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短編小説 糞餓鬼4 狂乱社会編

萬田氏が夢で出会った糞餓鬼の活躍で、社会に蔓延していた不条理のいくつかは是正され社会は良い方向に行くかに思われた。
しかし萬田氏個人を見てみれば、仕事もせず、毎日図書館に通い、読書三昧の日々を送っている。正確には、仕事も見つけず、図書館で本をぺらぺら捲り目を通し、窓から入り込むやわらかい春の日差しに、うとうと居眠りする日々を送っている。

しかし萬田氏の密かな楽しみであったはずの、糞餓鬼の活躍は社会的に注目され始め、密かではなく社会的大問題を引き起こし始めていた。

当初、糞餓鬼の存在行状をマスメディアは陰謀論としてテレビ、新聞、ラジオ、通信社は一切伝えていなかったのだが、ソーシャルメデイアSNSでは、盛り上がりに次ぐ、大盛り上がりで、内容は実力行使に出た糞餓鬼の行動についての是非、これについては保守革新の枠を超えて、学生運動の流れをくむ○○派、とか弁護士会関係とか、入り乱れて賛否が別れ、論点整理整理を叫ぶ評論家。又は端的に言ってと仕切る評論家などが種々雑多出る始末で、大混乱している。

社会的貧困人権に関わるNGOは、大便の活用が混乱の元として、大便廃止を叫び出し、これに同調した環境団体が、反原発から反大便に闘争を乗り変え、都庁トイレ前に座り込み、始めは小便は容認していたが、それも拒否し遂にトイレ全面封鎖に発展してしまう事態になった。この事態に都は機動隊投入を要請し、全面排除を行うが、ここにきてテレビのワイドショーが実況生中継し、全国的な草の根トイレ前座り込み運動が、始まってしまい、マスコミ、主にテレビであるが、コロナ情報以来の、座り込みトイレ情報を連日流し、
今日の座り込みトイレは、都内で16941件前日比120%ご注意下さい。
などと、連呼放送する事態となった。

これを受けて、総理も大便は国家的重要課題であると宣言し、第三者委員会の設置と、厚労省に大便対策室を設置し、当面の対策として、大便が投てきしやすい硬便及び普通便の排出を減少させるため、下痢便を推奨することとし。下痢便推奨対策として、全国民に下剤の無償配布を行う方針を示した。

しかし一部の野党勢力は、下痢便では社会活動に支障をきたすとして、反対の意向を示し超党派で下痢便ピーピー議連を立ち上げた。

更にLGBT法成立を目指していた議員部会は、大便は根源的優先問題として、LGBT法案を棚上げして大便問題に注力する事と超党派下痢便ピーピー議連に合流する事を確認した。厚労省の要請に医師会は、大便専門診療内科を会員医療機関に設置する事を表明し、国に対し緊急補助金を要請した。

このような状況の中、萬田氏は今日も図書館で昼寝をしているのだが、今日は違った、昼寝なのに糞餓鬼が現れたのだ。
続く。


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