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モーゼのシナイ山とダイビングの町 ダハブ

【海外写真放浪記】Egypt 3 ダハブ

2011年当時、カイロからバスでシナイ半島へ入る際に軍事拠点を2つ超えなければならず、その度にバスは止まり手荷物検査や荷物チェックが行われていた。

シナイ半島はイスラエル、パレスチナに隣接するだけでなくスエズ運河がありエジプトでも重要な土地となっているのだが、下調べが不十分だった僕は後に拘束される事になる。それはまたスエズ編で書こう。


バスは何も無い砂漠地帯を走り、草木が一つも生えない岩山の間を通り抜けてダハブへと向かう。


この辺に限らず、中東近辺の山には木が生えていない。無骨で岩が剥き出しの山脈が連なっていて、飛行機からの眺めは圧巻だ。


鉱物も多く産出していて、アフガニスタン産のラピスラズリなどは有名で、その昔日本の瑠璃色の原料がこのラピスラズリを粉末にして使われていたり、エジプトの出土品の中でも使用される事の多い原石である。


ダハブは紅海に面したリゾート地でダイビングが盛んな小さな街。海の透明度は非常に高く、初心者でも入りやすい海らしいので人気らしいのだが、僕はカナヅチなので全く興味が無かった。日本人が経営するダイビングスクールとゲストハウスがあり、賑わっていてダハブのストリートに日本人が沢山いる不思議な光景となっている。



シュノーケルだけでもと思い何度か入ったが、透明度が高い程怖さが増す事に気づいたので早々にリタイヤした。ただ透明度は10Mの上を行くほど綺麗で、タイやキューバ、オーストラリア、エクアドル、メキシコ、沖縄の海に入った事がある僕の中で間違いなく一番の透明度だった。


こんな砂漠の岩山から海が始まる光景もこの辺の見所の一つなんじゃ無いかと思う。


海沿いにワンストリートでお店が並び、お土産屋やオーシャンビューのレストランがあるのだけど、活気は今一つ。


軍事政権下だからなのか?とも思ったが、町外れまで行くと建設途中のホテルが山の様にあり、どうやらまだまだ開発途中の段階らしい事が伺えた。



そんなダハブのもう一つの見所がシナイ山だ。

旧約聖書の物語が元なので未だに場所がはっきりとはしていないし物語を完全に理解していないので下手な事は書けないが、


出エジプト記の中でジェベル・ムーサー(シナイ山)はモーゼが神から十戒を授かったとされる山でアブラハムの宗教の聖地として信仰されている山。(本当の位置は諸説あるので不明だが、2011年はジェベル・ムーサーがシナイ山だった)


と言うわけでアブラハムの宗教=ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地がシナイ山と言う事になるらしい。(wiki)

イスラエルもそうなのだがこの辺にはアブラハムの宗教聖地が幾つか存在する。



シナイ山へはツアーで参加するのが一般的で、夜中に登り始め、ご来光を頂上から眺めるのがワンセットとなっている。その為、防寒具やヘッドライトが必ず必要となる。


登山口に車が到着するともう何台かのバスが到着していて、闇夜の登山道にヘッドライトがチラチラと光っていた。


凍えながら登山道を登り始めると、すぐに地面が臭い事に気づく。


ロバとラクダの糞だ。


深夜に登山道にトラップが仕掛けられていると誰も思わないだろう。


ただご年配の方も登っていて、ラクダやロバが必要なんだと中腹辺りの山小屋で気付いたので甘んじて踏む事にした。


登りは暗闇過ぎて写真に収められなかったのだが、この山割と険しい。


頂上付近に至っては岩肌を登る様な場所もあり高齢者の方はそこで断念していた。


いつの間にか富士山のご来光のの様な列が出来ていて並んだ状態で登ってゆき、頂上付近に到着すると、夜明けまで小1時間位待機する時間となる。


シナイ山山頂付近からの北極星


この夜明け前の1時間は1日で最も気温が低くなる時間で、皆凍えながらその時を待っていた。僕も寝袋を用意して行ったが、毛布に包まっている人も何人もいた。

夜明けが近ずいてくると星が薄くなり、辺りが鮮明に分かる様になってくる。思っているよりも多くの人がこの頂上付近にあるひしめいていて、気付いたのがその国籍もバラバラであり年齢もバラバラであり思いもバラバラであると言う事。




祈る人が多かった印象だった。


僕はそこまで旧約聖書や宗教に対して詳しく無いし、自分自身無宗教なのだが、登山の興奮と、日の出の感動、そして信仰への熱量を感じる事が出来て今でも思い出深い場所となっている。




同じ日に同じ場所で見た日の出だが


何を思ってそれぞれが見ていたのだろうか。





帰りはバスの時間もあるのでそれぞれが順番に降っていく。


真っ暗だったので分からなかったが、キヨスクや寝床、トイレなど施設も充実していた様だ。



そして降って気づいたがやはり険しい道のりだった。




来る時に見なかった分、帰り道は景色を楽しめながら帰れたのでそれはそれで良いトレッキング。



帰りは皆暖かい車の中で爆睡して町へと戻って行き、キヨスクで買った6Pチーズとカステラとコーヒーを飲んで布団に潜り込み、また眠りについた。



次回 Egypt 4 スエズ


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