、販売の一連の流れを指します。

多くの場合、サプライチェーンは1つの企業で完結するものではなく、例えば、大手メーカーが製造する自動車が消費者に届くまでに4万社以上の企業が関わっていると言われています。

サプライチェーンは、メーカー・物流・小売など様々な企業の取引が発生する広大な業務プロセスで、世の中の経済活動において大きなウェイトを占めるものです。

Goalsのチャレンジ領域

Goalsでは以下の図の通り、食品製造〜食品流通〜外食(+食品小売)のサプライチェーンの課題解決を目的に、サービスを提供しています。

では、なぜこの領域でチャレンジすることになったのか、その経緯をお伝えしたいと思います。

この領域を選んだ理由(1/3)サプライチェーン編

事業領域の決め方は各社それぞれ異なると思います。創業者の熱い思い、綿密な戦略に基づくもの、成り行き、などなど。
Goalsの場合は、創業時からサプライチェーンにピンが止まっていました。

理由は私の経歴に関係するため少しだけ触れさせていただきます。
私は、ワークスアプリケーションズ(以下ワークス)という大企業向けのパッケージERP(企業の人・商品・お金を統合的に管理するシステム)を提供する会社に新卒で入社し、10年間勤務したのちに、起業しました。

ワークスでは上場企業の1/3ほどが顧客で、各業界の様々なエンタープライズ企業の業務改善に携わらせていただきましたが、私はERPの中でも特にサプライチェーン領域に魅力を感じていました。
仕入れ・製造・販売を担う企業が商品やサービスを提供するプロセスは、ほぼ全ての従業員が関わり、PLにダイレクトに影響することから、1%の改善が及ぼす影響度の大きさを実感していたからです。

起業に際して自分がどれだけできるか全く自信はありませんでしたが、せっかく起業するからには、世の中に大きなインパクトが出せる・大きな社会貢献ができることが理想だと考えていたため、迷いなくサプライチェーンに関わるプロダクトを作りたいと考えてスタートしました。

この領域を選んだ理由(2/3)Vertical SaaS編

また、サプライチェーンにピンを止めたことから必然的にVertical SaaS以外に選択肢は無いと直感がありました。

当たり前の話ですが、業界によってサプライチェーンの形は大きく異なります。例えば、ネジを作るサプライチェーンと、高層ビルを建てるサプライチェーンでは、プロセス・関連企業数・会計基準・法規制などなど、大量の変数が存在します。

私自身、業務アプリケーションの開発に10年間携わってきましたが、あらゆる業界のサプライチェーンに対応するための汎用化はとんでもなく難易度が高く、また、汎用化できたとしても抜群の効果が出せる 「便利な仕組み」 にするために更に高いハードルがあると感じていました。

実際に、パッケージソフトウェアだけでは必要な機能がカバーできず、大量のアドオン開発の発生や、ゼロからスクラッチ開発が必要となることで、当初の計画から数億〜数十億円の予算超過が発生する事例を、様々な業界で聞いたことがあり、顧客の課題感も感じていました。

これらの理由から、サプライチェーン領域で高いレベルの効果を実現するためには、ホリゾンタルなサービス(どの業界でも使える汎用的な仕組み)は相性が悪いと考えていました。(少なくとも私自身がやれるイメージが湧きませんでした。)

サプライチェーンは企業の戦略に深く結びつく重要な領域のため、大規模なソフトウェア投資をすること自体は間違っていないと考えています。
しかし、自社のナレッジのみを頼りにゼロイチでスクラッチ開発をする選択肢以外にも、同一業界のプロセスに特化したパッケージソフトウェアの選択肢が必要だと感じていました。

また、私がサプライチェーンに興味を持った2010年代中盤は、アメリカで様々なVertical SaaSが立ち上がりつつありました。
中身を見てみると、SAP・Oracleのような既存製品では解決できていないサプライチェーン周りの課題をワンポイントで解決するSaaSや、さらに進んでサプライチェーンのかなりの領域をリプレースするSaaSなどが存在し、ある意味自身の仮説が実証されているとも感じ、これからの日本でも業界問わず必要とされるソリューション領域だと考えました。
(日本のVertical SaaSの多くも、サプライチェーンに関わる課題解決のソリューションだと勝手に感じています。)

この領域を選んだ理由(3/3)外食・食品編

サプライチェーン & Vertical SaaSについて熱い思いを書きましたが、今だからこそ言えることも多くあり、会社設立時点では確信を持たないまま 「なんとかなるっしょ!」 の勢いでスタートしたのが正直なところです。
実態はサプライチェーン以外の領域も含めて 「作っては捨て作っては捨て」 を繰り返し、10ヶ月くらい悪戦苦闘する中で、現在の外食・食品領域にたどり着きました。

外食産業を切り口に食品サプライチェーンにチャレンジすることを決めた理由は、一言で言うと 「創業メンバーの想い」 につきますが、要素分解すると以下3つのポイントがありました。

