秋桜
こどもの頃からの出来事を綴ったもの (不定期更新)
水温む 田んぼの横で 麦の穂が 風に揺れている 行き来する度 発見がある 奥に連なる山々 教会の十字架 背の高いお地蔵さま 次は梅雨時 紫陽花の葉の上の カタツムリ…
ある時 米びつ代わりの タッパーの蓋が欠けていた よく見れば歯型 まさかと絶句 プラスチックなど 美味しくなかろうに 聞けば 前の借り手は 贔屓にしていて 時に 高級…
爽やかな風を受けて 走り出した朝 犬を見かけて減速 花時計を目がけて加速 あっという間にゴール なのに 帰りはすっかり牛歩 同伴者の企てで うぐいすきなこのお団子を …
図太くは無く か細くもなく ただ鈍感なだけ トランプの10倍以上 めくっては確かめ 元に戻しての繰り返し 時折は手を休め 新緑を眺め 日の陰りを感じつつ 淡々と続ける …
日曜午前のレッスン前 せめて反復練習すべきところ 鍵盤に向かうのはごくわずか お稽古後のお菓子の準備に むしろ時間を割いていた いかにお菓子の妖精の曲でも 力を注ぐ…
電車はちょうど出たばかり 次は小一時間も先 昨日と同じに違いないのに 自販機の並びを眺め 横切る雀を目で追ううちに 反対側が先に到着 また静かになる 読みかけの本を…
子どもの頃 電車から見える 用水路の柵に 河童の絵が描かれていて 頭のお皿が乾いたら大変らしいとか 水の流れに引きずり込まれる そんなイメージでいた 久々に水に親しむ…
蛍の季節には まだ早い 怖がりの枕元で チカチカ光る 懐中電灯 近寄ると 真っ暗に 遠ざかると 光が漏れる この調子では また朝寝坊 時折覗く 静かな夜更け
連休にかかる大移動 つい思い浮かべたのは 「フルーツバスケット」 減りゆく椅子に 滑り込み 終われば 普通に友達同士 高速移動は 座席ありき 不思議と満席 皆どこへ向…
道路にできた水溜まり バシャンと派手な水しぶき 平らになるのは きっとまだ先 重たそうな車輌が ミシミシと通る あたかも 鈍い痛みに 身が抉られるかのよう 晴れ渡…
種を蒔き、お水を撒いて 来る日も来る日も 静かに見守る ついに芽生え 大きい種は 土を 力強く押し上げ 小さい方は 柔らかに 両葉を広げる そういえば最初は こんな風…
限定おふたり 予約したのに 寝坊しすぎの お客さん 1人はトマトが大好き 目玉焼きは半熟 ハムも一緒に焼いて シリアルに苺を乗せ 牛乳をたっぷり もう一人は胡瓜をポリポ…
山頂から 木立を抜け せせらぎの水音に 耳を澄ませる 橋の裏には 網目のような水紋が きらきらと映る めだかの群れと なぜか猫が一匹 水辺で岩に腰掛け 素足をひたす …
海の幸のお皿が ビューンと流れてくるのを 久々に見ながら お出汁の効いた お味噌汁を一口 良かれと選んだ巻き物が うっかり逆で ツーンとくる方 ごめんごめんと 頼み直し…
弱みと気付きながらも 日頃は何とかなっていて そう困ってはいないと 自分に言い訳を与え 克服できずにいた いくつかの事 恥入る場面があっても 喉元を通り過ぎれば また…
夜半に見た景色 トラックとバスが 詰め詰めに並ぶ お店にはその土地以外の 銘菓もずらり もう一箇所も 同じようでいて よく見るとだいぶ違う うつらうつらと まどろむう…
2024年5月10日 12:33
水温む 田んぼの横で麦の穂が 風に揺れている行き来する度 発見がある奥に連なる山々教会の十字架背の高いお地蔵さま次は梅雨時紫陽花の葉の上のカタツムリにも出会えるだろうか
2024年5月9日 21:48
ある時 米びつ代わりのタッパーの蓋が欠けていたよく見れば歯型まさかと絶句プラスチックなど美味しくなかろうに聞けば 前の借り手は贔屓にしていて 時に高級アイスをふるまってすっかりなついていたらしい挙げ句は天井裏の運動会大家さんに相談してみたら何やら取り出し大丈夫だ これで人さ いねえところへ逃げてゆくべとしんみり言うのだ見たこともない鮮やかな色の特効薬た
2024年5月8日 20:15
爽やかな風を受けて走り出した朝犬を見かけて減速花時計を目がけて加速あっという間にゴールなのに 帰りはすっかり牛歩同伴者の企てでうぐいすきなこのお団子を平らに運んで お土産に趣旨に賛同は得たもののすぐに息切れ ついつい歩き昼前のアスファルトでは影絵のオオカミで遊ぶうち風のように 追い抜かれ相当地道に続けないとどうやら勝ち目はなさそうで密かに練習したくなる
2024年5月7日 22:14
図太くは無くか細くもなくただ鈍感なだけトランプの10倍以上めくっては確かめ元に戻しての繰り返し時折は手を休め新緑を眺め日の陰りを感じつつ淡々と続ける家路に着く頃空は むらさき続きは明日気付かずにいた不思議な景色
