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THE 離婚 トーキョー NO.15 アメリカでの夫婦の清算方法

 財産分与にあたって、日本以外の国(今回はアメリカ)では、どのように処理されているのか?アメリカ人ロイヤーに相談したことがあるのですが、前提が日本の法律を前提としてしまっていいのか?

ある日の相談より抜粋

アメリカにおける財産分与


 結論からいうと、日本にかなり類似しています。
積極財産(プラス財産)の分配と、消極財産(マイナス財産)の清算は同様に行われます。特徴としては、婚姻上負担した債務は、夫婦財産取得のため直接かかわった債務なのかどうかによって切り分けられています。
 しかも、日本と同様、婚姻後、別居が成立するまでに負担するに至った債務をいうものです。裁判所の裁量は広く、夫婦の一方が債務を負担するかどうかの意思決定に関与していなかったとしても、裁判所が婚姻債務であると認定したものに関しては、公平な分担を負うことになります。日本と同様に、債務の扱いに関しては法律で明文をもっているものではないのですが、判例のルールを紐解くと、かなりに日本に近接しているものと言えます。
 唯一大きく異なるのは、裁判所は夫婦の一方が婚姻債務の一部または全部を負担することができると命じることができる点です。しかも、一方の夫婦に対してのみ、支払いを命じることもできるのであれば、特有財産からの支払いを命じることもできます。日本では、特有財産、婚姻前から有していた財産や親族からの贈与などは不可侵のように扱われていますが、この点は大きく日本と異なっています。
 
ちなみに、具体的な判例によると、たとえばクレジットカードの明細から夫婦の債務なのか、個人の債務であるのか、について使途や利用状況をみると判断したものがあり、この点も日本に類似しているように思われます。

逆に日本とは異なる国は?


 たとえばイギリスです。たとえば、イギリスでは、妻や子の居住を確保する、養育環境を維持する観点から、家屋の売却に関する制限のみならず、持分の移転や賃借権そのものも移転をすることがあります。その他、判例で、離婚の際の財産供与にあたって一括払いや支払いの調整、婚姻住宅に関して妻の死亡または再婚までの処分の制限まで裁判所の関与があり得ます。



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