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コロナ渦で売り上げ半減した状態から6か月間で営業組織の立て直しとV字回復させた話(前編)

こんにちは、GLナビゲーション株式会社の神田です。

先日、アドビ株式会社様にインタビューいただき、マーケティング・オートメーション「Marketo Engage」の事例紹介に、私たちのインタビュー記事が掲載されました。

インタビュー記事はすごくカッコよくまとめていただいているのですが、本当はすごく泥臭いことの連続だったので、今回の取り組みの裏側を書いていきます。

はじまり

営業組織の立て直しを図った背景に、コロナ渦がありました。私達は、2年前からITコンサル業界に参入し、現在DX領域に特化したコンサルティングサービスを展開しています。そのようななかで、コロナ禍を期に事業部売上が減少し始めた20年3月頃が私達の再スタートでした。

これまでの営業のやり方を続けていくことは難しく、営業組織は少人数で、効率よく確度の高い案件に集中して受注を取っていくことが凄く必要だと感じていました。その際に、人依存型の営業組織から脱却して、テクノロジーを活用したデータドリブンな営業組織の構築とオペレーション効率化が急務の課題だと考えていました。

特に、少ないリソースの中で闇雲に新規のテレアポを続けても難しく、既存顧客に当たり続けても厳しいので、案件(IT人材を雇用が必要なプロジェクト)ニーズを取りに行く部分をもっと効率化するために「Marketo Engage」の導入を決めました。

データドリブンな営業組織の定義

少しやりたいことを整理したときに、3つのポイントを実現したいと考えていました。

①業務オペレーションの効率化することで再現性を担保
②確度が高い案件のみに人的リソースを集中させた生産性向上
③「The Model」式の分業体制により一人ひとりの役割を徹底

①業務オペレーションの効率化することで再現性を担保
まず、(すごくアナログでお恥ずかしいのですが)既存の顧客リストに向けたメールをGmailのBCCから手動で送っていた部分は、すぐに自動化できると考えました。

②確度が高い案件のみに人的リソースを集中させた生産性向上
闇雲なアプローチではなく、お客様のニーズやビジネスへの収益貢献度に合わせたオペレーションフローを作りたいと考えました。

③「The Model」式の分業体制により一人ひとりの役割を徹底
若手主体だったので、ひとりの営業が何でもやるのではなく、業務をなるべく分担して、品質を上げていく必要があると考えました。

参考)

「Marketo Engage」の導入

この3つの課題を解決するために、マーケティング・オートメーション「Marketo Engage」を導入しました。もともと法人のお客様の開拓は、新規のテレアポと、当時のクライアント百社程に対しての一斉メール送信でした。

「マルケトって大きい会社がよく使っているよね?大量の顧客データを他システムから同期させて、営業やマーケティングプロセスの自動化、みたいな使い方でしょ?」という質問をよく受けます。

無料のマーケティングオートメーションツールや、手頃な価格のものが世の中にあるなかで、「なぜ、Marketo Engageを採用したのか」については後日、あらためて記事に整理します。

理由を一つ上げるとしたら、Marketo Engageが推奨するデータの持ち方やオペレーションの在り方が具体的だったことです。それを実現するという形で選びました。

導入した際に直面した課題

インタビュー記事はすごく綺麗に書かれているのですが、導入にあたって課題はたくさんありました。

人的リソースがなく専任を付ける余裕がない

1つ目の課題は、人的リソースがない、テクノロジーを扱う専任をつける余裕がないことでした。社内にもコンサルタントチームがあり、プロフェッショナルがいたのですが、ただコンサルタントの人達には、デリバリー側を担って欲しいと考えていました。

これが一番の課題と言えます。そのため、営業メンバーが兼任でやって、業務の傍ら0.2人月くらいのリソースで「Marketo Engage」を運用する必要がありました。

新しい取り組みのため専門知識やナレッジがない

2つ目の課題は、社内ナレッジです。自社においてSaaS系のマーケティングプラットフォームを扱うことが初めての経験でした。

ただ、1つ1つを手探りで進めて行ったら軌道に乗るまで時間もかかり、最悪、会社が潰れてしまうとリアルに思いました。笑 1年程前に、CRMのSaaS導入した際に、全く軌道に乗らず費用だけ払い続けた苦い経験も頭を過ぎりました。

