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プロ経営者とは?

 プロ経営者がいるのであれば、アマ経営者がいるのか?ここ数年頻繁に見かけるようになった言葉だが、多分に皮肉が込められた言葉に日本社会の実像が映し出されていると感じざるを得ない。Wikipediaには、「プロ経営者(プロけいえいしゃ)とは、複数の会社を経営者として渡り歩く人物を指す俗語。 一般には、社外から「雇われ社長」的に招聘(いわゆるヘッドハンティング)され経営トップに就く者をいう」と説明されている。しかし外資系の日本法人のトップだった人が経営に行き詰まったり、後継者に困った伝統的な日本企業のトップに落下傘的に就任する人事のことを指すように思う。 

 ジョブ型の海外では職種単位でキャリア構築をするために経営者は経営職種の経験を若い頃から積んでいく。小さな会社の社長から次第に規模の大きな会社へとステップアップしていくこともあるし、コンサルティング会社で経験を積んでマネジメント職に転職するケースがある。何れにせよ経営職を極める形でキャリアを積む。まさにプロ経営者までの道のりを歩んで海外ではプロ経営者が溢れることになる。日本で外資系出身者にプロ経営者が集まりやすいのはキャリア形成が海外と同じ仕組みだからである(もちろん、細かくは違うが、ざっくり同じだと言えるでしょう)。またキャリアアップのスピードも速いことで経験を長く積むことができる人材が充実しやすい。

  一方、日本の会社の場合は最後のご奉公で社長になるケースがほとんどだ。サラリーマン人生の最期を任期4−5年勤めてまっとうする。これではとても短すぎて経験を積むことができない。よくできた企業こそ子会社の経営を経験させて最後に本体の経営を任せることはするものの多くはいきなり社長業をすることが多い。そしてそれでもなぜか上手く回ってしまう。それはスキル面で十分な備えがあると判断されないと登れないこともあるが、日本のトップの多くは会社の生き死にに関わる大きな采配をするような場面は少なく、むしろ組織内の軋轢がないように調整役の最終審判者としての務めが実質の仕事だからだろう。ミドルマネージャーが重要な役割を担うボトムアップ型の組織では実際のビジネスの采配はミドルマネージャーが行なっているのだ。逆に海外のトップは最前線でビジネスをしている。そういった意味で日本の会社の経営者はアマ経営者だと、この「プロ経営者」と言う言葉を考えた人は皮肉ったのだと思う。

  しかしながら日本でも若くして起業したベンチャー企業の社長だったり、オーナー企業の社長は(デタラメな人も多いが)経験を十分に積んでいる人が多い。ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さんや日本電産の永守さんなんかがまさにプロ経営者なんだろう。日本のようなベンチャーにリスクしかない環境で起業を試みるような型破りな人だからこそズバ抜けたことをするだけではなく、やはり時間としての経験値が豊富にあることがあれだけの業績を伸ばせる秘訣なんだろう。 


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