1. 創業メンバーの興味

プロトタイプを作るにあたって、世の中の全ての産業をリサーチするのは難しかったため、まずは自分たちが興味のある業界を洗い出すところからスタートしました。
機械関連製造業・電子デバイス関連製造業、金融など、一定の土地勘と大きな市場規模のある産業に並んで、外食産業・食品産業は最初からリストアップしていました。

理由は、私を含めた創業メンバーの親族が外食・食品産業に携わっていたなど、身近な業界だったこと。また、日本の食品はとんでもなくクオリティが高いので、これからさらに海外に出ていくべき業界だと感じていたことからでした。

2. 変革を望むチャレンジ精神の溢れた業界

会社設立時は確信を持てていなかったと前述しましたが、シンプルにサプライチェーン領域は非常に難易度が高いと感じていました。軽く検索するだけでも数百億円規模の基幹システム・SCM刷新の事例が出てくる通り、企業の運命を左右するような領域のため、良いプロダクトが作れるかと同等以上に、リスク承知で変えたいという意思を持ったお客様に出会えるか、またその再現性をもたせられるかが重要だと考えていました。

そのため、様々な業界向けのモックアップを作って、その業界の決裁者に近い方にレビューしていただき、プロダクト自体にはポジティブなフィードバックをいただけた場合は、必ず最後に 「では、あなたが上申・プロジェクト推進をできるイメージがありますか?」 という質問をしていました。
そうすると、当然の如く、「プロジェクトが重すぎる・リスクが大きすぎる」 というフィードバックが返ってきて、 「やっぱりそうだよな。。」 と面談後にへこんでました。(当時メンバー2-3名の馬の骨スタートアップに真摯にフィードバックをくださった皆様には、心から感謝しております。)

そのような中で、なぜか外食企業の方々からは 「ぜひやってみたい!チャレンジしたい」 というフィードバックが出てきました。面談時にはその理由がわかりませんでしたが、後から振り返ってみると、外食産業は直近数十年で拡大した若い産業で、他業界と比べてオーナーシップを持った創業者・創業一族の方がいらっしゃる比率が高いことが分かり、会社の運命を変えるような決断ができる業界だと感じました。

というような経緯で、「リスクを取ってでもより良く変えていきたい」 という意思を持った素晴らしいお客様・業界に巡り会えたことから、 「サプライチェーン・Vertical SaaS」 というフワっとしたキーワードしか持っていなかった私たちが、どの業界でチャレンジするかを決定することができました。

3. 事業領域の社会貢献性

新卒から一貫してBtoBのIT業界に携わってきましたが、ずっと違和感を感じていました。SaaSを含めた業務支援ソフトウェアはお客様の生産性を上げる裏方の役割です。
しかし、社会を動かす主役である小売・製造・物流などのお客様側の利益率と比べて、裏方のIT企業側の利益率が高い傾向にあるというある意味歪んだ構造になっていると感じています。

この違和感は、コロナ禍の中でSaaSは活況にも関わらず、人間にとって最も必要不可欠な産業が苦境に立たされている姿を見て、より大きくなりました。「衣食住」 の一角を占める外食産業で、微力ながらソフトウェアで未解決課題を解決し、産業の成長・持続可能性に貢献したいと強く思っています。

また、外食を含めた食品産業は日本のGDPの約10%を占める基幹産業の一つで、市場規模という観点でも日本社会の大きなウェイトを締めています。
しかし、最終消費者の食品需要を食品製造企業がキャッチできず見込み生産せざるを得ない課題などから、企業起因で年間9兆円のフードロスが発生していると言われていて、サプライチェーンに関連した大きな社会課題が存在する産業です。サプライチェーンは1つの業界・企業で完結するものではなく、食品サプライチェーンも複数の業界・たくさんの企業により構成されていますが、課題解決のためには企業間を横断した取り組みが不可欠となります。

サプライチェーンの出口となる外食産業が先進的な課題解決を始めることで、川上の企業を巻き込み食品サプライチェーン全体の課題解決が推進され、日本社会にとって大きなインパクトが実現できると私自身が信じていることが最後の理由です。

最後に

長くなりましたが、以上が私たちが食品産業のVertical SaaSをやっている理由になります。

ここまでお伝えしてきた試行錯誤の経緯は2019年の話で、その後も研究開発に苦労し、最初のプロダクトがリリースできたのは2020年10月でした。

当時の開発秘話はこちら↓

ご存知の通り2020年からコロナ禍が始まり、外食・食品産業は緊急事態宣言等で未曾有の苦境に陥りましたが、そんな中でも 「未来のために投資すべき」 とおっしゃってくださったお客様に恵まれて、今日に至ります

Goalsは食品サプライチェーンの課題解決に向けて、現在進捗率0.01%程度の始まったばかりの会社ですが、一緒にお客様の課題と社会課題の解決を推進してくれる仲間を募集しています。

興味を持っていただいた方はカジュアル面談なども行っているので、お気軽にお問合せください!

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