「創る」と「使う」で業務分担

これらの課題を解決するために、「Marketo Engage」を「創る」構築側と「使う」営業側で明確に担当を分けてナレッジ吸収することにしました。

まず営業側は、とにかくMarketo Engage(アドビ社)の担当営業の方に質問しました。「僕たちこれをやりたいので組み方教えて下さい」「同じような課題を抱えている企業様の事例を教えてください」など、週1回以上はWeb会議で進捗を共有しながら何をやるかのWhatを明確にしていきました。

次に、構築側はアドビ社から紹介してもらったベンダーと進めました。営業側でMarketo Engageで何をやるかというWhatが明確になったので、それをどう実装・実行するかのHowの部分を中心にアドバイスをもらいました。

これにより、「Marketo Engage」のベストプラクティスについて、営業側も構築側も常にアドバイスをもらえる状態を作りました。役割を明確にすることで即成果に繋げるための施策を打てる環境を作りました。

活用ステップと営業組織の変化

リソースとナレッジの課題を乗り越えたあと、活用ステップとしては、以下3つの順番で進めていきました。

①顧客の階層別と営業活動に割くリソース配分を最適化
②「The Model」式の営業組織を構築、明確に担当する領域を決定
③スコアリングにより確度高い顧客を浮き彫りにしたアプローチ

①顧客の階層別と営業活動に割くリソース配分を最適化

まずメール送付から始めて、そのレスポンスやこれまでの売り上げデータから顧客を三階層にしてそれぞれアクションプランを作りました。
階層によってそれぞれ営業のアプローチ方法を変えています。具体的に、Tier1顧客は一斉アプローチはせず、Tier2顧客には一斉アプローチプラス架電、Tier3顧客ーは一斉アプローチのみ、というアクションプランを作りました。

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②「The Model」式の営業組織を構築、明確に担当する領域を決定

顧客の階層分けと並行して営業の役割分担も進めていきました。もともと二人のチームだったので、新規開拓からクロージングまでを全部一人の営業がやっている組織から、これを新規開拓(インサイドセールス)とクロージング(フィールドセールス)に分ける組織に体制を変更しました。

また、新規開拓のなかでもド新規に当たってメールアドレスやアポイントを獲得するチームと、既存リストからニーズを発掘するチームの2チームに別けてます。

細かく分業することによって、経験が少ない若手やインターン生でも自身の業務に集中することができるだけでなく、短期間で数字成果に貢献できるので、各人の成長が格段に早くなったと感じます。

このような「The Model」式の組織体制と「Marketo Engage」の導入によって、今の使っているスプレッドシートや、弊社で使用しているTrello(タスク管理ツール)のようなサードパーティーとの連携を生かして、その営業組織にフィットする形に変えることで効率化につなげました。

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③スコアリングにより確度高い顧客を浮き彫りにしたアプローチ

次に顧客がどういう情報を必要としているのかスコアリングをして、それに基づいて顧客と対話していくというステップをとりました。

このスコアリングによって、特定領域のホットな顧客がランキング形式で出ます。そのランキングを優先順位の参考情報にして、上から架電していく流れになります。

具体的には、以下3つのステータスを作り、スコアリングによってさらに細かく優先度とトーク内容を決めていきます。

①メールを開封してリンクのクリックをした顧客
②メールを開封したがリンクをクリックしていない顧客
③そもそもメールを開封していない顧客

例えば、スコアが高いがメールが未開封である場合、見落としてる可能性があるので、架電してメール送ったことを伝えます。リンクまでクリックしてるということは相手のニーズに対して何かボトルネックがあるはずなのでそこをつぶしにいきます。このようにスコアリングによって仮説を立てて顧客と話していきます。

まとめると、まず収益貢献度をベースに顧客の階層分けとリソース配分の最適化、次に、分業化による業務品質の向上とテクノロジーによる工程の自動化、そして顧客のスコアリングから確度や関心領域を可視化し、細かくフォローできるようにするという構造を作りました。

初めは3か月でこの過程を一巡して、結果を見て修正していくことを繰り返していきました。次回は、「Marketo Engage」導入による具体的な成果や今後の展望についてお話ししていきます。


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