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中高生対象ワガママSDGsプログラム🌐2022京都ゲストトークReport📝(Vol.1)

きのPでおなじみ!グローカルセンターの木下です!
今年度から新たに始まった「ワガママSDGs京都」

ワガママSDGsとは、中高生が自分事として発見した社会課題の解決、「ワガママ」の実現を協働して「試作(プロトタイピング)」するSDGs実証プロジェクトです。

STEP1とSTEP2に分かれており、STEP1では講師を招いての講演を通じた社会課題解決、ワガママ=自分事から始まる課題解決について学びます。STEP2では考えた課題解決策を地域のサポーター(企業、行政、大学、金融機関など)と一緒に試作(プロトタイピング)を行い、実践までチャレンジします!

STEP1のDay1は、参加者同士の関係の質を深めるを大きなテーマにワークを行いました。そして、Day2 講師を招いての講演1&2をレポートでお届けします!

それではどうぞ!

🌐講演1「一杯のコーヒーを通して笑顔が生まれる空間を創る」アカイノロシ 三輪浩朔さん

株式会社アカイノロシ 三輪 浩朔(みわ こうさく) さん
 1997 年愛知県生まれ。龍谷大学入学と共に京都にやってくる。
 タイの少数民族「アカ族」のコーヒーとの出会いをきっかけに大学 4 回生の秋に株式会社アカイノロシを創業。2020年 10 月 15 日、京都・西陣に自家焙煎スペシャリティコーヒー専門店「Laughter(ラフター)」をオープン。翌 2021 年 12 月には老舗花屋「ちきりやガーデン」とのコラボ店をオープン。「一杯のコーヒーを通して笑顔が生まれる空間を創る」をテーマに、コーヒーを中心とした幅広い事業に取り組む。

三輪さんは大学生時代、タイ北部チェンライの少数民族「アカ族」が作った上質で希少なコーヒー豆に出会ったことをきっかけに、仲間と会社を起業されました。今回は、自分の足でタイの農場まで足を運び、手探りの中でも力強く進む三輪さんから、「ワガママ」を実現するプロセスや実践経験をお話しいただきました!

わくわく・・・!

 まずは三輪さんが20歳までコーヒーを飲んだことが無かった!という衝撃のストーリーからお話が始まり、ご自身が目指す姿やそのワガママを実現するプロセスでの苦労、社会起業家と言われることの葛藤など、等身大で中高生たちへメッセージをいただきました。

人のココロを動かす表現者になる!

 早速お話をお伺いしていくと、三輪さんのワガママは「人のココロを動かす表現者になる!」ということ。ある映画を見ていた時、俳優の演技をみて観客が笑っていたり感動で泣いていたりする光景から、色んな背景の人が映画を見ている中で、その背景に関わらず、自由自在に人のココロを動かすことができる俳優がかっこいい!!と憧れを感じたことからこの「ワガママ」を掲げたそうです。
 そんな三輪さんに中高生から、「"表現者"を目指す中で、なぜ俳優の道ではなくコーヒーという商材を選んだのですか?」という質問が。
 質問に対して三輪さんからは、「俳優のように自分の名前を使って表現する人に憧れていたけれど、大学生時代にいろんな人と出会いお話する中で、目に見えて表に出ている人だけが表現者ではなく、表には出ずともそれを支えている人たちもまた表現者である。ということに気づいた。」というストーリーが!

 自分の力、思いで「価値」を届けていきたい!人のココロを動かしていきたいと考えていた際に、タイのコーヒーというまだパイオニアになれる可能性のある商材があったからコーヒーを通じて自分を表現する道を選んだと力強く語っていただきました。

三輪さんの推しのメンバーだそうです!

目の前にいる人を大切に、大変だけどやりがいしかない!

 「ワガママ」を実現するプロセスで大変だったこと、苦労したこととして一番にお話いただいたことは、コロナ禍での経営のお話でした。
 新しく店舗を構える決断をした矢先のコロナ禍で、計画もすべて振り出しに。だからといって起業したからには、止まることができない。考え続けるしかないことが三輪さんにとって大変だったとのこと。
 印象的だったのは、「そんな中であきらめなかったパワーはどこから来たんですか!?」との質問に、三輪さんが笑顔で、「大変だけどやりがいしかない!!」とお答えされていたシーンです。手探りの中で、今思えば非効率なことをやっていたなということでも、新たな出会いに繋がっていたり些細なことでもやりがいだと思える!と伝えていただきました。


やりがいしかない!