2024年5月6日 08:49
日曜午前のレッスン前せめて反復練習すべきところ鍵盤に向かうのはごくわずかお稽古後のお菓子の準備にむしろ時間を割いていたいかにお菓子の妖精の曲でも力を注ぐポイントは そこでは無かろうに弾き込んでくる一番手とあまりに暢気な二番手と目指すところが異なる生徒後年 楽譜に残る 書き込みに匙を投げずに教えてくれた師匠のありがたさを実感一月遅れのお祝いのケーキの焼ける匂い
2024年5月5日 21:04
電車はちょうど出たばかり次は小一時間も先昨日と同じに違いないのに自販機の並びを眺め横切る雀を目で追ううちに反対側が先に到着また静かになる読みかけの本をおもむろに開く栞は後半 往復すれば読み切れるだろう先達にも 駆け出しの時期があり その後 想像し難い出来事に 何度も見舞われながら人や自然との関わりの中で生きていたことに気付かされ誰しも順風満帆な時ばかりではないと
2024年5月4日 22:44
子どもの頃電車から見える用水路の柵に河童の絵が描かれていて頭のお皿が乾いたら大変らしいとか水の流れに引きずり込まれるそんなイメージでいた久々に水に親しむひとときを見ているうちに なぜか思い出した架空の生きもののお話
2024年5月3日 23:29
蛍の季節には まだ早い怖がりの枕元でチカチカ光る懐中電灯近寄ると 真っ暗に遠ざかると 光が漏れるこの調子では また朝寝坊時折覗く 静かな夜更け
2024年5月2日 17:40
連休にかかる大移動つい思い浮かべたのは「フルーツバスケット」減りゆく椅子に 滑り込み終われば 普通に友達同士高速移動は 座席ありき不思議と満席皆どこへ向かっているのか降りた途端 人波に揉まれ次なる席へとひた走る 着いたばかりの電車から新たに人が押し寄せるあっけに取られ 声も出ず奇跡の座席にホッとして居眠りするのも 無理はない
2024年5月1日 21:45
道路にできた水溜まりバシャンと派手な水しぶき平らになるのは きっとまだ先重たそうな車輌が ミシミシと通るあたかも 鈍い痛みに 身が抉られるかのよう晴れ渡る日が 待ち遠しい
2024年4月30日 22:20
種を蒔き、お水を撒いて来る日も来る日も静かに見守るついに芽生え大きい種は 土を力強く押し上げ小さい方は 柔らかに両葉を広げるそういえば最初はこんな風だった懐かしさについ目を細めるやがて本葉が育てばバッタが跳んできて遊び場にするだろう
2024年4月29日 16:55
限定おふたり予約したのに寝坊しすぎのお客さん1人はトマトが大好き目玉焼きは半熟ハムも一緒に焼いてシリアルに苺を乗せ牛乳をたっぷりもう一人は胡瓜をポリポリ半熟は困るハムは焼かずにご飯を食べたい食べ始めてからすっと椅子を降りお醤油を取りに来る後はセルフで お構いなくくだを巻くこともなくかわいらしい常連さまだが しかしこの人数で なぜ揃わない?給食
2024年4月28日 20:53
山頂から 木立を抜けせせらぎの水音に耳を澄ませる橋の裏には 網目のような水紋がきらきらと映るめだかの群れとなぜか猫が一匹水辺で岩に腰掛け素足をひたす雲ひとつない空新緑の中から聞こえるうぐいすの声水は勢いよく さらさら流れ岩にかかると とぷんと音を立て視界を通り過ぎるこの時期ならではの心癒やされるひととき帰りはすっかり夏の日差し頬を真っ赤にして疲れ
2024年4月27日 20:15
海の幸のお皿がビューンと流れてくるのを久々に見ながらお出汁の効いたお味噌汁を一口良かれと選んだ巻き物がうっかり逆でツーンとくる方ごめんごめんと頼み直しつつゆっくり口に運ぶ苦手なものでもたまには食べよう日暮れ時 それぞれ愉しむ週末の一コマ天井の鏡は何組のお客を映しただろうか
2024年4月26日 23:01
弱みと気付きながらも日頃は何とかなっていてそう困ってはいないと自分に言い訳を与え克服できずにいたいくつかの事恥入る場面があっても喉元を通り過ぎればまた横に押しやる自分の偽らざる気持ちは一体どこにあるのだろうか必ずやり遂げたいとの思いの裏に代わりがなく 責任を持って優先すべきことがあっても無意識にも意識的にも後回しにしがち言葉に出さず頭の中だけの発想に囚われ
2024年4月25日 18:26
夜半に見た景色トラックとバスが詰め詰めに並ぶお店にはその土地以外の銘菓もずらりもう一箇所も同じようでいてよく見るとだいぶ違ううつらうつらとまどろむうちに辺りが明るくなり定刻で到着朗らかなアナウンスに耳を傾け 鉄橋を渡り 駅に降り立つ朝日差す 青葉の並木時間どおりの ラジオ体操空き地の 大きな水溜まりビルの谷間の 四角い空長い一日が夕陽とともに終