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本とコーヒーなど

 生まれてから、あるいはまだお腹の中にいる時から、たくさんの「本」に出会ってきた人は多いのではないでしょうか。幼少期、絵本や日本昔ばなし、グリム童話などを大人に読み聴かせてもらいました。「どんぶらこ、どんぶらこ」というオノマトペは多くの人が桃太郎の一節だと瞬時に思い浮かべることができますよね。また「ぐりとぐら」の表紙って、簡単に思い浮かびませんか。赤と青の帽子をかぶったネズミの兄弟です。小学校に上がると国語の教科書がたくさんの思い出を残してくれました。「くじらぐも」「大造じいさんとガン」「スイミー」「お手紙」「モチモチの木」「ちいちゃんのかげおくり」と、上げ出したらきりがありません。みなさん各々、好きな話や印象深い物語に出会ってきたことでしょう。

こうして各人が幼少期から、本と出会い、それぞれ自分に合った付き合い方をしてきたと思います。では、今現在「本」とどのような関わり方をしているでしょうか。電子書籍やkindleで読んだり、本の内容を要約した動画をYouTubeで見たり、Audibleのような朗読してくれるものを聞いたりと本との付き合い方が多様化していると感じます。また、紙の本を買うにしてもインターネットを利用してオンラインで購入する人が多いのではないでしょうか。私自身、Amazonやフリマアプリを活用して、本を購入することが多いですし、電子書籍を購入してタブレット端末で買った瞬間からダウンロードして本を読むことも多々あります。とても便利で、いまや私の読書ライフに欠かせない要素となっています。

このような「本との関わりの多様化」が影響してか、日本での書店の店舗数は2017年から2022年の間に約20%減少しています。

一方で「書店の在り方」も多様化していることに気づきました。それは「ブックカフェ」の増加です。このブックカフェという概念は、19世紀のイギリスで「書籍の販売と喫茶」を兼ね備えたお店が登場したことが始まりのようです。実際に、2017年から2022年にかけて、日本でのブックカフェの店舗数は約25%増加しています。

近年の書店とブックカフェの店舗数 ※個人調べ

そして、近年の新しい働き方やサードプレイスとしての活用により、カフェの人気が高まっていますよね。その先駆けの場として、TSUTAYAとスターバックスが融合した店舗を想像する人が多いのではないでしょうか。スターバックスコーヒージャパン株式会社とTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が「Book & Cafeのコンセプト店舗の展開」に合意したのは2005年3月23日。約19年前の出来事です。こうしたコンセプトのもと日本に「本とカフェ」という新たな価値の定着に多大な貢献をし、今まで、多くの人のライフスタイルに影響を与えたと思います。

また、本とコーヒーというコンセプトの個人店も見られるようになりました。こういった個人店では、より一層落ち着く空間や、そのお店ならではの本のセレクトが魅力的で、店主の趣向がより反映されて、普通の書店とは差別化されているため面白いと感じるお店が多く、知ることのなかった新たな本と出会えます。もはや私には、コーヒーの香りと本のページをめくるということに親和性を感じてしまうレベルで根付いています。

コーヒー以外にも、「本と雑貨」や「本と食事」「本と音楽」「本とイベント」など様々な組み合わせがあります。こうしたお店では、新たな本との出会いがあり、自分にとっての本の価値に様々な意味合いを見出すことができます。例えば、「本と雑貨」のお店では、本をインテリアとしてみることができます。というのも、私は本の色や背表紙のデザイン、本のタイトルに視覚的にかなり影響されてしまいます。本棚に本だけでなく雑貨をおくことで、インテリアとして空間を彩ってくれます。本のデザインってそれぞれ全く違ってオシャレなんだと気付かされます。「本とイベント」のお店では、トークショー、朗読会、ワークショップ、コンセプトを定めた展示会など、本に黙読する以外の新たな価値観を生み出してくれます。また、こういった場所は本好き同士を繋げるコミュニティとしての役割も果たしているのではないでしょうか。

「本と何か」がこれからも新たな価値観を提供し、多くの出会いと思い出を生み出してくれるでしょう。実際に幼少期から今まで様々な関わり方をしてきました。「本と母」「本と国語」「本と夏休み」「本と友達」「本と勉強」「本と大学生活」…。本にはまだまだ無限の可能性があります。これからも「本」と向き合いながら、人生のページをめくっていけたらしあわせです。




「Book & Cafeのコンセプト店舗の展開」合意に関して



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