 自分たちで決めたこと、決めた商品だからこそ走り続けて来られたと話す三輪さんですが、自分たちが社会起業家と呼ばれることやSDGsへの取り組みということでフィーチャーされることに葛藤もあったそうです。
 社会のためというけれど、社会のためって一体なんなのか。自分たちは、好きなコーヒーの価値を広めたい!という想いでやってきただけだ、、、そんな葛藤の中で三輪さんはある言葉に出会いその葛藤が解消されます。
 それが、「"社会"とは目の前にいる大切な人との関係のことだから、目の前にいる人を大切にすることが"社会のため"になることだ。」という言葉。
 この言葉を聴いた中高生たちも、抽象的に考えていた社会課題に対して「ワガママ=自分事」から始めることの大切さを改めて実感している様子でした。


大切なことは自分を知ること。決めた後はどうにでもできる!

 中高生との質疑応答タイムで印象的だった質問があります。それは、「自分は優柔不断で決めきれないことが多いのですが、なにか大きな決断をするときに大切なことはありますか?」という質問でした。
 三輪さんからは、「決断すること」そのものではなく、決断したあとどうするかが大事。との答えが。決めてしまって動いてしまえば後はどうにかするしかない。決めてからでも次の行動はどうにでもなるからこそ、自分を知り、自分の軸をつくることをやってみてくださいとメッセージをいただきました。
 また、人の話を聴く機会が多くなったり、人と比べたりすると、自分を見失うから、そこを見失わないように。比べることがないように。と温かい言葉とともに、三輪さん自身も自分を模索しているなかで、みんなから正解をもらいながらやっている。僕たちの世代は、社会課題解決のように、これまでにない新たな表現をしていく世代だからこそ一緒に頑張りましょう!と力強く中高生の背中を押していただきました。

三輪さんが社会起業家と言われることの葛藤含め等身大でお話いただいたからこそ、中高生からも素直で等身大の質問がたくさん出ていました!
言葉の一つひとつに心を動かされる体験をありがとうございました!!またLaughterにもお邪魔させていただきます!☕

そして熱冷めやらぬうちに、続いてのゲスト講師三輪さんの大学時代の後輩!笠井さんの登場です✨

🌐講演2:“命を有難くおいしくいただく”というジビエ業界に挑戦。笠井さん!

株式会社RE-SOCIAL 笠井 大輝 氏
1997年生まれ大阪府八尾市出身。素行が悪過ぎた幼少期の経験から将来は社会に貢献する人材になりたいと考え、龍谷大学政策学部に入学。
政策学部での学びやボランティア活動から、ソーシャルビジネスの重要性を実感。2019年4回生時に株式会社RE-SOCIALを設立。2020年にはやまとある工房をオープンし、ジビエの流通をはじめとする社会課題の解決に取り組んでいる。

ジ、ジビエ・・・!

 笠井さんが設立された株式会社RE-SOCIALは、京都府南部の笠置町を拠点に、鹿やイノシシの獣害被害という社会課題解決に取り組んでおられます。
 さらにこれまでの”捕獲して命を廃棄する”というモデルではなく、“命を有難くおいしくいただく”というジビエ業界に挑戦。
今回は地域を巻き込んで社会課題解決に取り組む実践についてお話いただきました。

 11月29日いい肉の日が設立記念日のRE-SOCIALさんは、生態系サービスに最大限の価値創造を追求することを目指し、同じ大学、同じ学部、同じ学年の仲間3人で設立されました。
 会社設立までのストーリーから、獣害被害の課題と現状、笠井さんご自身が起業に至るストーリーまで、中高生たちに目線を合わせていただいたことで、こころに響くメッセージをいくつも受け取りました。

誰もやらないのであれば自分たちがやる!

 笠井さんのストーリーはご自身の高校生時代から始まります。高校生3年生の時に初めてキャリアについて考えた笠井さんは、今まで迷惑をかけてきたからこそ、社会のために何かしたいと進路を考え始めたものの、選択肢として思い浮かんだのは警察官や消防士といった自分の身の回りにあるものだけ。その他の可能性を考えるために大学進学を決意されます。
 大学に入学された笠井さんは、選択肢を広げるために海外のスラム街のボランティアに一人で参加します。そこで貧困問題の解決に触れるも、どう解決できるのか。どんなアクションができるのか。何も思い浮かばず何もできなかった悔しい経験から、何とかしたい課題が出てきた時に、解決できる、アクションできる人になりたい!と地域課題解決に取り組むゼミに参加。そこでいまのRE-SOCIALさんが向き合う獣害被害の課題と出会います。
 多くの地域で課題になっている獣害被害。お正月の3が日に畑を見に行かない間に2トンもの人参が食べられている。という例もあり、その被害額も相当な額に上っています。政府は鹿と猪の生息頭数を減らす駆除の推進を行っていますが、その実態として殺傷された野生動物の約91%が埋設焼却処分をされているそうです。

その現場に足を運び、実態を目にした笠井さんは「こんなこといつまでやっているんだ!」という想いや、学校や世間では限りある資源、命に感謝と言われているにも関わらず、それがなされていない矛盾が。そこで、だれもやらないのであれば自分たちがやる!せめて命をおいしくいただく社会でありたい。と起業を目指すことになったそうです。

