見出し画像

デザインと倫理:国際基準の見直し

日本の著名建築家がロンドンの公園内に建てるパビリオンに無給(週6日、1日13時間労働、自分でPCとソフトウェアを用意)のインターンを使うことが問題視されています。

Serpentine Pavilion architect under fire over unpaid interns

英国王立建築家協会(RIBA)がインターン等の労働条件を見直すことになりました。今後、日本流のブラックな労働慣行を強いる建築家やデザイナーは国際コンペから排除されることになるでしょう。

Architects who don't pay interns "shouldn't be given prestigious commissions" says designer who revealed Ishigami internships

具体的な数字までは知りませんでしたが、日本で建築デザインの業界で一流になるまでは相当の薄給だというのは理解していました。今回は、この日本の業界内の「常識」が白日の下に晒され、欧州では大変な騒ぎになっています。

私はこの記事を最初、英ガーディアン紙で読んだのですが、日本でこの一件が報道されたかどうかは知りません。

Row over use of unpaid interns by Serpentine pavilion architect

2025大阪万博会場のデザインプロデューサーを務める藤本壮介氏は、建築事務所での無給のインターンシップの慣習を、学生にとって経験を積むための「よい機会」だと発言し、国外ではかなり批判されていました。

Unpaid architecture internships in Japan are a "nice opportunity" says Sou Fujimoto

ただRIBAに続き他の世界の名だたるデザイン賞でも同様にガイドラインが書き換えられると思います。芸能界でもそうですが、日本のビジネス界の「人権感覚」は今後、日本企業が海外進出する、あるいは外国人労働者を受け入れる際に大きな障害となるでしょう。

また日本語で発信されるメディア情報だけに頼っていると、このような重要な動きを見逃してしまう事もあります。日本の建築デザイン関係者は、今回の告発を受けて、ぜひ業界内の常識を見直して欲しいと思いました。

この記事が参加している募集

サポートして頂いた資金は、ワークショップやブログ記事の準備費用に充てたいと思います。今後もグローバル・イッシューに関するトレンドを逐次紹介していきます。