博士がゆく 第16話「うまくいかないクローニング⑤」
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それでは本編をどうぞ。
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(前回のつづきから)
~次の日~
ライゲーション反応が終わったチューブをインキュベーターから取り出す。肉眼で反応がうまくいったかどうかが分かるはずはないが、チューブ内の液体を肉眼で確認してしまう。
続いてこの反応液をコンピテントセルと呼ばれる組み替え大腸菌と混ぜることで、目当てのDNAがクローニングできているかを確認する。
コンピテントセルを‐80°Cに設定されているディープフリーザーから取り出して室温で溶かす。溶けた後は氷の上に置き、同じく氷上で冷やしておいたライゲーション反応後のチューブに加えた。
あとは30分後に42°Cのお湯にこのチューブを浸してヒートショック反応を起こすだけだ。ヒートショック反応は2分間なので、ウォーターバスの周りに必要なものをすべて準備しておかなければならない。忘れちゃいけないのが無菌の培養液を前もって温めておくこと。ヒートショック反応後の大腸菌はひどくダメージを受けているから、適温の培養液に浸してあげることで回復させてあげなければならない。
ヒートショック反応後のコンピテントセルに培養液を加えて1時間振とう培養する。
100microLを吸い出し、抗生物質入り培養プレートの上に滴下する。セルスプレッダーで滴下した菌液をプレート上に均一にのばして一晩37°Cで培養すれば大腸菌が目に見えるサイズのコロニーを形成してくれる。
~次の日~
培養プレートには100個前後のコロニーが形成されている。博士(ひろし)は慣れた手つきでコロニーをつまようじでつつき、培養液入りの試験管に投下していく。
合計20本の試験管を振とう培養器にいれて一晩待つ。
~次の日~
試験管の中身が濁っていることを確認した博士は早速プラスミドの抽出に取りかかる。遠心分離器を冷やし、試験管と同じ数のマイクロチューブを準備する。
菌液をチューブに移したら遠心分離を行い上清を捨てる。ここからは順番に3種類の液体を加えていくだけだ。細菌を壊す洗剤、DNAを乖離させるアルカリ性溶液、プラスミドだけを元に戻す酸性溶液。それぞれを加えるたびに博士はチューブを転倒混和する。最後に遠心分離して上清を回収すればプラスミド精製は終わりだ。
ここからはプラスミドDNAを濃縮するためにエタノール沈殿を行う。こちらも作業自体はとても簡単だ。プラスミドDNAに塩(えん)とエタノールを加えて遠心分離するだけ。DNAは水に可溶、エタノールに不溶なので遠心分離のあと、今度は沈殿を回収する。エタノールを完全に乾燥させれば濃縮プラスミドDNAの完成だ。
制限酵素で処理してアガロースゲル電気泳動にかける。30分電気泳動後のアガロースゲルをEthidium bromideに20分浸漬する。緊張する手でステージに、浸漬後のアガロースゲルをのせてUVをオンにする。
バンドは2本。
成功だ。
「よし!」
思わず博士はガッツポーズをとる。これで先に進める。
ステージの陰で隠れていた細胞くんも、思わずガッツポーズをとる。
博士の研究室生活はつづく。
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