まずは勉強を!その先は実践でしかわからないことばかり

 起業の準備としてまず笠井さんが行ったことは、情報収集と勉強でした。ジビエ業界の課題や現状、鹿肉の加工に関する知識など、笠井さんのお話や使用されている資料からその知識量、研究量がうかがえました。 その後も情報収集を重ねに重ね、それでもわからないことは実践者から聴くしかない!と徳島県の実践者の方へ修行に。鹿の捕獲から解体、販売までのすべてを教わったとのこと。

 中高生たちは、勉強→実践者からの学び→実践というフェーズをしっかりと踏んできたからこその、説得力や、ビジネスモデルの正確さを感じていました。中には、普段勉強は好きじゃないけど、自分のやりたいことや知りたいことの勉強なら頑張れる!とSTEP2のプロトタイピングに向けて決意を固める生徒もいました!

自分が活動をやめてしまうとこの実態は変わらない。

 修行を終えたRE-SOCIALさんは、活動の拠点を京都府南部、西日本で一番人口の少ない町とも言われている笠置町に拠点を構えます。
 中高生から、「なぜ笠置町を選んだのか?」という質問がでました。笠井さんは、修行から帰ってきた後、京都内の様々な地域の住民、行政の方のお話を聞いて回る中で、笠置町の獣害被害額が0という発表データを目にされたそうです。周囲を山に囲まれながら獣害被害額が0なんてあり得るのか!?という疑問から住人の方にヒアリングをしていると、その実情として獣害被害に困っている住人の方が多数おられたそうです。詳しく話をお伺いすると、笠置町では農作物の自家消費がほとんどを占めており、農家ではないため被害の「額」として計上することができず、行政ではどうすることもできない状況にあることを知りました。民間だからこそできる!と笠置町を選んだとのこと。
 中高生からはさらに、「地域に入っていく上で大変だったことはありましたか?」という質問が。
 笠井さんたちRE-SOCIALさんが笠置町を拠点にするにあたって、外から入る自分たちは地域のことは何も知らず、地域住人の方の協力を得るしかない中で、最初は門前払いを受けたというストーリーがありました。工房を建てるにも土地探しには地域の人しか知らない情報が必要、鹿を捕獲するための罠も仕掛けるための許可や猟友会への加入が必要だったりと、よそ者だからこその苦労があったそうです。そんな状況を打破するために笠井さんたちが実践したことは、地域住人の方々と毎日交流をするということと、与える者は与えられる。というマインドセットだったと言います。よそ者の自分たちが地域の方へ教えてもらうこと、聴きたいことがたくさんある。だからこそまずは自分たちの持っているものを地域の人たちへ渡すこと、若者の自分たちだからこそ代わりにできることを積極的に取り組んだそうです。
 そんな活動の結果、今では、RE-SOCIALさんがお休みの日に地域の皆さんが工房の草刈りをやってくれていたり、こちらから頼まずとも「何か手伝おうか?」と声掛けをしてもらえる存在になれたそうです。

RE-SOCIALの目指す地域への展開と想い

 中でも中高生たちに最も響いていたストーリーの一つが、地域に入っていくこと、コロナ禍で計画通りに事業が進まず売り上げも立たなかった中であきらめずに辞めようと思ったことはない。というお話でした。笠井さんたちが学生時代に目の当たりにした、命が捨てられてる風景。「自分たちがこの活動を辞めてしまえばこの実態は変わらない」。どんなに大変でもこの使命感があったからこそ辞めようと思ったことは一度もない。と話す笠井さん。
 その志、信念に、話をきいていた生徒たちから「かっこいい」という言葉が漏れていました。

 笠井さんのお話の中で、私(木下)が共感したお話は、サークルオブライフ=命の輪の話でした。人がモノや食物を生み出すことができるようになったことで、本来その輪の中にいるはずだった人が完全に外れてしまい、その結果様々な課題が生まれてしまった。いまからその輪の中に、完全に戻ることはできないかもしれないけれど、人の輪と命の輪を重ね、一部でもその役割を果たすことはできる。だからこそ獣害被害という目の前の課題だけでなく、生態系サービスに最大限の価値創造を追求する。ということを目指したい。というお話です。

 ワガママSDGs京都でも、この大きな視野・視点をしっかりと持ちながら、ワガママ=自分事の目の前の課題から始める課題解決を模索し、実践して行きたいと思います。

三輪さん、笠井さんありがとうございました!

🌐最後に、参加メンバーの感想です

  ・2人に触れて沸き立ってる
  ・ジビエの可能性:知らなかった、そんな可能性が・・・
  ・失敗しても経験の方が計り知れない 無駄にはならない
  ・失敗を怖がらず、後に生かしたら失敗じゃない!失敗恐れず挑戦しよう!
  ・サークルオブライフの考え方
  ・新たな価値にふれておもしろかった
  ・やりがいしかないという言葉

続いて、Day3講義3です✨



 

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