トランプをなぜ恐れるのか? N131
今年はコロナウィルスに始まり、オリンピックの延期、日本の総理大臣交代、そして間もなく米国大統領の選挙が待ち受けている。歴史的に大きな一年になるのかもしれないが、果たして今は混乱の時代か?という問いには何故か冷静に混乱をしているようには個人的には感じられない。
無知の想像ではあるが混乱の時代とは暴力がはびこるものだとの潜在的な思い込みが私にはある。乱世の時代は守られた治安はなく毎日が死との向かい合わせで略奪行為や肉体的暴力行為が日常茶飯事だったと。この史実はさておき、ある国々はあまりにも平和なのでファッションとして身につけられる政治を除いて関心を持てなくなっているのかもしれない。
そんな中でトランプを恐れる人たちが海外ではいる。この恐れの原因は大きく分けて2つに分けられると思う。前者はポピュリズムだからよくないという決めつけ。では、ポピュリズムとはなんだ?という質問には実は的を射た回答が出てこないことが多い。今まで積み上げてきたグローバル化と逆行するとか、差別主義的な発言をするとか、ここの言行に対する批判にとどまる。もはやポピュリズムは悪だと刷り込まされていて深掘りした理由が必要とされていないのだろう。
そして後者はヒトラーを思い起こされるという理由。この回答を持っている人は少数派なのかもしれないが、ごく一部の人たち、特に白人の年長者の一部、はこのイメージを持っているのだと思う。それは直感的に正しいと思うことを扇動的に駆り立てて政治的なムーブメントを起こすことを恐れている。
実際、前者も後者も同じだが、後者は戦後の歴史を身体で覚えていて、それがどんな結末を迎えることになるかをまさに直感的に知っている人たちなんだと思う。そして彼の主張の妥当性を理性的ではないにせよ認めるところがあるからこそ恐怖を覚えるのだろう。
そして一方的にトランプは間違っていると一刀両断をすることで解決はしないはずだ。真実かどうかは別として、こころの琴線に触れる要因に目を背けてはもう前進できないところまで辿り着いているのではないかと思う。