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【本紹介】働く女子のキャリア格差(著:国保祥子)

これから産休・育休を取得する女性には本当におすすめの1冊です!!!!!

 題名だけ見ると女性間のキャリア格差にフォーカスしているように見えますが、そう悲観的ではありません。女性のキャリア開発に関する問題が、構造的な問題であること、その解決方法について書いてある本です。「子供を産みながら仕事もしていきたいけど、両立できるだろうか‥‥」、そんな不安に寄り添ってくれる内容になっていると思います!!個人的に所々厳しい論調のところもあるように感じましたが(笑)、まだまだ日本社会の現実はそんなもん、悔しいけど女性側が踏ん張って変わっていかなくてはいけないということなのでしょう!これから育休・産休を取得する女性には是非読んでいただきたい本です!

内容はざっくり、3点。

 ① 女性活躍推進を進める企業や主にその企業の男性管理職層と、子供を育て始める女性の間で起きる、女性のキャリア形成を阻害するようなミスコミュニケーションの「あるある」とその原因
 ② ミスコミュニケーションを防ぐための対策方法
 ③ 筆者が運営する「育休プチMBA」の事例紹介

「あるある」だろうな、の連続

 感想の初手としては、日本全国あるあるだろうな…と思う。会社の構造や社会の構造として女性にしわ寄せが行っているのだが、「この女性はやる気がない」という女性個人の問題とされてしまうことが多いようである。
 例えば下記。

【部長の立場から見ると…】
 課長の異動に伴い、次の課長を選ぶ必要がある。日々の業務態度が良く、後輩からも慕われているAさんを抜擢しようした。しかしその打診をしたところ、Aさんは真っ青な顔で俯く。部長の気持ち「女性は昇進したがらないとは聞くけど、まさか彼女が…」

【子育て中ワーママAさんから見ると…】
 仕事にはやりがいを感じている。最近結婚して、年齢的にそろそろ子どもが欲しい。しかし社内で育休制度はあるものの実際に使う人はまだ少ない。自分の周りの育休を取っている人は、キャリアから退いている人が多い。また管理職は長時間残業をする男性か、女性は子供のいない人ばかり。夫は出張が多いから、子供を持つなら管理職は諦めなくてはいけないかも…。そんなタイミングで、管理職の打診をされた。喜びより不安の方が大きい。責任をもってやり切れないなら断った方がいいのかも…。

 あるあるな気がします。Aさんは責任感が強いんでしょうね。「女性が管理職になりたがらない」というの、女性が「楽したい」「責任を負わずにのんびり生活したい」と向上心がないように捉えられてしまうの、なんなのかな~と思います。個人的に私は、「管理職になりたくない」とは思わないのですが、「この会社で管理職になって、上手く力を発揮できるとは思えない」というのはとても分かります。例えば、役員報告のために深夜まで資料作ったり、役員や部長から罵声浴びせられて激詰めされたり、そのプレッシャーから自分の部下を激詰めしているような職場とかだったら、無理ですね。また管理職がほぼ全員長時間労働の男性しかいなくて、普段から女性蔑視の思想が発言から伺えたり(そういった人たちには業務の相談めちゃくちゃしづらいしな…)、相談できるような女性管理職の先輩がいなかったりするような職場では、相当ガッツのある「やってやるぜ!」系の女性でないと難しいと思います。「管理職になりたくないわけじゃない、むしろ評価されて嬉しいしもっと頑張りたい。けど、ここではやっていけないと思う」っていうのが本音なんですが…。

 おっと…半分現職への愚痴になってしまいましたが!

 この例におけるミスコミュニケーションの原因は、部長からするとまだ妊娠もしていない状態でそんなことを考えているとは予想だに出来ないこと、一方でAさんは職場の風土から「管理職は長時間労働をしないとなれない、また評価されない」というメッセージを受け取って自信喪失している、そしてそれを部長や周囲に相談できない、というところでしょうか。とても分かる。。

 他にも、「子育て中の社員は子供の病気で急な欠勤が多いから仕事を減らしてあげた」系の好意的性差別なのでは…?とも取れるようなパターナルな気遣いであったり、権利主張型のぶら下がり社員認定だったり、女性個人の問題に帰着してしまう色々なパターンがありました。本当に全国のワーママさんの同意を得られるのではないだろうかという内容でした。途中、将来の自分を見てるみたいで悲しくて本当に悔しい気持ちになりました。

時短勤務の罠

 タイトルの通り女性間の「キャリア格差」はどこから生まれるのか?
 これに関しては、一度仕事を辞めたら再就職やキャリアアップは本当に難しいから辞めないで!時短勤務の時に雑な扱いをされても腐らないで「頑張りたいんです」っていう周囲へのコミュニケーション頑張って!というようなことが、不利益ベースで書いてありました。読んでいて世の女性へのエールで泣きそうになりました。

