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パン職人の修造 56話〜100話 江川と修造シリーズ

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パン職人の修造 江川と修造シリーズです。 長い長いお話なので1〜55話までで一旦区切ってこちらは56話からになります。 お話の内容 口数は少ないがパンにかける情熱は人一倍の田所修…
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2022年10月の記事一覧

パン職人の修造85 江川と修造シリーズ stairway to glory

パン職人の修造85 江川と修造シリーズ stairway to glory

その夜

修造はベッドの中で工程のおさらいをしていたが、やがて考えるのをやめ目をつぶると早々とイビキをかき出した。

それを聞きながら明日の事を思い浮かべてスケジュール表を見てイメトレをしてみる。

明日この通りに動いて修造さんの足を引っ張ったり足手纏いにならない様にしなきゃ。

江川はスケジュール表を見ながらウトウトして紙を持つ手が下がりそのまま眠りについた。



大会当日

後藤と五十嵐が

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パン職人の修造84 江川と修造シリーズ stairway to glory

パン職人の修造84 江川と修造シリーズ stairway to glory

はじめに

このお話はフィクションです。

修造達はとうとう世界の一流パン職人の方々と戦うところまで来ました。格闘と違い選手は各ブースで自分との闘いをするのです。どこの国に勝ったとか負けたとかはこの場では伏せて、後でちょっと選手がチラ見えするかもしれませんが想像でこの国だな、とかあの国だなとか思い描いて頂けるとありがたく存じます。パンの説明は分かり易い様に時系列ではなく種類別にしています。


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パン職人の修造83 江川と修造シリーズ surprise gift

パン職人の修造83 江川と修造シリーズ surprise gift

翌日

朝食は園部が当番らしく、バゲットにクリームチーズとラズベリー。そしてアツアツの※キッシュロレーヌをカフエオレと頂く。

「園部君これ最高!」と朝からテンションの高い江川に園部が黙って微笑んだ。



修造と園部が後かたずけをしていた時、窓の外を通る路面電車を見ていた江川に

「あのさ」

と鷲羽は恥ずかしそうに話しかけた。

「俺は今までお前のパン作りを見てきたよ。だからお前の底力も分か

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パン職人の修造82 江川と修造シリーズ surprise gift

パン職人の修造82 江川と修造シリーズ surprise gift

朝10時 
シャルル・ド・ゴール空港に到着した。

Paris par Train(パリ行き電車)の文字を頼りに歩く。

「あぁ!着いた~!僕フランス初めてです」江川は飛行機が到着してからこの言葉を何度も言っていた。

「だな」とその度に修造が返事する。

「これがフランスの匂いかあ」

江川は空港の空気を吸ってみた。

「何やってんだよ。そうとは限らないだろ」
ときつめの言葉が江川にぶつけられた

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パン職人の修造81 江川と修造シリーズ 江川 Preparation for departure

パン職人の修造81 江川と修造シリーズ 江川 Preparation for departure

「ところでね江川さん」

「なあに?後藤さん」

「修造さんは何か趣味とかあるんですか?休みの日は何をされてるんです?」

「修造さんはパンロンドに来るまで空手をやっていたそうですよ。休みの日は家族と過ごしてるんだ、結束が固くてその時は僕は近づけないんだ」

「そんなに寂しそうに言わないで。修造さんのお店でまっさらの綺麗な設備に囲まれて仕事している所を想像してみて下さい」ちょっと新品案件も刷り込ん

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パン職人の修造80 江川と修造シリーズ 江川 Preparation for departure

パン職人の修造80 江川と修造シリーズ 江川 Preparation for departure

江川は早速ユニフオームを広げて大喜びだった。

「わあ〜!かっこいい」

「さあ、では行きましょうか」後藤が白い歯を見せて張り切って言った。

「え?どこへ?」

「写真撮影です」

いくつかの企業がスポンサーとなることで資金面で選手も助かるし、企業側も認知の拡大、自社の製品の知名度の向上やイメージアップができる。企業共有の写真を撮りに行く事になった。

実際勤め人の選手には資金面の心配までしてい

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パン職人の修造79 江川と修造シリーズ江川 Preparation for departure

パン職人の修造79 江川と修造シリーズ江川 Preparation for departure

「もうすぐフランスだ」



夜の12時。

東南マンションの3階の自室で

江川は窓際のベッドに横になりながら

暗がりのカレンダーを見て呟いた。

そう、もうすぐ世界大会だ。

空手のじゃない。

パンの世界大会だ。

「色々あったなこれまで」

修造と出会ってからのあんな事やこんな事。

緊張でギラギラする。

でもまた倒れたらいけないから早く寝なくちゃ。

もうパンロンドはしばらくお休み

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パンの職人の修造78 江川と修造シリーズ  Annoying People

パンの職人の修造78 江川と修造シリーズ  Annoying People

修造が短髪の方の男の首根っこを掴んだまま玄関のドアを開けると藤岡と有田が飛び込んできた。

「修造さん大丈夫なんですか?」

「ああ!今からこいつが白状するから聞いてみよう」

2人の男は藤岡を見て「こっちが正解だったんだよ」と言った。



ーーーー



5人は壊した椅子を片付けて部屋の真ん中に突っ立って話をしだした。



「私たちは鴨似田フードって言う会社の中途採用で入ったばかりの社

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パンの職人の修造77  江川と修造シリーズ  Annoying People

パンの職人の修造77 江川と修造シリーズ  Annoying People

一方その頃パンロンドでは、江川が工場の奥から店の方をチラチラ見ていた。

「ねぇ藤岡君、修造さん遅いと思わない?藤岡君と親方が行った時なんて20分もかからずに戻ってきたよね?」

「あ、ほんとだ。出発してから40分以上経ってますよね」

「でしょう?親方、修造さん遅いと思いませんか?」

「何かあったのかな?江川、ちょっと電話かけてみて」

「はい」

江川は何度もしつこくコールしてみたが出ない。

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