「言われたらやる子」と「言われなくても自分でやる子」の差は、親の質問力にあった。
今回はこんなご相談です。
「片付けなさい!」と指示せずに、「質問すること」で自分で考えて行動してくれたらいいですよね。
質問することは、子どもに限らず、相手に考えさせる上で、とても良い方法なのですが、質問の仕方が大事です。
実は「どうして?」「なぜ?」と言われると、責められているように感じてしまい、本当に考える力を伸ばすことができません。ではどんな質問の仕方がいいのでしょうか。
まずはありがちな会話から。
■子どもに「どうして◯◯しないの?」と言っていませんか?
「どうして片付けないの?」と言われれば、子どもは片付けを始めるでしょう。
だから親としては「どうして?」は子どもを動かすのに効果があると思って、使ってしまいがちです。
でもここで注意したいのは、
親は、今何をすべきなのかを考えて欲しいから「どうして?」と聞いているのに対して、
子どもは「叱られないために、親の言うことを聞かなきゃ」と考えてしまうことです。
つまり、今すべきことを考えるのではなく、叱られないためにはどうしたらいいのかを考えるようになってしまうのですね。
親の言うことを聞くなら、それは楽でいいように感じますが、ご相談者の言う通り、
「言えばやる子」「言わなきゃやらない子」に育ってしまうかもしれません。
育ってほしいのは、「言わなくても、自分で考えて行動できる子」ですね。
では、どんな質問がいいのでしょうか。
■まずは子どもがやっていることを言語化する
この会話のポイントは何か、わかりますか?
それは2人が熱中していたことを認める言葉をかけていることです。
子どもは、自分がやっていたことを認めてもらい満足すると、次にすべきことを考え始めます。
褒められることや叱られないこと、つまり親が望むことを軸に考えるのではなく、自分がすべきことを考えられるようになっていきます。
「どうして?」と言う前に、親は子どもがやっていることを言語化して認めて、子どもが満足することが先です。
この場合は、
「何を作ってるの?」
「誰と作ったの?」
「パパに送ってあげない?」
と質問しながら、
子どもがしていることを整理することで、子どもが考え始めます。
■子どもが自分で考え出す質問のコツ
コツは、4W1Hで質問することです。
と子どもが答えやすいことを質問して、考える力を少しずつ伸ばしましょう。
Why「どうして」?は、なるべく使いません。
たしかに「なぜなのか」を考えられることは目標ですが、それが答えられるようになるのは、4W1Hがしっかり言えるようになってから。もう少し先です。
それに「どうして?」と言われ続けると、責められている気持ちになって、考える力を阻む可能性があるので気をつけましょう。
考える子に育てるためには、親のやって欲しいことを考えさせるのではなく、
子どもがやっていることを質問することで言語化し、考える力を育てていくことが大切です。
今日のコミュポイント
執筆:天野ひかり
マンガ:とげとげ。
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。