解決方法

 ミスコミュニケーションの解決方法は、大きく2つあります。1つは職場の仕組みで解決する方法、2つ目は女性の視座を上げる方法です。後者に関しては、筆者が経営する「育休プチMBA」での学びによって解決できるよ!という趣旨になっています。

 職場の仕組みで解決する方法としては、急な欠勤や時短勤務でも仕事を回せるように属人化を防ぐ仕組みを作りましょう、多様な人の能力を生かしてモチベートするような管理職の管理能力の育成をしていきましょう、というような話が主でした。ユニリーバ、資生堂、ロート製薬等、女性活躍先進企業の葛藤と実践が書いてあります。
 また女性の視座を上げる方法については、マネジメント思考を身に着けよう、という話が個人の体験ベースで書いてありました。マネジメント思考とは、1人称でキャリアや業務を語る(私はこう思うから~したい)のではなく、会社の方針や上司の立場になって語る(会社全体の視点で見た時に私は○○を期待されている)ことを指すそうです。1人称で語るより、マネジメント思考で語る方が、上司からすると安心して仕事を任せられるそうです。そうだろうと思う。

 この他にも、家事育児を時短させる色々なノウハウが興味深かったり(ママ友をネットワーク理論で捉えると、子供を介した情報共有の媒体だ!など)、筆者の経営する「育休プチMBA」の体験談も非常に興味深いものでした。上司からはたくましくなった、配慮がいらなくなったとのFBがあって、本人の所感としては、「モチベーションは高いけど、このプログラムを受ける前はそのモチベーションの高さを示す方法を知らなかった」といった体験談がありました。これ絶対受けたい!!となりました。

 全然周し者ではないのですが、ちょっと調べてみたものを共有します。「育休プチMBA」はこちらのHPです。

カリキュラムはこんな感じ。全部興味ある!学びたい!特に後半の、交渉学~リーダーシップなど。

また、値段と開講スケジュールはこんな感じでした。約20万円!意外と安い!!キャリアライザップ系だと50万とかするかと思ってました。開講スケジュールも月2~3回であれば受けられますね。育休中に受けたいです。

 気になった方は是非、本の体験談を読んでみてください!結構ポジティブな体験談が書いてあります!(笑)
 以上、本の紹介はここまで!!

個人的に思うこと

 この後はこの本を読んで思ったことを書きます。
まず先ほども書いたのですが、本の体験談に出てくる女性たちが将来の自分を見ているみたいで感情が揺さぶられました。モチベーションは高いけどその示し方が分からない、この職場でやっていける自信がない、分かってもらえないのがつらくて最低限の仕事だけをこなしてしまう(腐る)、などなど。すごく手に取るように感じられました。

 個人的な話になってしまいますが、今勤めている職場の管理職層に女性がほぼおらず、上層部がどんな考え方をしているのか?どういった振る舞いが評価されるのか?といったことを知る機会を作るのがとても難しく感じています。上司は日ごろから女性蔑視発言を繰り返していて、何かを相談するのにすごく心理的ハードルが高い。また、男性のコミュニティへ積極的に入っていこうとしたり、偉い人に顔を売りに行ったりということが苦手です。そういう苦手を克服できず、今の会社で、30歳以上の女性で(出来れば管理職で)キャリアの相談したいと自分から心を開ける人を見つけられていません。自分の何が悪いのか、どう見られているのか、FBを誰からどのようにもらえばいいのか分からない、ずっと暗闇~という感じの気持ちが続いています。そんな中で、今いる会社で子供を産み、男性管理職と肩を並べて闘って自分の存在価値を主張していく、そういう生き方を選ぶのはコスパが悪いように感じます。肩肘張ることに精神力を使うのではなく、業務の結果に集中できるような職場を探した方がいいのではないかと思う気持ちが年々強くなってきていました。

 なので!!
 この本を読んで、「なるほど!!マネジメント思考!!!!!青天の霹靂!!!」という感じで勉強になりました。確かに私の上司も「若い社員は権利の主張ばかりする」とよく言っていたのが、そういう視点だったのかと理解できました。社会で上手くやっていくにはコミュニケーションが本当に大事ですね。他者は自分をどう見ているのか、その人に響くようにするにはどう伝えたらいいのか、これが本当に大事だと実感します。伝え方が9割って本とかも、読んでみようかな。

 色々書きましたが、本当に、全女性におすすめです!!是非是非お手に取って読んでみてください。


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