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食品輸出の基本知識④「直接貿易と間接貿易のメリット・デメリット」

~ディストリビューター直接貿易と輸出商社間接貿易のメリット・デメリット~

海外に直接商品を継続的に大量に売るには、方法が2つあります。海外のディストリビューターに直接商品を輸出販売する直接貿易取引と、日本国内の食品輸出商社に国内販売する間接貿易取引です。今回は、その2つに売る際のメリットとデメリットについて説明します。

海外の小売店や飲食チェーンやEC企業に、直接輸出して売るのも直接貿易であり、そのために国内で商品を渡すのは間接貿易です。自社がシッパー(輸出者)になり、インボイスやパッキングリストを作成し、フォワーダー(昔で言う乙仲)に依頼して、指定された海外の港や空港まで商品を届けるのが、直接貿易となります。

直接貿易にもメリットとデメリットがあります。

直接貿易のメリットは店頭価格が下がりたくさん売れることです。デメリットは、面倒くさい貿易業務があることです。FOB価格やC&F価格での見積もり作成や、英文での輸出取引契約書の作成、海外与信管理・海外売掛取引管理や添加物の確認や輸出書類の作成などを自社で対応する必要があります。

間接貿易のメリットは面倒くさい貿易関連業務がないことや、販路拡大スピードが速いことです。多くの国に販売できる魅力的な商品を開発できれば、食品輸出商社から多くの引き合いが入り、一気に多国販売が実現できる可能性があるというのが間接貿易の最大のメリットです。デメリットは店頭価格が高くなってしまい、価格が高くて売れない商品になってしまう可能性があるということです。

そのため、直接貿易・間接貿易は両方取り組む必要がある、というのが結論です。自社で市場を開拓する重点国は、直接貿易で取り組み、その他の国には間接貿易で取り組むのが基本です。

間接貿易は国内営業であり、持っていく資料は国内営業とは異なりますが、今まで営業してこなかった先に国内で営業すれば良いだけでなので、ある意味簡単です。しかし、そもそも食品添加物のグローバル対応や販売期限のグローバル対応ができていない商品を持って営業しても、話は簡単にはまとまりません。輸出商社に門前払いになるだけです。

海外対応していない食品を持って営業に行ってもあまり意味はないのです。輸出がうまく行っている食品メーカーは、しっかりその辺りを対応しているからうまく行っているのです。

直接貿易は、海外の企業と直接やり取りが必要になります。そのため国境を越えたグローバル営業力を上げる必要があります。

しかし、輸出商社を通さず国内の自社工場でバンニング(コンテナ詰め)すれば、横持コストや港や倉庫での商品の積み下ろしや輸出商社の利益が削減でき、コンテナへの積載効率も上がるので、現地のディストリビューターの購入価格は劇的に下がり、店頭価格も下がります。

以前行った試算では、海外の店頭小売価格が3割下がるという結果がでました。その結果、現地での売れ数が増えます。これが直接貿易の最大のメリットです。直接貿易するには、ディストリビューターやその先の小売や飲食チェーンにもディストリビューターが商品提案できるように資料を準備しておく必要があります。そういうディストリビューターの営業ツールや提案書類も含めて事前に準備が必要となります。

直接貿易をするには、見積もり価格をFOB価格とC&F価格で作る必要があります。展示会に参加すると分かりますが、国内の展示会での見積もりはFOB価格とC&F価格で、海外の展示会ではC&F価格で見積もりを求められます。

FOB価格とは日本での港の船に乗せた状態での価格のことです。C&F価格とは輸出先国の港着価格のことです。

そのため輸出価格の見積もりがないと、商売になりません。その準備をしないで展示会に出る食品メーカーが多く、「なんとなく良い反応だった。」で終わってしまい、商売につながらず、何も結果が出ないのです。

更に、突っ込んで言えば、購入者の立場で考えた情報を、展示会では提供する必要があります。

最低でもHSコードと仕様書を提供する必要があります。

HSコードとは、あらゆる物品に固有の分類番号をつけて、貿易上、それが何であるのか世界各国で共通して理解できるよう取り決めた番号のことです。英語の「Harmonized Commodity Description and Coding System」の頭文字を取った呼び名です。

輸出する商品のHSコードはメーカーが指定して、輸入先の税関が確定します。そのため、その商品のHSコードは何番なのかメーカーが購入者に示す必要があります。

更に、輸出先国の税関は、製造工程表によってHSコードを確定するので、仕様書には製造工程表と、固有の食品添加物情報を含めた原材料の構成比の情報が必要になります。

そのため3次原材料までさかのぼることができる仕様書が必要となります。海外のバイヤーがどんなに商品を購入したくても、食品メーカーがその情報を出すことができなければ商売にはなりません。

但し、例外があります。香港・シンガポール・マレーシア・カンボジアは、そういう情報を必要としなくて輸入できる例外運用があるので、商品の裏面情報だけで輸出できるのです。香港の3万個ルールなどがそれに該当します。年間3万個販売しない商品は例外的に裏面の原材料表示を簡易表示でも販売できるのです。

また、海外の一部のディストリビューターは、正規ルートを経ないで輸入したり、輸入の運用ルールが税関の担当官によって変わる場合もあるため、商品によって輸入できる場合があります。

しかし、正規ルートで日本から輸出しようとすると、ほとんどの国で輸入する前に、食品添加物情報と製造工程情報は必ず必要になるので、事前に仕様書を作成する必要があります。

多くの日本の食品メーカーさんは食品輸出商社に頼りきってしまい、自社で海外へ直接営業に行こうとされないし、英語や中国語など多言語の営業ツールの準備しようとされません。

日本の食品メーカーは、モノ作りレベルは高いレベルにありますが、国境を越えたグローバル営業力のレベルは海外の食品メーカーには到底追いつけないレベルにあります。

国境を越えて食品を売るグローバル営業力も世界に売れる商品を開発するグローバル商品開発力(海外で広く認められた食品添加物だけを使用して商品開発する力)も、海外の食品メーカーと比べるとレベルの低い食品メーカーが日本には多いです。

アジアの日系以外の小売業の店舗を見ると、日本の食品は少ないのですが、アジア各国の商品はたくさん並んでいます。海外の食品メーカーは添加物をINS番号やE番号(EUの管理番号でINSの番号にeを付けたもの)で管理していますが、日本の多くの食品メーカーは添加物メーカーや添加物卸から食品添加物をミックスした原料を仕入れ、裏面の原材料表示方法を教えてもらい、自社で食品添加物の番号管理をしていない会社が多いのが実情です。

そのため輸出に取り組む準備がそもそもできていないメーカーが多いのが現状です。食品メーカーさんには、しっかり食品添加物を番号管理して、輸出に取り組んで欲しいです。そうしないと世界に広く売る商品は出来上がません。

国内の食品輸出商社は、顧客である海外のディストリビューターから、新商品を常に求められているので、海外対応している商品を、リーズナブルな価格で販売できれば、国内営業だけでも海外に売るチャンスは十分にあります。

そのチャンスを生かす第一歩はグローバル営業ではなく、グローバル商品開発なのです。

株式会社グローバルセールス 代表取締役 山崎次郎

日本食品を世界で売る会 チーフコンサルタント

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イオンで31年勤務し海外業務に28年関与。2か国9年海外駐在。海外業務・海外商品開発・品質管理のスペシャリスト。食品輸出事業の責任者経験から海外営業・海外商品開発を多数コンサルティング。2020年業界紙「食品新聞」1面最上段で食品輸出ノウハウを20回に渡り連載。食品海外展開支援。

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