博士がゆく 第15話「うまくいかないクローニング④」
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それでは本編をどうぞ。
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(前回のつづきから)
次の日、博士(ひろし)は早速細胞くんに教えてもらった通り、PCRの反応チューブの数を3本に増やしてみた。反応液をまとめて150 microL作り、50microLずつPCRチューブに移していく。
Thermal cyclerにチューブをセットして前回と同じサイクル数でPCR反応を進める。PCRはDenaturation、Anealing、Elongationの3ステップに分かれている。Denaturation
で高熱を与えることでDNAを一時的に乖離させて、Anealingで温度を下げてPrimerを接着させる。
最後にElongationでDNAポリメレースがDNAを伸長するんだよな。博士はPCRの原理を頭の中で復習する。
昔は1分で1,000bp伸長するDNAポリメレースが主流だったが、最近では5秒で1,000bp伸長するポリメレースも出ている。テクノロジーの進歩はすごい。そんなことを考えている間にPCRが終わる。
3本のチューブの中身を混合して150 microLにしてから、5 microLをアガロースゲル電気泳動にかけてEthidium bromideに浸漬する。これでシングルバンドが見えればひとまずOKだ。UVを当ててアガロースゲル内のDNAを可視化してみる。
成功だ。
「ふぅ」
前回とまったく同じことをやっているとはいえ、この瞬間は毎回緊張する。シングルバンドを写真におさめ、おひさまの香りを惜しみながら電源を切る。さて、ここからはDNA精製だ。
残った140 microLのPCR産物をQuiagenのDNA精製カラムに通していく。方法はいたって簡単だ。PCR産物をBuffer PBと混ぜてカラムに通す。Buffer PEであらう。Buffer EBで溶出する。これだけでDNAが精製できるらしい(参照)
Buffer EBをカラムにDropしたのちに、37℃インキュベーターに5分間静置する。最後に遠心分離器にかけて溶出したDNAの濃度をnanodropで解析した。なんと濃度は120 ng/microL。前回の100倍だ。
「こんなにとれるのか…」
博士(ひろし)は素直に驚いた。前回よりもシンプルな方法で多量のDNAが取れるなんて。既存の常識は常に疑わないといけないな。そんなことを考えながらどれほどの溶液量が必要なのか計算する。ベクター1に対してインサートのモル濃度比が3~5になるように計算する。計算にはNEBioCalculatorが便利だ。
計算通りにベクターとインサートを混合して最後にライゲースを入れる。この酵素がベクターとインサートをつなげてくれる。ここまでやれば、あとは一晩指定された温度で静置しておけば反応が進む。
(つづく)
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